優しい人

sasorimama.fu

文字の大きさ
27 / 47

優しい人・第27話

しおりを挟む

「おばちゃん」
倉本は病室に入ってきた美しい女性に手を上げる。

「リクちゃん…おおきにね、ほんま、あんた…」

「いや。俺とチカは持ちつ持たれつや。いつもお互い助け合うとるから気にせんといて」

「リクちゃん」
千佳史の母、里紗子(りさこ)は、倉本に深く頭を垂れた。

それから倉本は、この怪我について解ることを全部説明した。

倉本とて、志賀の両親に猛烈な怒りを抱えていたので、怪我は、弾みだろうが、好きになった男の親にやられたのだろう、と話す時には苦々しい口調になった。

里紗子はそれをグッと目を閉じ、耐えるように聞いて、頷いた。



目を開けると見慣れない天井が目に入る。

「千佳史…」
「母さん…何で?」

「リクちゃんが電話くれた」
「リクは?」
「飲み物買いに行かはった」

母の手が、髪を優しく撫でる。

心地良くて、千佳史は目を閉じる。

「ふふ…ラッキー…」
「え?」

以外な台詞に驚いて目を開けると、母が嬉しそうに目を細めて笑っている。

「意識あるのに拒否られへんかったから?」
倉本の声とコーヒーの匂いが一緒に病室に入って来た。

「そ」
母がまた笑う。

「え、何?…なんやねん、もう…」
倉本が、飲む?と目だけで問い、それに手を伸ばすことで応えながら、不可解な2人の言葉に少し、むくれる。

「おばちゃん、ちょっと前に着いてな、千佳史、起きてたら触らせてくれへんのよ、って頭撫でたり、顔触ったりしまくっとってん、な?おばちゃん」

「そ。だってそうやもん。もう長ーいこと、目ぇ開けてる千佳史の頭撫でたことなかったえ?千佳史、いつ頃やったか、私とお父さんに、ホモが感染るから触るな、って。ねぇ…感染りません、って、病気やないんやし…」

母は少し悲しそうな、でも、とても愛おしそうな目で千佳史を見た。

そうだ。
中学2年の秋頃、同じクラスの女子に、自分の雰囲気なのか、何故判ったのか、又はただの冗談だったのかは不明だが、ホモが感染る、あっちへ行け、と言われた。それ以来、こちらからは接触しないし、向こうからの接触も極力ないように心掛けた。

とにかく、嫌われないように、気持ち悪くないように、と気を付けた。

「帰っておいで?千佳史?母さんと父さんの傍におり?あかんの?」
「……」

「チカ?大丈夫か?」
倉本の言葉に頷く。

「秋にはリクちゃんかて結婚してしまはるんよ?あんたのことばっかり、かもてられせえへん(かまっていられない)。今日かて…リクちゃんいてへんかったら、どないなことになったの?母さん心配で胸が潰れる…」

―母さん、ごめん…許して……

「…神戸に…おりたい…」
「千佳史…お願いよ…母さん、間違っとったわ。父さんが、千佳史は結婚もせえへんのやから、店の金出したれ言うた時、反対すれば良かった…」

「母さん、心配せんかっても俺、大丈夫やし」

「…大丈夫?…大丈夫違うやないの……ッ…こんな…傷…顔よ?しかも目ぇやないの!こんな怪我させられてッ…何でやの?!何で」

「母さん、病院やから」
千佳史が制止するも母親の興奮は治まらない。

「何やの?誰よっ、こんなこと!こんなん、酷いっ!!私が悪いんよっ、千佳史を男に産んだからっ!!こんなかいらしい気持ち持った子を、男なんかに生んだから!!私にやってよっ!千佳史が悪いんとちゃうわっ!私が…私が…ッ…」

「おばちゃん…おばちゃん、止めろ!チカが辛なるっ!…おばちゃんも、チカも悪ない。チカを殴りクサッタ奴が悪いんじゃ。泣くな、おばちゃん、そんな奴の為にッ…」

倉本が大体のことを想像して母に言ったのだろう。
いつもなら、誰も悪くならないように、誰も傷つかないようにと、倉本を黙らせ、慌てて危なげないように言い直して、倉本にも口裏を合わすように目の前に居てもラインして…というお決まりの作業をするが、今日はとてもそんな気力がない。

もう、終わったことだから、色々、母に解ってしまったところでいいだろう。
まさか、志賀の両親に対してどうこうしよう、なんて人じゃない。
そんなことをすれば、誰より、千佳史本人が傷つくことを、母はよく解っているから。

「母さん…せっかく久々やねんから、楽しい話しして?」
千佳史の言葉に、すぐに母は顔を変え
「ほんまやね。カンニン、千佳史。お母さん、更年期障害やわ。最近ヒステリーなんよ」
と笑ってくれた。

翌日、頭を打っているので、ということでもう1度脳のCTを撮って、異常なし、ということで退院した。

千佳史の部屋に泊まった母と、ハーバーランドまで出てランチした。

ウィンドウショッピングしながら、ガラスに写るそっくりな顔に2人で笑う。
「ほんま、双子みたいやな」
「おやおおきに。母さんそんなに若う見える?」

海の見えるモザイクの階段に座って、シェイクを飲みながら話す。
母は、自分にじっくり話しを聞きたい時は昔から横に並んで来る。

「志賀くん違うの?」
「……ッ…」

「当たった」
「……」

母が、千佳史の立てた膝をポンポンと叩く。

「…知っとったん?」

「うん。だって…あんた、志賀くんが1年生で入ってきてから、母さんに毎日志賀くんの話し、してたもん。あんたがガッコの話しするなんて。母さん、あれで、この子もしかしたら、人と違うのかも知れん、って気づいたんよ?」
「そやったんか…」
「そうや?」

母はクス…と笑った。

「志賀くんに…伝えたの?」
千佳史は黙って下を向き首を横に振る。

「そりゃそやな…」
また母は笑った。

「志賀のな…母さんな…母さんは、俺が憎いんや…。それが、悲しいて…堪らんかった。当たり前やのに、信じられんけど、そこまで思ってへんくて、俺…」
「何でよ。志賀くん、あんたの気持ち、知らんのでしょ?それやったら、別にかまへんやん」
「アカンねん。アカンかってん、好きになることがもう。母さんかって、もし俺が、殺人犯に惚れられたら嫌やろ?関わらんといて、って思うやろ?」

「あんた殺人犯ちゃうやないの。同性愛は犯罪違うえ?」
「例えば、や」
「もし、言うたやないの、もう…。例えば?うーん…でも、母さん、相手が殺人犯でも、千佳史のこと、好きなってくれはったら、そのことにだけは感謝するえ?」

「母さん…そりゃ、母さんが俺の母さんやからや。感謝するようになったんや…俺、育てながら…。志賀の母さんが普通やわ」
「そうか?」
「そうや」

「千佳史」
母が急に腕を組んでくる。

「ちょ、止めて。何?」
「あんた、ええ男やな?男前や、うちの千佳史は。女の子みたいにかいらしかいらしお顔やのに」

「女の子みたい、は余計や」
「えろうすんまへん…」

「行こか。店、見んねやろ?1回家帰らんと」
「そやね、行こ行こ」

何とか神戸残留を承諾してくれた母が、神奈川に帰る前に《千流》に行きたい、と帰省を1日遅らせたのだ。

いかにも楽しそうに笑ってくれる母を見ながら、千佳史は家族のありがたみをしみじみと感じる。

そして、志賀の家族に例え一時でも、自分のせいで、怒りや悲しみを与えたことを心から申し訳なく思い、志賀への想いを封印することを、改めて固く胸に誓った。



「橋本さん!頑張って!」
「頑張れっ!!」


「萌花っ!!」
「萌ちゃん!」
「萌花ー!萌花っ!!」

萌花の心拍がどんどん落ちる。

「おかしいな…そんな筈ないのにッ」
医師も首を傾げながら、必死で人工呼吸を繰り返す。

「患者さん生きる意思がない!もうこうなったら患者さんの生きる意志よ!!旦那さん?!奥さんの手、握って!!」
看護師長に殴るくらい強く、肩を叩かれる。

一瞬躊躇する篤仁だが
「篤仁!」
父の声で萌花のストレッチャーに寄り、手を握る。

「篤仁くん、お願いー……」
萌花の母親が泣き狂う。

「萌花っ!!死ぬな!死ぬな、萌花っ!!」

篤仁は萌花の小さな手を力一杯握って、必死で叫んだ。

「心拍45!」

「心拍上がった!!もっと!旦那さん!!呼んだげて!頑張って!!」

「萌花!萌花!」

萌花の両親は“危篤”だ、ということで病院から呼び出された。

腹を強打して、夥しい出血があったが、子宮破裂等を起こしたわけではない。
こんなことは稀だ、と医師が早口で説明し、処置室とかかれた手術室のような部屋に萌花は運ばれ、ドアが閉ざされた。

病院の廊下の椅子に全員が黙ったまま座り、長い時間待った。
処置室のドアが開き、峠を越した、もう大丈夫だと言われた時は、大きな溝が出来ていた両家だが、夜中に到着した萌花の姉夫婦も一緒に、万歳!やった!と手を取り合って全員で嬉し泣きだった。

朝一番で、子宮内容除去術を予定されており、その後は経過観察をしながらの入院となる。

状態が落ち着き、病室に運ばれた萌花は、意識が戻りつつあるようで、ずっと篤仁を呼んだ。
「萌花、ここにおる。心配すんな。ずっとおるから寝とけ」
篤仁は何度も同じことを言って、萌花の手を握った。

子供を旦那の両親に預けたから、と姉夫婦は帰って行き、篤仁の両親も、萌花の両親に、こんなことになって、ともう1度頭を下げ、帰っていった。

「俺、おりますから、お父さんらも帰って休んで下さい。ほんまに…すいませんでした」
そう言って頭を下げると
「篤仁くんがおったから萌花は助かった。ほんまにありがとう。お腹を打ったんは偶然や。誰のせいでもない」
そう、萌花の父親に言われた。

そして、その時また
「…あっちゃん…あっちゃん…」
と萌花が譫言を言い出したので、萌花が目覚めた時、篤仁が一人の方が喜ぶのかも、と両親は帰って行った。

眠る萌花と自分一人になる。

「お前苦しんだんやな…苦しかったな…ごめんな萌花」

今更ながら︎︎ ︎︎ ︎︎”‬萌花さんの気持ち‪”‬と言い続けていた滝の言葉が入ってくる。

いきなり襲った衝撃に木っ端微塵に打ち砕かれ、とにかくその衝撃に蓋をして、気持ちを保つことに100%向かい、自分のことしか考えていなかった。

萌花はもう、誰かの子の母親なのだと、忘れるしかないと、それ以上は考えることも思うことも自分の中で遮断した。

図らずも、もしかしたら強姦されて望まぬ妊娠をしたかも知れない萌花は、自分なんかより遥かに傷つき壊れ、助けが要っただろうに。

自分は滝に救われ、癒され、片方の心であったにせよ、楽しく過ごしていた┈┈┈┈


どのくらい思考に耽っていただろう。

篤仁は握っていた萌花の手を、もう一度キュッと握ってから、そっと離してパイプ椅子から立ち上がった。

病院の窓ガラスに写る自分の顔。
もう空が白んできているので輪郭だけだが、自分が自分でないような、変な気分だ。

―俺は、萌花と結婚するんや……

式場で萌花が倒れたあの日から、ここまでの数ヶ月は…なかった…なかった…なかった……なかった…

なかったのだ…。

萌花と結婚する。

間違いなく自分の意志だ。 
それなのに何故か、他人事のように自分の近い未来を見つめる。

萌花が腹を打った時、漠然と感じた失望はこれだった。

結婚することが失望なのではない。

ただ……たった今、なかったことにして閉じ込めた…

―滝さんとの日々は、もう二度と来ない……

その思いが、失望にとてもよく似ていたのだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タトゥーの甘い檻

マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代) どのお話も単体でお楽しみいただけます。 ​「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」 ​真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。 ​それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。 「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。 アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。 ​ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。 愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。 ​「……お前のわがままには、最後まで付き合う」 ​針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。 執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

林檎を並べても、

ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。 二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。 ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。 彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

happy dead end

瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」 シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

この冬を超えたら恋でいい

天気
BL
夜の街で、凪は人生の底にいた。 古いアパートに帰る途中、父の残した借金の取り立てに絡まれ、逃げ場を失う。 そこに現れたのは、大手企業の社長・鷹宮だった。 偶然の救い。年齢も立場も違う二人は、その夜を境に交わることになる。 事情を多く語らない凪は、不幸が当たり前のように身にまとい、誰かに頼ることを知らない。 一方の鷹宮は、完璧な成功者として生きてきた男だった。 危険から守るため、鷹宮は凪を一時的に自宅へ迎え入れる。 冬の同居生活の中で、凪は少しずつ日常を取り戻していく。 大学へ通い、温かい食事をし、夜を一人で怯えずに眠る。 しかし、守られることに慣れない凪は、距離が近づくほどに自分から一歩引いてしまう。 それは、失うことを恐れる、健気で不器用な選択だった。 一方、鷹宮は気づいてしまう。 凪が笑うだけで、胸が満たされることに。 そんな自分の感情から凪を守るつもりで引いた距離が、 凪を遠ざけてしまう。 近づきたい。 けれど、踏み込めば壊してしまうかもしれない。 互いを思うほど、すれ違いは深くなる。 2人はこの冬を越えることができるのかーー

【完結】君の穿ったインソムニア

古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。 純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。 「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」 陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。

処理中です...