おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

第16章 リターン、まさかの再会

７

　突然の王子のひと言に、エラは戸惑う…
「でも、ごめんね！
　今は別の女の子と、結婚することが、決まっているんだ」
申し訳なさそうに、王子が言う。
ちっとも悪くないのだから、謝らなくてもいいのだけれど…
エラはそう思うのだけれど、
（そうなんだ…この人、あの女の子と結婚することにしたんだ…）
すぅ～っと、エラの中でその事実を受け止めた。
そうした途端、何だか急にホッと安心したような、少し寂しいような、
そんな複雑な思いがする。
この世界には、おそらくもう、自分のいる場所が、ないのかもしれない…
ふとエラはそんな風に感じるのだ。

「あっ、ごめん、ごめん！
　こんなトコにいつまでも、立たせてしまって！
　どうぞ、中に入って！」
　背後にマーサとミキの姿を認めると、王子は明るい笑顔を見せた。
「どうぞ、好きなだけ…ここにいてもいいからね！」
そう言うと、
「あの女の子…もしかして、キミの知り合い？」
いきなり思いついたように、王子は言う。

　知り合い？
　知り合いなのだろうか？
エラは考え込む。
ある意味、知り合いなのだろう…たぶん。
じゃないと、彼女と入れ替わろうなどとは、しなかっただろう…
そうエラは思う。
（もっとも　なぜだか…ここへ戻って来てしまったけれども…）
どうしてなのだろう？
エラはそう思う。
おそらく自分の都合で、そう簡単に、運命を変えてはいけないだろう…
と思うのだけれども。
その辺は、やはろ何かあるのだろう…と、エラは深く考えるのは、
やめにしたのだった。