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優しい人・第22話
しおりを挟む「あの…昔から痔で……」
顔から火が出そうだ。
「すみません、やっぱいいです!」
ガチャン!
受話器を戻す。
結局昨夜は、後ろの痛みで眠れず、眠剤を飲んで、何とかうつらうつらした。
志賀が出勤してすぐ、肛門科という所を調べて、電話してみたのだが、症状を聞かれ、答えるだけで恥ずかしくてどうにかなりそうだ。
無理…。
倉本に電話する。
「ごめんな、仕事中に」
『そんなんかまへん。お前がこんなん、ないやん。どないしたんや?何があった?』
物心ついた頃からずっと一緒だった倉本の声。
志賀とはまた別の絶対的な安心感。
『チカ?どないしたんや?チカ?』
嗚咽が止まらない。
『チカ、待っとけ。すぐ行く』
昼休みでいい、大丈夫だ、と断っても、すぐ行くから、と倉本は電話を切って、数分後にやって来た。
倉本の職場、中央区役所は、千佳史の家から徒歩でも5分。
彼女が出来るまでは、昼食を食べに来たりしていた距離だ。
詳しい事情は言わず、昨日寝た男が酷いサディストで、後ろに色々突っ込まれて痛い、と話した。
「なんやこれ・・・・」
倉本は千佳史の体を見て絶句した。
「志賀は何やっとんや?!」
「志賀は関係ない。俺が必死で隠すから、あいつは知らん。知られたくない」
「そんなもん、お前…」
「お願い、陸斗!志賀には知られたくない!」
「…ほんなら解った。俺の知っとう小児科の先生やけどな。何でも見てくれる先生がおんねん。電話したるから、そこ行き。背中とかも全部、見せろ。薬くれるから」
「ありがとう、陸斗…」
「ええって。ほんまに、お前…どんだけアホやねん…志賀以外にも、ええ男なんぼでもおるやろ。何であいつなんや。鈍感で、地雷踏みまくりのタブー男で、おまけに女好きのドスケベ…最低やんけ」
―ほんまやな……
「あ、ごめん…」
千佳史の顔が歪んだのを見て、倉本は謝るが不服そうだ。
「せやけど、可愛いもんな、あいつ。志賀。デッカイデッカイのに子供みたいで…ベコーッってエクボ出して笑てな…」
「うん…」
「チカ?こっちは大丈夫か?志賀、とは…した?」
倉本が自分の胸をトントンしながら首を傾げる。
倉本はいつも、優しすぎるこの美しい親友、千佳史の心が心配なのだ。
千佳史は笑って首を横に振った。
「キスは毎日してくる」
「お、すげ。志賀もやっとチカの魅力が」
「ちゃうねん」
「ちゃう?」
「うん。蘭奈にチューやから…。で、後ろ向いて、背中乗ってきて自分でシとう…」
思わず苦笑が出る。
「…あんの、ダボが…ッ」
ガクッと倉本が首を垂れる。
「や、ちゃうねん、ちゃうねん!俺はそれでええ。まあ、志賀が盛り上がって来たら、服脱がそうとするから、必死で胸隠したり、前押さえたり、まあ…大変ではあるけど、でも、ストレートの志賀が、俺の顔だけでも好きで、欲情してくれるんは嬉しい。顔は、川本蘭奈に似とっても、これ、俺の顔やから」
「チカ…そやな。お前の顔やもんな…俺も今、お前にキスしたいわ。止めとくけどな。志賀のもんやからな。この口はな」
―志賀のもん……
志賀は萌花さんのもの…志賀は萌花さんのもの…そう思い続けて
『志賀が好き。俺を見て』
そう吐いてしまいそうになるのを、ギリギリ喉で止めたことが何度あったか。
もう、擦り切れて決壊寸前だった心を、倉本の一言がふわっと掬い上げてくれた。
「口…だけか…ハハ…ありがとう…リク…」
嬉しくて…言葉ではうまく言えなくて、千佳史は親友に両手を伸ばした。
28年来の親友は、千佳史の心を間違えずしっかりと受け取って、優しく抱きしめてくれた。
恋焦がれる志賀の強く優しい腕とはまた違う、親友の温かい抱擁……
これがあったから、独りぼっちでも、自分はやってこられたと思う。
「でもな…リク。志賀は萌花さんとこに帰らそう、って思う。それが志賀の…本来在るべき姿や。彼女…萌花さん…。メッチャいい子で、そんで、清楚で賢そうで綺麗で……女らしい…ほんまに絵に描いたようなカップル…志賀と並ぶと……。あの2人が、結ばれへんのは、間違いや…。志賀は、傷ついて、拗ねきってこじらせとうけど、それだけ怒る、ってことは、萌花さんのこと、それだけ愛してた、ってこと…」
「お前、自虐も大概にせぇよ…アホなやっちゃなぁ。ほんでお前、志賀の元カノにまで会ったんか?そんなとこにまで同情して寄り添うな!何とかしたろ、とか思わんでええねん。志賀がどうするかは志賀が決める。お前、1回くらい心のままにせえ。後悔すんぞ?お前のことやったら、ガチガチのノンケの志賀でも抱ける。お前、好きでもない相手に、毎日チューなんか出来るか!志賀、お前のこと好きになってきとんちゃうか?ケツ治ったら誘ってみ、って。何か変わるかもしれんやろ?」
「…ありがとう、リク…。でも、俺、志賀見てたら解ってまう。何処までもノンケの頭やし、毎日キスするけど、毎日、あー、滝さんが女やったらなー!って屈託なく笑う…」
「ド天然ッ…!生まれっぱなしのファンキーモンキーベイビーやな」
「そやな…変わってる。あんなん、あいつしかおらん…女やったらなー、なんか言われて、最初は辛くて堪らんかったけど、今はもう毎日やし、慣れてもうて、ごめん!って思うだけで、腹も立たんし、辛くもない。あの顔で言われたら…。それに、俺、1回繋がっとうから、ええねん…」
「は?!何や、いつ?!出来たん?!」
「いやいや…一瞬、繋がっただけ。でも、今となってはあの時、ガキの強みでやってみてよかった、って思うわ。あの、卒旅ん時な、部の」
「ああ、ああ…え?いつ?志賀逃げたやん」
「うん…明け方、目開けたら志賀の顔が横にあって、みんなよう寝とって、志賀のが…勃っとった」
「ああ、まあまあな。朝はな」
「うん。それで、俺、何かようわからんかったけど、お前とも、こうすんねんやな…とか勉強?したし、DVDとかで見とった、解す、って、いうのを必死でやって、志賀がまだぐうぐう寝とんの確認して…志賀の上に乗った」
「挿れたん?!」
千佳史は頷いた。
「ちょっと…デカくて怯んだけど…」
「入ったん?!」
「先っぽだけ…も、メッチャ痛いし、気持ち悪くて、でも、今しかない!って思って」
「うんうん」
「で、必死でグー…って腰落としよったら、志賀が、うーん…って呻いて、俺ビビってすぐ抜いて、志賀の服とか直して布団で丸まっとった」
「お前…処女、志賀?!」
「や…デキてへんし…」
「いや。それでも、お前の菊門初めてくぐったんは、志賀や。立派に抱かれとる。俺もお前も怖がりで良かったー!よう挿れんかったもんな!そうかー、処女と唇が志賀のもんかー…それは最強過ぎるな…」
倉本の言葉は魔法だ。
かなり無理がある、その言葉でも、自分が幸せに思える。
好きな男が最初の人。
そう、思おう……
―そや…。好きなノンケとするなんか、1回でも奇跡や…。それと、この1ヶ月とちょっと一緒に暮らせた思い出があれば、両手で抱えきれんほどの宝物に増えたから、もう、充分…
「お、ええ笑顔に戻ったな。ちょっと気分マシか?」
「うん!いつもより、元気なくらい!やっぱ、リクやな~!大好き!」
「おお、悲しいほど潔白な大好きありがとうー。涙が出るほど嬉しいよ…チカのナニを初めて握った男、僕チンとしては」
「も、お前!それ禁句!」
「はい、すいましぇ~ん!」
