ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第14章 混線

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  つとめて明るく、山内さんが2人に近付いて来る。
「あら、ちっとも召し上がってないじゃないですか!
 お口に合わなかったんですか?」
2人の皿をのぞき込むと、彼女はわざと大きな声で言う。
「まいったなぁ」
ははっと力のない声で、武雄が言うと
「そんなことはない。
 あなたの作る料理は、どれも天下一品だ」
やや顔を引きつらせて、彼はつとめておどけた口調で言う。
「あら、そうですか?
 でもすっかり…冷めてしまっていますよ!」
山内さんの言葉に、珠紀はあわててフォークを握り締める。
むりやりレタスを突き刺す。
すっかり生ぬるくなったレタスは、少ししなびてしまい、
紙を口にくわえているようだ。

「いや、もういい」
彼がそう言うと、チラリと珠紀の方を見る。
山内さんも、珠紀の様子をうかがっているのが見えて
「あ、私は、コーヒーをもらおうかしら?」
とってつけたように言う。
「そうだな、それがいい」
彼もうなづくと
「かしこまりました」
2人の様子に気付いたものの山内さんはなぜか黙って、
部屋を出て行った。

 またも2人きりにされ…
何だか居心地の悪さを、お互いに感じる。
「あ、あの…」
沈黙に耐えかねて、珠紀が口を開く。
「なんだ?」
彼は腕組みをして、こちらを見ている。
「ここを閉めるって…冗談ですよね?」
「いや、本当だ」
「じゃあ、ここを閉めたら、山内さんは、どうなるんですか?」
思わず責めるように言う。
 ちがう、こんなことを言いたいんじゃあない。
本当に言いたいのは…
珠紀はひそかに、ため息をついた。
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