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優しい人・第44話
しおりを挟む7時10分前に店に着くと、草介が店の前でタバコを吸っていた。
「あ、おはょ、草介さん…」
草介は黙って千佳史の顔を覗き込んで来る。
「な、何?」
鍵を開け、ドアを開きながらさりげなく目を逸らす。
「来たな、あの天然」
2人で一緒に店に入る。
嘘をついても仕方がない。
どうせ、気持ちは見抜かれていたのだ。
「すごいね、草介さん。お見通しってやつや」
「まあな。チカのことは穴の開くほど見つめてきたからな。ご本人はンなこた知らね~、やけどな」
「草介さん…そんな…」
「悪い。ちょっと拗ねたな。忘れろ。お前の幸せを願う気持ちはホンマやから」
草介は、掌で心臓の辺りを2度、押えた。
「ありがとう…草介さん…」
「ほんで何で泣いとん?」
「あ、バレた?」
「目、腫れっ腫れやん」
「ちょっと…嬉しいことあって」
「チカ」
いきなり抱き寄せられる。
「…ッ草介さんッ…あかんッ……」
「こうするだけや…」
「……」
草介は抱きしめた腕を強くはせず
「良かったな、チカ」
とだけ言って、腕を解いてくれた。
「ごめん…ありがとう、草介さん」
「あー、かなり辛いけどな。でも俺、子供はどうしても欲しいから、結婚はする。だから、反って諦めついて良かったわ。チカがいつまでも独りで、目の前にチョロチョロされとったら、なかなか一踏ん切りつかんとこや。は~!実家から来とう山のような見合い写真をそろそろ紐解くか~!」
「草介さん…」
ふっ…と一つ、草介が溜息をつく。
それはとても切ない溜息で…。
目を開けて見ることを、敢えてしてこなかった草介の愛を、最後に見つめる。
「舌入れへんから、最後にキスだけいい?」
プライドの高い草介の、初めて見る懇願の目。
「……」
「チカ…?」
「…ごめん」
千佳史の答えは草介にとって、意外で、そして辛い答えだったのだろう…
こんなに悲しい顔の草介を、千佳史は知らない。
―最後の草介の願いを叶えてやるべきだ……でも……
「草介さん…ごめん、出来ひん……。俺、愛とか恋じゃなかったけど、なかったけどでも、草介さんのこと好きやった…。だから、出来ひん」
「チカッ…」
今度は強く抱きしめられる。
「嬉しいわ、愛や恋じゃなくても。…ハハッ…断られて嬉しいこともあるんやな……あー、負けた!クソッ…!…誰にも負ける気せんかったんや…あいつ見るまではなー!あ~あ!よっしゃ、入ろ!」
パパン、と背中を優しく叩き、草介の腕が解かれ、2人で店に入る。
「こんばんは~!」
颯斗と最近仲のいい駿哉(しゅんや)が現れ、10分程で、《櫂》のママが来た。
今日は客足が早く、9時頃にはもう、来店する客を断らなければならない状態だった。
「チカ、1回出るわ。ママ、同伴しよか?」
草介さんは、新規の客が覗いた時に、櫂のママに声をかけて出てくれた。
それから、何組かが入れ替わり、ボックスが一つ空いたので
「同窓会すんぞ~。11時頃行くからボックス空けとけ」
と言って電話してきていた倉本の予約席を確保する。
これがもし、来た時に空いていなくても、隣りの《佳奈信》で待ってもらい、支払いは千佳史がしようと決めていた。
大概は千佳史も混ざって、早い時間にご飯を食べるが、昨年志賀との再会を果たすことになった同窓会で、初めて《千流》に来た有田も、ここをとても気に入り、それからはこうやってたまに、ランダムに《千流》に4人が集まることが増えた。
因みに、志賀が文学部同窓会に顔を出したのは、去年の5月末の会、1回だけだ。
「チカ~!」
「チカピー、久しぶり!」
「久しぶりちゃうやんけ!先月も来た!」
「1ヶ月空いたら久しぶりやんけっ!」
わあわあ言いながら、倉本と堺、常深に有田、いつもの文学部のメンバーがやって来た。
駐禁グラスを3つ、普通グラスを1つ出す。
普通グラスは堺用。