倉本が、肩の上で首を器用に左右に動かした。
それから、腹が減った、と言う倉本に、冷蔵庫にあった野菜を適当に使った中華丼と、昨日焼いた余りの肉を焼いて、簡単な昼食をご馳走した。
「旨いなぁ、チカの飯は!お前、千怜(ちさと)にも教えたって!あいつ、飯もよう炊かん」
「ええやん。それがまた可愛いクセに」
「まあなっ!ハハッ!アホでドン臭いとこが可愛い」
「ご馳走様」
「そりゃ、お前、昼作ってもうて、俺もお腹いっぱいにしたらなアカンやろ?」
倉本がお土産にくれた“とろとろぷりん”を食べ、一緒に家を出た。
「お前、遅刻やん、ええの?」
「ええ、ええ。30分だけや。何処行っとった?ちょー腹痛くてトイレに、で済む」
「わ、悪!そんなん、オンブズマンにチェックされたら、役所の人間は、って煩いんちゃうん?」
「大丈夫、大丈夫!《千流》のマスターの為やんけ!言うたら、ここは中央区や、ああそれは止むを得ん、って三宮区が言うてくれる。中央区=三宮や!」
「いや、それはちょっと…無理がある…」
そう言いながら
「お前怪我やねんから、ゆっくり、気をつけていけよっ!」
と、チャリ立ちこぎで、猛ダッシュで去り、一瞬で点のようになった陸斗の後ろ姿にもう一度
「ありがとう、リク」
と言った。
陸斗の紹介してくれた小児科は、電車で3駅の六甲道だった。
葛原小児科の葛原医師は、何と陸斗の叔父で、母親の弟さんということだった。
ずっと、大阪で開業していたが、10歳年上の奥さんのお父さんの介護があり、2年前に神戸に戻って開業したそうだ。
倉本は知り合いだ、と言った、と千佳史が言うと、
「な。あいつ、何故か全ての人を知り合い、と言う変な癖がある。でも、初めてやな。君のことはツレ、って」
葛原はニコッ笑う。倉本に似てる。
子供相手だから元々、話し方や声のトーンも、こちらに警戒心を与えない絶妙なものだ。
「うわ…酷いね…。こりゃあ、やり過ぎだ。一つ間違えたら刑事事件やね」
と、丁寧に消毒して軟膏を塗り、可能止めと炎症止めの点滴をしてもらった。
軟膏と炎症止め、それに、痛みと熱が酷ければ、と頓服、常用性のない眠剤も処方してもらいお礼を言って帰路についた。
体のあちこちは痛むが、治療してもらい、気持ちも落ち着いて、心が温かい。
倉本のおかげでストンと落ちるものがあった。
六甲道の駅の構内に、地元で人気の和菓子店が出店を出していたので、夏やのに暑苦しいかな…と思いながらも、ここの売りのいちご大福と“夏の夜の願い”と銘打った、紺色に少し白い雲が流れ、星に見立てた金粉チラチラと入った、涼しげで綺麗な琥珀羊羹を2つづつ、買った。
「美味しいよー、誰と食べるん?綺麗なお兄さん!」
威勢のいい太っちょのおばちゃんがニコニコと話しかける。
「え…っと」
と勢いに圧倒される千佳史におばちゃんは
「イケメンやからなぁ…奥さん?あ、彼女か、まだ若いもんな、お兄ちゃん。美男美女の彼女やな!女の子はなぁ、これ好きよー?おっきいの入れたからな!はい、1100円!」
「ありがとう…あの、子供と、食べます…」
「子供!そっか、お兄ちゃん、パパ!わっかいのになぁ~、偉いなぁ!子供、一人?何歳?まだちっちゃいなぁ、お兄ちゃん若いし」
「いや…」
「え、おっきぃの?!小学生とか?!1年生?」
「ああ…はい…」
何でもいいや、と頷く。
「そうか~。もっと作りや~、3人は作らな!これ食べて頑張れ!」
「は…はぃ…」
千佳史は苦笑いで和菓子の袋を受け取り、ホームへ上がった。
大きな子供の笑顔を思い出し
「子供は27歳です…」
と呟いて車窓を眺めた。
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