虚像干渉

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 日々の生活に面白味を見出せていなかった久遠竜也にはどうしても変えたい過去があった。それは中学時代に告白ができず、今は別々の道を歩んでいる幼馴染の藤宮志桜里との過去だった。ある日の夜、僕は夢を見ていた。それは手を伸ばせるのなら変えてしまいたいほど後悔しているあの出来事だった。だから僕は事実をねじ曲げるよう夢に手を出した。次の日、僕はいつも通り学校に登校していたつもりだったがいつもと違って見える光景に動揺していた。過去が変わっていたのだ……
 いつしか僕には過去だけではなく、未来までもが変えられるようになっていた。僕はその能力に虚像干渉と名を付けた。しかし、その虚像干渉を人類が恐怖に駆られる計画のために使った唯一の親友、難波遠馬がいた。彼もまた虚像干渉を使えたのだ。彼の真の目的を知った僕は、被害を日本だけに留め難波の計画を止めることに成功する。
 難波の計画から数年後、僕と志桜里の子、恒平は無事に高校を卒業する。
 しかし、虚像干渉を使える人間には永きに渡り背負ってきた宿命があった……
 難波の息子、友人は父親よりも残虐な方法で父親の計画を続けようとしていた。僕たちはそれに気付くことが出来なかった。唯一気付いていたのが恒平だった。僕たちが気付かなかったのは、虚像干渉にある能力があったからだ。
 友人も遠馬と同じことを目的としていた。彼の時と同様に恒平と僕は友人の計画を止めることに成功する。しかし友人は、親友の大切さを知らない人がいる以上、同じような出来事は再び起こると言った――それが虚像干渉による宿命だったのだ。
 しかし、二度と同じような出来事が起こることは無くなった。友人の計画で全世界の人は親友の大切さを知った。その大切さを人が失わない限り、僕が思っていた面白味が見出だせないなどという事は起きない。
 志桜里、恒平、難波、昴、友人。「ありがとう、みんな」
 それは僕が最後まで言うことのなかった、感謝の言葉だった。
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