41 / 45
41 結局 守ってくれたのは和だった
しおりを挟む気持ちを入れ替えた陸はこの日を境に仕事の鬼となり飲みにも行かなくなった。
和と別れて半年後、別の支店の立ち上げの為しばらく留守にしていた部長が会社に戻ってきた。
「部長っ、お疲れ様です」
「おー!佐田係長、久しぶり」
「お久しぶりです。世田谷支店の方は落ち着きましたか?」
「どうにかな。私の留守中は社内のこと任せっきりで悪かったな。助かったよ」
「あっ…いえ」
「どうだ、今晩飲み行かないか?お礼にご馳走するよ」
「はい。わかりました」
仕事を終えた2人は料亭に入った。
「遅くなったが…係長就任おめでとう」
「ありがとうございます」
「乾杯」
「いただきます」
「大変だったろ。先月は決算月だったし」
「ま…まぁ…でもみんなよくやってくれるので助かりました」
「それも佐田係長が背中を見せてきたからだよ。それにしても久しぶりに会ったけど見違えたよ」
「えっ…そうですか?」
「何か出来る男って感じだよ」
「部長…やめて下さいよ~」
「ハハハ。でもお前とこうして2人で飲むのも本当久々だな」
「そうですね」
「そういえば…大村とはもう連絡とってないのか?」
「…はい」
「そっかー。今何やってるんだろうな」
「どうですかね」
「でもお前が係長になれたのも大村のおかげだし…よかったな」
「…え?どういうことですか…?」
「だってお前ら付き合ってなかったんだろ?大村が一方的にお前のこと…」
「ちょっ…ちょっと待って下さい。誰がそんなこと」
「本人が言ってたけど?」
「えっ。大村が⁈」
「ああ…何かお前の役職のことえらい気にしてたな」
「…どうしてですか…?」
「本社にもお前たちの噂が広まってて正直お前が役職つくの難しかったんだよ。だから大村は責任感じて本当のこと話したんだろう」
「本当のことって…」
「だから…大村が一方的にお前のこと好きだったってこと。広川が撮った写メだって大村がお前の手を無理矢理握ったって言ってたな…そうなんだろ?」
「そ…そんな」
「自分が辞めたら疑いも晴れるからって退職届出してきたけど」
「それって…いつですか」
「役職会議の前の週の…あ…確かオレが本社に行って夜遅く戻ってきた日だったな」
最後にデートした前日のあの日だ…
「お前も大変だったな~変な噂たてられて」
そんなことがあったなんて…
「大村はよっぽどお前に役職ついてもらいたかったんだな。それだけ好かれてたのか。何といっていいか…」
メモ用紙に書いてあったこと…
嘘だ…‼︎
何が男同志が無理で目が覚めただよ‼︎
「佐田っ?大丈夫か?」
「えっ?」
「何か顔色悪いぞ」
「あっ…あのっ」
「何だ?」
「和…あっ…いや大村はどこに行くかとか何か言ってました⁈」
「いや何も」
「、、、、」
「大村は素直でいい子だし…仕事もこれから伸びしろがあったんだけどなー。残念だよ。お前、全然酒減ってないじゃないか。オレは次何飲むかなー」
陸は部長の言葉が全然耳に入ってこなかった。
和…オレの為に…
「部長っ…すみませんっ!急用思い出しましたっ」
「えっ」
「本当にすみませんっ」
陸は急いで店を出ると、街中を捜しまわった。
和っ…どこにいるんだよっ…
見つけたらタダじゃおかないからなっ‼︎
和…
結局…守るのはオレじゃなかった…
守ってくれたのは…和の方だった…
ごめん…和っ…
陸は一晩中捜しまわり、家に帰ったのは深夜2時を過ぎていた。
8
あなたにおすすめの小説
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
龍の無垢、狼の執心~跡取り美少年は侠客の愛を知らない〜
中岡 始
BL
「辰巳会の次期跡取りは、俺の息子――辰巳悠真や」
大阪を拠点とする巨大極道組織・辰巳会。その跡取りとして名を告げられたのは、一見するとただの天然ボンボンにしか見えない、超絶美貌の若き御曹司だった。
しかも、現役大学生である。
「え、あの子で大丈夫なんか……?」
幹部たちの不安をよそに、悠真は「ふわふわ天然」な言動を繰り返しながらも、確実に辰巳会を掌握していく。
――誰もが気づかないうちに。
専属護衛として選ばれたのは、寡黙な武闘派No.1・久我陣。
「命に代えても、お守りします」
そう誓った陣だったが、悠真の"ただの跡取り"とは思えない鋭さに次第に気づき始める。
そして辰巳会の跡目争いが激化する中、敵対組織・六波羅会が悠真の命を狙い、抗争の火種が燻り始める――
「僕、舐められるの得意やねん」
敵の思惑をすべて見透かし、逆に追い詰める悠真の冷徹な手腕。
その圧倒的な"跡取り"としての覚醒を、誰よりも近くで見届けた陣は、次第に自分の心が揺れ動くのを感じていた。
それは忠誠か、それとも――
そして、悠真自身もまた「陣の存在が自分にとって何なのか」を考え始める。
「僕、陣さんおらんと困る。それって、好きってことちゃう?」
最強の天然跡取り × 一途な忠誠心を貫く武闘派護衛。
極道の世界で交差する、戦いと策謀、そして"特別"な感情。
これは、跡取りが"覚醒"し、そして"恋を知る"物語。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜
星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; )
――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ――
“隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け”
音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。
イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる