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第1章 ママの秘密
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「さぁ、頭を洗ってやろう。
目をつむって、下を向いて」
柚の父親が、優しく声をかける。
彼にとっては、至福のひと時だ。
『あなたから、ユウに何があったのか、聞いて』
妻にそう言われたのだけれど…
彼は何となく、気が進まない。
こうしている限りは、娘は何も問題なさそうに見えるからだ。
何も知らない柚は、いつものように、目をギュッとつむり、耳に
小指を突っ込んで
「ねぇ、パパ~
ママのおばあちゃんって、どんな人だったの?」
いきなりそう言い出すので、まさか、このことなのか、と彼の心臓が
ドキンと跳ねた。
「えっ、なに?
ママのおばあちゃんだって?」
藪から棒に、なんだ?
あまりに動揺したために、思わず声がひっくり返る。
だが柚は、そんなことは気に掛ける様子もなく、
「そう、ママのママだよ!」
さらにハッキリとそう言うので、
「えっ?あっ、ボクは…会ったことがないからなぁ」
何と答えればいいのか、わからないので、つい本当のことを
口走ってしまった。
(なるほどねぇ~)
ようやく妻を悩ませていた原因を、突き止めた。
「あぁ、パパのママも、もういないしなぁ~ごめんなぁ」
答えには、なっていないのだが…
丁度いい言葉が、思い浮かばない。
「ママってねぇ、お姫様だったの?」
だが、それだけにはおさまらず、さらにとんでもないことを、
柚が言い出す。
これは困ったぞ、と彼は内心汗をかいた。
「そりゃあ、まぁ~
ママも、ユウも、パパにとってはお姫様だもんなぁ」
ごまかすように言う。
ずいぶん、強引な答えだ。
これで、納得してくれるだろうか?
柚の反応が気になるけれど…
「じゃあ、流すよ!」
ひと声かけると、強引に会話を中断させた。
いつか、この日が来る、とは覚悟していたのだが…
ちょっと予定よりも、早くはないか?
彼は、内心焦っている。
(これは今晩、家族会議をせねば)
彼はチラリとそう考えると、娘の小さな体を、スポンジで泡立てた。
目をつむって、下を向いて」
柚の父親が、優しく声をかける。
彼にとっては、至福のひと時だ。
『あなたから、ユウに何があったのか、聞いて』
妻にそう言われたのだけれど…
彼は何となく、気が進まない。
こうしている限りは、娘は何も問題なさそうに見えるからだ。
何も知らない柚は、いつものように、目をギュッとつむり、耳に
小指を突っ込んで
「ねぇ、パパ~
ママのおばあちゃんって、どんな人だったの?」
いきなりそう言い出すので、まさか、このことなのか、と彼の心臓が
ドキンと跳ねた。
「えっ、なに?
ママのおばあちゃんだって?」
藪から棒に、なんだ?
あまりに動揺したために、思わず声がひっくり返る。
だが柚は、そんなことは気に掛ける様子もなく、
「そう、ママのママだよ!」
さらにハッキリとそう言うので、
「えっ?あっ、ボクは…会ったことがないからなぁ」
何と答えればいいのか、わからないので、つい本当のことを
口走ってしまった。
(なるほどねぇ~)
ようやく妻を悩ませていた原因を、突き止めた。
「あぁ、パパのママも、もういないしなぁ~ごめんなぁ」
答えには、なっていないのだが…
丁度いい言葉が、思い浮かばない。
「ママってねぇ、お姫様だったの?」
だが、それだけにはおさまらず、さらにとんでもないことを、
柚が言い出す。
これは困ったぞ、と彼は内心汗をかいた。
「そりゃあ、まぁ~
ママも、ユウも、パパにとってはお姫様だもんなぁ」
ごまかすように言う。
ずいぶん、強引な答えだ。
これで、納得してくれるだろうか?
柚の反応が気になるけれど…
「じゃあ、流すよ!」
ひと声かけると、強引に会話を中断させた。
いつか、この日が来る、とは覚悟していたのだが…
ちょっと予定よりも、早くはないか?
彼は、内心焦っている。
(これは今晩、家族会議をせねば)
彼はチラリとそう考えると、娘の小さな体を、スポンジで泡立てた。
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