堺はバイで、精力旺盛なので、あわよくば、といつも一夜の相手を探していて、同窓会で来ても、気に入る男が来たら口説き落として、獲物と共に先に帰ることもしばしばだ。
あのとっつきにくい露衣とも何度か交えている強者だ。
「おい、チカ、これ、常深さんの誕生日、後でするから、冷蔵庫入れといてくれ」
倉本がやたらデカいケーキの箱を渡してくる。
「えー、こんなん入らへん」
「入れろ」
「ちょっと…もう…來人!」
來人は去年から、クラブのボーイを辞め、時間の自由が利くようにしてくれていている。
「はいよ、チカさん!」
「これ、隣りに預かってもらって来て?後で取りに行く、って」
「了解!」
來人が箱を持って出て、すぐに帰って来た。
「信輔さんおって、電話したら俺が持って行ったる、って!」
「おお、そうか。助かるー!」
「今日は3度目の満席っすね!」
來人が笑う。
「おう!平日やのに、有難いわ」
千佳史が笑い返した時、ドアが空いた。
「あー、すいません!今、満席で・・あ、志賀・・ごめん…今な」
千佳史の言葉を無視して、ズカズカ店内に入ってきた志賀は、カウンターを挟んで千佳史の正面に立った。
「あ、ごめん、志賀今な・・」
「滝さん。俺と一緒になって下さい」
千佳史の言葉は、被ってきた志賀の言葉で最後まで言えず…
「え?いや…だから今な、満席で………は?」
―ん?何か…今…
「俺と、一緒になって下さい」
もう1度、志賀が言う。
珍しく?真剣な眼差し。
來人があんぐりと口を開けた。
近くに居た客はザワつく。
「え…んと、それ…は…」
ボックスの倉本を見ると、すでに泣いた笑顔で、壊れた人形のようにカクカクカクカクと頷いた。
「ちょ、すいません」
カウンターに座る新規の客を押しのけ、志賀が千佳史に顔を寄せてきた。
「な、何?!」
思わず仰け反る。
「滝さん、色で商売しとう?」
急に見慣れた表情(かお)になり、今さら小声で聞いてくる志賀は、やはり日本一、天然で、そして、世界一男前だ……
「いや、例えばしとっても、それを今、聞く……」
横で來人が呟く。
至極最もな意見だ―。
「いや…」
曖昧に答える。
何と答えれば良いのやら……
「なら、大丈夫やな」
そんな不確かな回答に、心底安心したように志賀が笑う。
―あ、出た。片笑窪…
「色で商売しとうぞ?ド天然!」
入り口で大声で怒鳴ったのは、戻って来た草介。
その声はとてつもなく優しい。
だが、その優しさは、志賀には伝わらないようで…
志賀は草介をキッと見て、千佳史に向き直った。
「滝さん!俺と結婚してくれ!俺だけのモンになって下さい!」
絶叫し、手に持っていた小さな箱の蓋を開け、お願いします、のポーズで千佳史にまっすぐ、手を伸ばした。
もちろんもう、店の客全員が息をつめてその光景を見守る。
いつも態度の悪い関東から来たネコ、露衣(ろい)さえ固まっている。
どうしたらいいのか解らない。
現実と思えない。
昨日から今日、気持ちは確かめ合ったけど、こうなると、やはり、自分はこの幸せを信じきれていなかったのだと知る。
いつも人の幸せばかり見てきた。
いつも人の応援ばかりして、励まして、慰めて、一緒に泣いて、喜んで……
自分にこんな時が来るなどと、思ったこともなかったのだ。
涙がただ溢れ、今、何をしているのかよく解らない。
「チカッ!」
倉本の声が聞こえた。
―リク……俺…
「お前の番や、チカッ!幸せになれ!志賀が…お前がええ、って言うとんや!」
―志賀が……志賀が…
「滝さん?」
手を伸ばしたままの志賀が、いつまでもその手を取らない千佳史に、さすがに不安そうに呼びかける。
「滝さん、アカンの?…」
「…ぅ…アカンく…エッ……ェッ……アカンく…なぃ…エッ…うう……」
箱に手を伸ばして受け取る。
中には丸みを帯びた少し縦長のハートが顔を見せている。
「着けていい?これ、着けたら滝さん、一生、俺のモンやで?」
―着けて?…望むとこや…。傍におって欲しいんは俺や。俺の方が志賀のこと、好きやねんぞ……俺がどんだけ…どんだけ志賀のこと……大好きや、ばかー!
心ではいっぱい、志賀に話すけど、実際は嗚咽で言葉など出ては来ない。
頷くだけで精一杯だ。
「こっち出てきて?滝さん」
「チカさん、ほら」
來人が優しく両肩を押す。
酔っているわけでもないのに、何故か覚束無い脚で、千佳史は志賀の待つ、ホール中央へ歩いた。
「滝さん。ちゃんと答えて?俺と結婚、してくれますか?」
「け、結婚…て…」
―あかん、こんなん…そんな答えないやろッ…えと…えっと…
「俺、他の言い方知らんもん。ゲイの世界ではどう言うん?」
志賀の大ボケに
「こらぁ!KY!」
颯斗が笑って野次る。
「ほんまや!ここをドコやと思っとんねん!」
奏流が乗る。
「け…結婚するっ…!俺、志賀と、結婚する!して下さい!」
水を打ったように静かになる。
「……滝さんっっ!ありがとう!!大事にするっ!」
次の瞬間、目の前が真っ暗になって、その次の瞬間、志賀の匂いに包まれる。
「ふぉ~!!」
「おめでとー!」
「マスター、やったー!」
「コングラチュエーション!!!」
その時。
パパパパーン……
メンデルスゾーンの結婚行進曲と共に、何故か黒装束の修道女姿でスマホを片手に《佳奈信》のママが入って来て、あとに続き、恭しく大きなケーキを高々と掲げながら、タキシード姿の信輔が入って来た。
「お!やるやんけ、信輔っ!」
すっかりダチとなった倉本が信輔に大声をかけた。
「本日はおめでとうございます」
修道女姿の佳奈が言えば、なかなかそれっぽくて、本当の結婚式のようだ。
ケーキはボックス席のテーブルに置かれた。
「わ、そこまでやってくれるんやったら、俺もタキシードにすれば良かったー!滝さん、ドレスで」
すっかりいつもの調子の志賀が笑う。
「さっき、ドンキに走って買ってきた」
信輔がピースをする。
「篤ピーはこれ」
奏流が〝旦那〟襷を志賀にかけ
「マスターはこれ」
と颯斗が〝嫁〟の襷をかけた。
こんなおふざけが、本気で嬉しい。
「はい、ケーキカット、ケーキカット!!」
ちゃんと紅白のリボンまで巻いたケーキナイフを信輔が志賀に渡した。
「お嫁ちゃん。来なさい」
志賀が躍けて千佳史を呼ぶ。
皆が笑顔で、いつもの《千流》に戻って行くが、千佳史の嗚咽は止まらず、涙が後から後から溢れ、とても止まらない……
昨日から、もう、何度嬉しい涙を流していることか。
泣きながらも、志賀と2人でナイフを握る。
「皆様、新ご夫婦の初の共同作業でございます!カメラのお持ちの方は、どうぞ、前の方へ!」
1年前とは言え、結婚式を最近やった倉本が、司会者よろしく声を上げた。
皆が電話片手に押し寄せてくる。
20人程とは言え、すごい迫力だ。
「ケーキ、入刀っ!」
再び、倉本が叫ぶ。
―happy birthday to you,happy birthday to you,happy birthday to you,happy birthday~
盲目の黒人歌手の歌う、お馴染みのハッピーバースデーsongが流れる。
もちろん、演出は信輔。
この幸せを目に焼き付けたくて、必死で目を凝らしても、千佳史には皆の顔が滲んでしまう。
ケーキナイフを握る手は震えるが、志賀の大きな手に包まれているので無事だ……
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