ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第2章  伝説のホテル

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「この辺りから…圏外の地域に入るよ」
 前を向いたまま、秀人先輩は珠紀たちに言った。
「かなり山の中だからね。
 電波が入りづらいみたいだ」
「えっ、そうなの?」
初めて知った、とばかりに、カオリ先輩がわざと大きな声で言う。
後部座席の珠紀たちのことを、意識してのことだろう。

「なんでもねぇ、テレビも受信できないチャンネルがあるんだって」
まるで得意気に、自分の知識を披露するので、
カオリ先輩は無邪気な声で
「えぇ~!じゃあ今晩は、テレビも見れないのぉ?」
やや大げさな口調で、甘えるように言った。
 ところで部屋割りは、どうなっているのだろう?
急に珠紀は気になる。
さすがに1人部屋ではないだろうけれど、玲と一緒ならいいなぁと
思っていると…
「大丈夫!君たちは、一緒の部屋だからね。
 今晩の食事は、みんなでバイキングだ」
さらに楽しそうに、秀人先輩の声が響く。
だがカオリ先輩は、なぜか少し不満そうだ。
ブスリとして、運転席の秀人先輩を、うらめしそうに見ていた。

 秀人先輩の車の運転は、かなり大胆なもので、じぃっとしていないと
車酔いしてしまいそうだ…
カーブも多く、対向車がないからいいものの、
若干珠紀たちは、引きつり気味だ。
あまりキョロキョロと首を動かすのはやめ、
窓をあけて、じぃっと外の景色を眺める。
珠紀たちの隣には、玲と同じ日に、サークルを見学しに来た
女の子がもう1人、座っている。
彼女はまったく存在感がなく、最初っから黙っていて、
いることを忘れてしまいそうだ。
とても無口で、おとなしくて、寝ているのか、というくらい
身じろぎもせずに、じぃっとしている。
そういえば、もっとたくさん、先輩や新入生もいたはずではなかったか、と
珠紀は思う。
今日の歓迎合宿、参加したのはこれだけ?と幾分拍子抜けしていた。
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