ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第10章   思いがけない味方

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  この女の人は、一体何者なのか?
珠紀は不思議に思う。
「あなたも…少しは言いたいことを、言わなくちゃ!」
 山内さん、と呼ばれたオバサンが、珠紀に向かってたしなめるように言う。
「おや、髪もクシャクシャだねぇ。
 ちょっと!女の子に何をしてるのよ。
 これじゃあ、ただの誘拐犯と変わらないじゃないの」
大きな声で、この華奢なオバサンが一喝する。
(いや、私…本当に誘拐されたんですけど…)
言い返したかったけれど、あのマスクの男が、ジロリとこちらを
見ているので、言いそびれてしまう。
(それにしても…このオバサン、私のことを何と聞いているのだろう?)
やはり不思議に思うのだ。
「お客さんなんでしょ?
 それなら…それなりに、大切におもてなししなければ」
そう言い放つと、チラリと珠紀の方を向き
「ちょっと、いらっしゃい」と手招きをした。

 あの初めて来た日以来、部屋の隅にあるベッドで、さすがに縛られては
いないけど、日がな一日、座って過ごしていた珠紀の手を取る。
「ちょっと!」
そそくさとドアを開け、部屋を出て行こうとすると、男はあわてて
オバサンを呼び止める。
「おい、どこへ連れて行く?」
オバサンは珠紀の手を取ったまま、キッと男をにらみつけていた。
「武雄坊ちゃん!
 このお嬢さんを、お風呂に入れて差し上げるんですよ」
ものすごい迫力で、怒鳴りつけるように言うので…
その気迫に負けて、男はシュンとして、傍にあった椅子に
座り込んだ。
「男って,ダメですね!
 こんなことにも、気づかないんだから…」
有無を言わさずに、まくしたてると、
「さ、あなた、立てる?」
グィッと珠紀の腕を引っ張る。
てっきり男が、止めてくれるのか…
わずかに期待して、立ちすくむと、
「あっ」と声をもらすと、オバサンの背中に視線を向けた。

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