28 / 29
第2章
10
しおりを挟む
「紫のバラはね・・・
中々みつからないんだよ。
赤いバラや
ピンクのバラは、あるけれど
青い色素のバラは、この世に存在しない・・・
と、言われていたんだ・・・」
それは、ケンタが生まれる前・・・2人がまだ、
結婚したばかりの、貧しい新婚生活の時のことでした。
貧しい2人は、いつもめいいっぱい働いて、それでも
楽しく、ほがらかに、暮らしていました。
いつもせっせと働きましたが、その分、愛に満ち溢れていました。
そんなつましい生活を送る2人でしたが、結婚記念日のお祝いにと、彼はピンクのバラを、買ってきました。
彼は、『実はね…』と大切そうに、撮ってきたばかりの写真を見せると、得意気に話し始めたのです。
「だからね、
この花は、ここだけのオリジナル。
たった1つの花なんだ。
オーナーが、丹精を込めて、育てたバラで、
交配して、交配して、
新しい品種を、作り上げたんだ」
父さんは、まるで自分のことのように、誇らしげな顔をしました。
それからきまって、週末になると、母さんを連れて、野山をめぐり、写真を撮りました。
そして、撮った写真を、こうして母さんに見せたのです。
紫のバラは、母さんが、ケンタを身ごもったため、
父さんが1人で出かけた時に、見つけた花でした。
母さんは、そんな父さんが大好きでした。
だから、父さんがこの世界から、いなくなった時・・・母さんは、この世が終わってしまうかと
思うくらいに・・・とてもとても、苦しかったのです。
でもいまは・・・
新たな命を、手に入れました。
それが、ケンタなのです・・
母さんは、その命を、大切にはぐくむことが、
父さんとの約束だと、固く心に誓っているのです。
父さんには、もう会えないけれど、今でもこうして、
この写真の中から、語り掛けてくれるのです。
だから、こうして、ケンタと2人、がんばっていこう・・・と、心に決めているのです。
今日は、ケンタが起きてきたら、2人で、ケンタが
見つけたという、紫のバラを探しに行こう・・・
そう、母さんは思います。
ケンタの大好きな、イチゴジャムのサンドイッチを持って。
ケンタには、しぼりたてのオレンジジュースを。
私には、淹れたてのコーヒーを。
ほら・・・もうすぐ、寝ぐせをつけた、小さな幼子が、このドアをくぐって来ることでしょう・・・
まずは、ケンタのために、暖かいココアを作ってあげよう。
母さんは、台所に立ちました。
小さなキッチンのテーブルには、眠るケンタの側に
寄り添うように置かれていた、あの花が、花瓶に指してあります。
母さんは、微笑みながら、そぅっとつぶやきます。
「ねぇ、あなた・・・
今でも、私達のこと、見守ってくれますか?
これからも、見ていてくれますか?
私達のケンタも、大きくなりました。
あなたに似て、優しい元気な男の子ですよ」
すると、朝の光を浴びて・・
写真の中の父さんが、にっこりと微笑んでいるように、見えました。
中々みつからないんだよ。
赤いバラや
ピンクのバラは、あるけれど
青い色素のバラは、この世に存在しない・・・
と、言われていたんだ・・・」
それは、ケンタが生まれる前・・・2人がまだ、
結婚したばかりの、貧しい新婚生活の時のことでした。
貧しい2人は、いつもめいいっぱい働いて、それでも
楽しく、ほがらかに、暮らしていました。
いつもせっせと働きましたが、その分、愛に満ち溢れていました。
そんなつましい生活を送る2人でしたが、結婚記念日のお祝いにと、彼はピンクのバラを、買ってきました。
彼は、『実はね…』と大切そうに、撮ってきたばかりの写真を見せると、得意気に話し始めたのです。
「だからね、
この花は、ここだけのオリジナル。
たった1つの花なんだ。
オーナーが、丹精を込めて、育てたバラで、
交配して、交配して、
新しい品種を、作り上げたんだ」
父さんは、まるで自分のことのように、誇らしげな顔をしました。
それからきまって、週末になると、母さんを連れて、野山をめぐり、写真を撮りました。
そして、撮った写真を、こうして母さんに見せたのです。
紫のバラは、母さんが、ケンタを身ごもったため、
父さんが1人で出かけた時に、見つけた花でした。
母さんは、そんな父さんが大好きでした。
だから、父さんがこの世界から、いなくなった時・・・母さんは、この世が終わってしまうかと
思うくらいに・・・とてもとても、苦しかったのです。
でもいまは・・・
新たな命を、手に入れました。
それが、ケンタなのです・・
母さんは、その命を、大切にはぐくむことが、
父さんとの約束だと、固く心に誓っているのです。
父さんには、もう会えないけれど、今でもこうして、
この写真の中から、語り掛けてくれるのです。
だから、こうして、ケンタと2人、がんばっていこう・・・と、心に決めているのです。
今日は、ケンタが起きてきたら、2人で、ケンタが
見つけたという、紫のバラを探しに行こう・・・
そう、母さんは思います。
ケンタの大好きな、イチゴジャムのサンドイッチを持って。
ケンタには、しぼりたてのオレンジジュースを。
私には、淹れたてのコーヒーを。
ほら・・・もうすぐ、寝ぐせをつけた、小さな幼子が、このドアをくぐって来ることでしょう・・・
まずは、ケンタのために、暖かいココアを作ってあげよう。
母さんは、台所に立ちました。
小さなキッチンのテーブルには、眠るケンタの側に
寄り添うように置かれていた、あの花が、花瓶に指してあります。
母さんは、微笑みながら、そぅっとつぶやきます。
「ねぇ、あなた・・・
今でも、私達のこと、見守ってくれますか?
これからも、見ていてくれますか?
私達のケンタも、大きくなりました。
あなたに似て、優しい元気な男の子ですよ」
すると、朝の光を浴びて・・
写真の中の父さんが、にっこりと微笑んでいるように、見えました。
0
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる