195 / 250
第18章 パン屋の王子様
4
しおりを挟む
「でも、おかしいわね!
いつもは黙って、こんなに帰ってこないなんてこと、ないのに…」
ようやくドリゼラは、体を動かす。
「ね、何か覚えてない?
どこへ行ったとか、知り合いとか…」
だがあくまでも、妹に探させようとしているようだ。
もちろん自分も困るのだけれども、身体が不自由なこともあり、
動くつもりはなさそうだ。
それでもアナスタシアは、母親のことが、やっぱり気になっていた。
なのでしばらくは、困ったように、ウーンと考え込む。
「そういえば…このところよく、お酒のにおいをさせていたわねぇ」
何気なくドリゼラが言うと、
「あっ」
何かを思いついたように、アナシタシアは声を上げる。
「それは、王子様の行方を、探してたんじゃあないの?」
「えっ、そうなの?」
彼女は頭をひねる。
「わかるわけがないのになぁ」
だけども2人には、ちゃんとわかっていたのだ。
王子の目に、自分達が止まることなんて…
万に一つもない、奇跡に近いことなのだ…と。
「母さんも、かなりムチャをしてたしねぇ」
「歳なのにね、毎晩毎晩、居酒屋通いをしてたら、身体を壊すよね!」
何だか微妙に、会話がチグハグで、かみ合わないのだけれども。
「それだ!」
いきなり姉娘が、何事か思いつく。
「そこへ行けば、わかるかもよ」
「そう?」
うなづきながらも、それがどこの酒場なのかまでは、この世間知らずの
2人には、わかるはずもない。
「ねぇ…どうやって、探すのよぉ」
不安を隠し切れずに、妹が聞くと
「それは、決まってるじゃない!」
姉のドリゼラは𠮟りつけるようにして、目をキラリと光らせて妹に言う。
「アンタが、その居酒屋を探すのよ!
毎晩行けば…きっと見つかるわよ」
「えぇ~っ?」
あまりの姉のムチャぶりに、アナスタシアは、
(姉さんってば、自分だけサボるんだ!)
それって、ずるいなぁ~と、ドリゼラのことをにらみつけた。
いつもは黙って、こんなに帰ってこないなんてこと、ないのに…」
ようやくドリゼラは、体を動かす。
「ね、何か覚えてない?
どこへ行ったとか、知り合いとか…」
だがあくまでも、妹に探させようとしているようだ。
もちろん自分も困るのだけれども、身体が不自由なこともあり、
動くつもりはなさそうだ。
それでもアナスタシアは、母親のことが、やっぱり気になっていた。
なのでしばらくは、困ったように、ウーンと考え込む。
「そういえば…このところよく、お酒のにおいをさせていたわねぇ」
何気なくドリゼラが言うと、
「あっ」
何かを思いついたように、アナシタシアは声を上げる。
「それは、王子様の行方を、探してたんじゃあないの?」
「えっ、そうなの?」
彼女は頭をひねる。
「わかるわけがないのになぁ」
だけども2人には、ちゃんとわかっていたのだ。
王子の目に、自分達が止まることなんて…
万に一つもない、奇跡に近いことなのだ…と。
「母さんも、かなりムチャをしてたしねぇ」
「歳なのにね、毎晩毎晩、居酒屋通いをしてたら、身体を壊すよね!」
何だか微妙に、会話がチグハグで、かみ合わないのだけれども。
「それだ!」
いきなり姉娘が、何事か思いつく。
「そこへ行けば、わかるかもよ」
「そう?」
うなづきながらも、それがどこの酒場なのかまでは、この世間知らずの
2人には、わかるはずもない。
「ねぇ…どうやって、探すのよぉ」
不安を隠し切れずに、妹が聞くと
「それは、決まってるじゃない!」
姉のドリゼラは𠮟りつけるようにして、目をキラリと光らせて妹に言う。
「アンタが、その居酒屋を探すのよ!
毎晩行けば…きっと見つかるわよ」
「えぇ~っ?」
あまりの姉のムチャぶりに、アナスタシアは、
(姉さんってば、自分だけサボるんだ!)
それって、ずるいなぁ~と、ドリゼラのことをにらみつけた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる