優しい人

sasorimama.fu

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優しい人・第40話

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ふっと力が緩み、ググッと志賀が進んだ。

「ああっ……ん…」
「…んッ……。ハッ、きっつ……。でも、半分…挿った…」

志賀が笑うと、その振動がダイレクトに中に伝わって…

「ぁぁ…ん…」
思わず、声を出した―





ガクッ…首を項垂れる。

「ぁ志賀…志賀?大丈…夫?ハッ…ああ…」

啼きながら、滝が心配そうな目で聞いてくる。

「ごめん…大丈夫やで?滝さん…今の、アア~ンが、も、可愛ッ……堪らんッ…」

途端にまた茹で蛸のように赤色変化した滝が

「そんなん……言わ…んッ……とい、て……」
と泣きそうになっている。

少し休憩して、鼻や唇をカシカシと甘噛みし、片手で己の体を支え、空いた手で、胸の尖りをいじくる。

「…ハ…ハッ…ぁ」

掠れた小さな声…

ビクン、ビクンと跳ねる体…

僅かに寄せられた眉根…

―セクシーだ…とんでもなく……どんだけ美味そうなんだっ!!滝さんっっ!!

『男の究極は女を完全に超える…By篤仁』

これを令和の大発見!と銘打って、どこかで発表したいくらいだ。

この美しい絵画(え)に膨らんだ胸なんかあってたまるか!
脚の間には、そりゃあもちろん、美しくもそそり立つ男の証が不可欠だ!

『実はおっぱいがついとって、股間は割れとんちゃうか?』
等と、ニヤついていた過去の自分を飛び蹴りしたい…ッ

なんと愚かしい!

それどころか、滝の男の体を見て、萎えるだろうと思っていた自分。

自分の中心で猛り狂う雄で百叩きだッ…!

―俺はほんま、アホやった!……滝さん…滝さん…!


「滝さん…メッチャいい…ほんまに、メッチャいい、綺麗…。綺麗し可愛い。何処もかしこも……全部。ここも…ここも、ここも…ここも、ここも、ここも…」

顔や体のあちこちにキスを降らせる。

篤仁のキスを受けながら、また、眉が下がり滝の顔がくっと歪む。

「志賀…好き……好き……」

「俺も…滝さん…滝さんが好きです…滝さん、だけ…一人だけ…好き」

ヒッ……滝の喉が鳴り、胸が大きく波打ったが、泣き出す前に、篤仁はすかさず、勃ち上がった滝の雄を握った。

「ぁッいや…ッ……ぁ……あ、アカン…!出てまう…から、ぁ…離して…ッ」

滝は眉をキツく寄せ、体を硬直させた。

ローションを足し、ヌルヌルにして強く扱けば、ハッハッ…と息を漏らした滝の体が細かく痙攣し、寄せた眉が広がって下がり、口が半開きになった。

小さな顎がカクカクと震える。

もう、その姿を見ているだけで発射しそうになり、奥歯をグッと噛み締めて耐える。


篤仁が、恥をかきたくない、経験豊富な筈の滝を失神させるほど満足させたい、滝を抱いてきた数々のゲイやバイに絶対に負けない、と必死で見漁った、どんな動画にも、こんなとんでもない色気を発する男は出てこなかった。

―反則やろ、こんなん…ッ…規格外やしッ……

篤仁の内面の死闘など滝が知るわけもなく、いよいよ快感が強まったと見え、白い喉を反らし必死に耐えている感じ…。

「は……ッん…はッ……ん、ん……ぁ」

「滝さん…出してもええよ?」
「やや…嫌…一緒に…は、ぁッ……イキたい…もんッ…ぁ…」

胸が震える。

こんなに自分は愛され、待たれていたのだという実感に愛おしさが溢れ出し、更なる興奮を連れてくる。

「よし…。ほんなら、いくよ?」
その言葉に滝が頷く。

真っ直ぐに姿勢を直し、滝の脚を更に拡げる。

滝は、あの可愛い顔から続く、この白く細い脚を今、篤仁に掴まれ、限界まで拡げられることを許している…

―ああー、この部屋にデカい鏡が欲しい!

客観的に、めいっぱい脚を拡げて、自分に挿れられている滝を見たい…。

とんでもない卑猥な願いを胸に腰を進める。

「ああ……んんん、ん…ああ…」
思わず滝が叫び、中がまた、ギュゥ…と締る。

「ぉ…んんッ…」
一気に汗が噴き出す。

マックスに成長した雄を飲み込む、滝の洞は狭く、肉厚で、ふっと気が飛びそうになるほどの、快感だ。

「気持ちいい…滝、さん……メッチャ…締る…キツい…な…。俺、こんなん…始、めて……んッ…んあッ……くッ」

「ぁ志賀…志賀…志賀……ぁ、志賀、志賀……」

何度も何度も篤仁を呼ぶ、滝の恍惚の表情(かお)が堪らなくクる。



そっと……
志賀が重なってきた。

完全に一つだ。

奥まで挿った志賀のものは、千佳史の腹から顔を出すんじゃないか?と思うほどの存在感だ。

だが、苦しさなど微塵も感じない。

その圧迫が志賀だと思えば、幸せが溢れてきて、千佳史は溺れてしまいそうだ。

「全部挿った……入るもんやな…ちっこいとこに」
乱れた千佳史の髪を後ろに撫で付けながら、志賀が額に口づけを落とし、唇にも触れるだけの口づけを落としてくる。

―志賀…好き…好き………愛しとう…

すぐに想いがこみ上げてきて泣きそうになるのを
「志賀やなかったら断っとう。黒人サイズ」
わざと少し躍けて言って、紛らわす。

「やっぱり?」

千佳史はコクコク・・と頷いて笑う。

「滝さん。俺を好きになってくれてありがとう。ずっと、好きでおってくれて、ほんまに…ありがとう」

にっこり笑う志賀の目が赤い。

―そんなん…反則!
また鼻がツーンとして、慌てて息を止め、目を瞬(しばたた)かせる。


「もう、動いてええ?」
「ええよ?全然ええよ。待ってたん?」
「だって、すぐ動いたらあかん、って、調べたら書いとったし」
「ええって。志賀が抱きたいように抱いて?志賀のもんや」
「滝さん!」

