シンデレラの娘たち

第5章 すべては夢になりにけり

１３

「それから、きっと…あなたたちの探しているもののことも…
　たぶん、知っていると思うわ」
　アナスタシアは、思ってもいないことを口にする。
「えっ？」
　いきなり、何を言い出すのだ？
ジュンヤは、鳩が豆鉄砲を食ったように、面食らった顔になり、
言葉を失う。
「そうなの？」
だけども柚は、すっかりご機嫌になり、ジュンヤの周りを
くるくると回る。
「ねぇ、行きましょうよぉ」
アナスタシアは二人の手を取ると、グイグイと家の裏手へと
連れて行く。
「だけど…私達は平民だから…
　立派な馬車なんて、ないんだけどね！」
にこやかにそう言う。
そうして二人を連れて来ると、古びた荷馬車が、そこには置かれていた。

　ハンスは手早く、馬を馬車に取り付けると、ジュンヤたちの前まで
移動する。
「まぁ…乗り心地は、極上…というわけにはいかないんだけどな。
　歩くよりは、マシだと思うよ」
人のよさそうな笑顔を見せると、
「どうぞ」と手を差し出した。

　こんなことをしても、いいのだろうか？
内心ジュンヤは、戸惑っている。
異世界の人物と、こうして接触しても、何かおきないのだろうか？
今のところは、大丈夫そうなのだが…
魔法使いのおばあさんからは、何も言われていないので、
問題はないのだろうか？
気にしながらも、様子をうかがっていた。