ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第12章  優しくしてよ、モンスター

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「あら、あなた…外に出してもらえたの?」
 ヒョイと柱の陰から、山内さんが顔をのぞかせた。
先ほどまで、仕事をしていたのだろうか?
いつものように、使い古したエプロンを身に着けて、お掃除道具の入った
かごを抱えていた。
「ええ」
彼女を見かけると、珠紀はホッとする。
やはりこのオバサンだけが…このとらわれの日々の味方だったのだ…と
あらためて思う。
「一緒に来た人たちが、もう帰ったんですって!
 私にも…もう帰っていいと、言われたわ」
ポツリとそう言うと、オバサンは「まぁ」と声を上げると
「よかったじゃない!」
そう叫び、珠紀の側に駆け寄った。
彼女の手を取り、嬉しそうにブンブンと振る。
「やっと、帰れるのね!」
我がことのような、喜びようだ。
「でも、私…あの人のこと、怒らせちゃった」
悲しそうにうつむくと
「あの人?あの人って、武雄坊ちゃんのこと?」
事情が呑み込めず、オバサンはキョトンとして、珠紀のことを
見つめた。

 なぜ自分が悲しいのか、わからない…
珠紀は自分の気持ちが、わからなかった。
自分でも、自分の心の動きが、理解出来ないのだ。
新たに起こる、気持ちの変化を、珠紀は持てあましていた。
「何かあったの?」
まだ訳の分からないまま、山内さんは珠紀の顔をのぞき込む。
珠紀は黙って、頭を振った。
「坊ちゃんは…自分の気に入らないことがあると、すぐに
 怒るんですよ。気にすることなんて、ないわ」
励ますように、明るくそう言うと、ポンポンと珠紀の背中をたたいた。
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