唇に噛み付かれる。
激しいキスをしながら、腰が動いてくる。

「ほんなら行くで?」
唇を離し、体を起こした志賀が、千佳史の細い腰をガシッと持った。

最初はゆっくり…焦れるほどゆっくり抽挿を繰り返す志賀は
「うー…あッ…わ、ヤバいヤバいヤバい……あー……」
と煩い。

そのお陰で、笑ってしまい、涙も引っ込んだ。

「なんか…色んな体位、したかったのにッ…無理ッ…も、良すぎて……ああ、もう出そッ…うわッ……ああ…んッ…」

「…ふ…ぁ…ぁッ…志賀イッて?…いいで?」

「もう1回…とか…出来る?体、キツイんでしょ?…ウケって」
「大丈夫。もう1回くらいやったら……ぁ…」

「ほんならイク…」
全く余裕なくそう言った志賀は、大きく腰を引くと、バシンッと前に出して来た。

ドン、と奥を突いたモノがすぐ引かれ、また、ズシンとくる。
苦しい…だが、それに伴う確かな快感…気を失いそうだ。

「うあッ……あ、あ、あ…んんッ、あ、志賀ッ、志賀ッ、ああッ」
もう、恥ずかしいもクソもない。

思い切り、愛する男の名前を、思い切り、呼ぶ。

もう、志賀、と呼んでも虚しく空に消えることはないのだ。

誰にも遠慮せず、呼びたいだけ呼べるのだ。

「滝さんッ…好きッ……好き、滝さんッ……」
「志賀ッ…志賀ッ……好き、大好きッ……」

志賀の腰が機械のように動き、抽挿が激しくなる。
「滝さん、イくよ?イク…イクイクイク……んッッ」
「は、志賀…イク……あイク…あ、……ふぁ、ッ……」

心臓の拍動のように、ビュッ…ビュッ…と強い勢いを感じる迸り…
志賀を受け止めている…

千佳史の心は、体の上昇を超えて昇りつめ、ほぼ志賀でと同時に、達した。

自分の精が腹や胸やらに飛ぶ。

「はあッ……」
汗まみれのまま、被さってきた志賀の首に巻きつく。

志賀が千佳史の頭を抱き込んで、額をくっつけてきた。

お互いの荒い呼吸を感じながら目を閉じる。



暫くそのまま、動かずいたが、微かに志賀の体が動いて、力を失ったモノが、ズル…と千佳史の中から出された。

千佳史に優しく微笑んだ志賀が、ティッシュでまず自身を拭い、千佳史の体も綺麗にしてくれて、並んで仰向けになった。

志賀の腕が頭の下に入って来て、グイッと首が持ち上げられ、横から頭を抱えられる。

自然に志賀の肩に顔がくっつく感じになり、千佳史は素直にそれに従い、目の前の肩に唇を寄せた。

「俺、何で気付かんかったかなぁ…滝さんの気持ちに。最初の男になりたかったなぁ…滝さんやったら抱けたわ、多分、最初っから…。ああ、クソッ。他の男の記憶消してな?」

その言葉に目を開けると、志賀がじっと見つめていた。

千佳史はその目を見つめ返し、苦くて甘くて大切な、心にずっと仕舞ってきた宝物を志賀に教える気になった。

「最初やで?」

「え?」
「志賀が最初。俺の」

「何で?!ちゃうやろ?ん?どういうこと?」

志賀で満たされた幸せを腹の底に感じながら、千佳史はずっと自分を支えてきたことを志賀に話した。

「うわ!中2やったら、俺も初体験や!わ、何かメッチャ嬉しいっ!ありがとう、滝さん!」
志賀は、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

今日、志賀が現れてから何度も渡される幸せ。
幾重にもコーティングされて、千佳史の心はもう、丸裸で南極に放り出されても天寿を全う出来そうだ。

「ほんまに先っぽだけやけどな、志賀が起きかけて怖なって、ピュッて逃げたから。でも、志賀の感触はしっかりあったし、俺の中ではあれが始めてやった。すごい大事な初体験。志賀に1回だけ抱かれた、って自分で言い聞かせてきた」

「夢やなかったんや…あれ…」
「え?!」

今度は千佳史が驚く番だった。

「起きとったん?」
「半分寝とった。だから俺、滝さんのまあ、エロいとこ見てそんな夢見てもた、って思って、メッチャ気まずくて…。で、卒業式も滝さんの顔、見れんくて…」

「そう…やったん?」
「うん…」

「何か…嬉しい…。俺、キモイ、って思われてると思っとったから」

「まさか!キモイなんか有り得へん。でも、やっぱガキやから、ガキなりに、なんか違う、って思う滝さんに、どう接してええか解らんかったんよ。先輩らがみんな本能のままに、っつーか、無邪気に滝さんに群がっとってさ。俺、俺だけは滝さんの負担にならん!そんな目で見ん!って、正義感のつもりで、実は単に、意地になっとっただけかもな…。でも、考えたら、そんな俺って、もしかして滝さんのこと、1番意識しとう?あの頃から?」

「そやったら嬉しい」
「ならそうや」
「うん」
「元々両思いや。どんだけも遠回りしとんねん、って、ね」

「うん…」

―元々両思いはないやろ?女好きやったクセに…

心で突っ込みながらも、志賀のその心が嬉しくて。

ほんとに…
本当に、本当に……

こんな日が来るなんて…


流した千流の涙はすっかり乾いて、今、千佳史の頬を伝うのは、暖かい幸せの千流への一筋…

「また泣いとう…」
片笑窪をへこませて笑う志賀の瞳に吸い込まれそうだ。


夢でもいい、と思いながら、夢じゃない、と、その存在を確かめるように、志賀にしがみつく千佳史は矛盾している。

    
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