おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

第7章 女の子は誰でも天使になれる

７

　責め立てるユリカさんと、エラを見ると…
タクトは思いもよらなかったようで、ひどく驚いた目を向けた。
まさか女の子に、言われるとは思ってもいなかったらしく…
2人の言うことを飲み込めず
「えっ、一体、何？どういうこと？」
キョロキョロと目玉を動かして聞いて見ると…
さすがのタクトも、その場の空気が、何か妙だ…と感じたようだった。
　ユリカさんには、ざっくりと事情を話したけれど、タクトにはまだ
だったので、エラはどう説明しようか、と少し考えている。
一体何をそんなに、こだわるのか、タクトにはさっぱりワケがわからない
様子で…何を話したらいいのだ、と迷っていると、
「レミさん（エラがそう名乗った）は、用事があるの？」
中々本題を切りださないエラに、じれったくなったのか、ユリカさんは
タクトに話しかける。
「用事？」
チラリとエラを振り向く。
それからおもむろに、タクトに向き直ると
「荷物を探を見つけた時…何も持っていなかったんでしょ？」
じぃっとタクトの目を見て言う。
「何って…持っていなかったよ？」
「それ…ホントね？」
「ホントに、決まっているじゃないかぁ～
　ウソをついて、どうするんだよぉ」
ちょっぴりムッとした顔で、言い返すので、
「そうかぁ」
それは、本当なのだろう。
タクトが何か知っていたら、いいのだけれど…
エラは祈るような思いで、そう思う。
だけどそれ以上は、何も思いださないようなので、
「そりゃあ、行きたければ、行けばいいけど」
　特に何もないから、ガッカリするだけだぞぉ？」
わざと大げさの手を広げると、いつの間にかタクトは、エラのすぐ側に
立っていた。
そうして「そうだよ」とささやいた。