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9話 そうするしかない
しおりを挟むシュンが今日の出来事を聞きに来ると思った父親は、シュンにどう話していいのかわからなかった。
悩んだ挙げ句、用事があるからとシュンに家に来ないようにメールを送った。
そして、妻にも敢えて何も言わなかった。
この日の夜、スミは母親に呼ばれて実家に行った。
「何、話しって」
「地曽田さんのことだけど…」
「まだ反対してるなら私帰る」
「反対してる理由を教えるから」
「向こうの家とは合わないんでしょ。シュンにもそう言ったんでしょ」
「そうよ。関わって欲しくないの」
「どうしてよ!」
「スミはまだ小さかったから知らないだろうけど…お父さんね、長い間愛人がいたのよ…」
「え?愛人って…お父さんが⁈」
「そう」
「知らなかった…お父さんが…信じられない…でもどうして今頃そんな話するの?」
「地曽田さんと関係してるからよ」
「それ…どういう事?」
「私たちを苦しめてきたお父さんの愛人だった人は…地曽田さんの継母なのよ」
「…え」
「信じられないでしょ?私も顔合わせの日あの女が来た時は心臓が止まりそうだったわ」
だからあの日…
お母さんは急に帰ったんだ…
「お母さん…そんな事って…」
「本当よね…」
「そ…それで、シュンのお母様はお母さんのこと知ってるの?」
「ええ。あの後2人で話したけど…」
「何を話したの?」
「あの女はお父さんから散々お金もらっておきながら足りないくらいなんて言うし、私とお父さんが離婚してくれてたら病気にならず死なずに済んだかも知れないって言われたわ…」
「な…何それ!酷い!!」
「スミ…地曽田さんとお父様はいい人よ。だけどあの女がスミの姑になるなんて有り得ないわ…」
「だから急に反対してたのね…」
「ごめんね。スミ…」
「お母さんは悪くない。悪いのはお父さんよ‼︎」
「そうだけど…結局お父さんは戻って来たんだけど、その後もあの女は家に押しかけて来たりして嫌がらせを続けてたのよ」
「そんな…」
「私は一生あの女を許せない。スミはそんな女が姑になってもいいの?」
「…嫌。有り得ない」
「じゃあ…地曽田さんと別れて」
「…無理」
「スミ‼︎」
「シュンは知ってるの?」
「いいえ。知らないから黙ってなさい。地曽田さんとあの女は不仲のようだから、お父さんとしては知って欲しくないみたい」
そうよね…
お父さんの立場だったらシュンとお母様にこれ以上の壁を作らせたくないはずよね…
それにお父さん…心臓悪いし心配させたくない…
「私のせいでもいいから何か理由を作って近いうちに別れなさい。もし別れないのなら私はスミと親子の縁を切るしかないと思ってる…」
「そんな‼︎」
「あなたたちは愛し合ってるのに…本当にごめんね…」
母親は涙を浮かべていた。
「お母さん…」
追い込まれたスミは1時間近く沈黙の中で考えた。
「スミ…私にはあなたしか居ないから縁を切りたくなくて別れさせようとしてるけど…考えてみたらスミの人生だもんね」
「、、、、」
「スミが決めなさい」
「お母さん…」
スミの目からも涙が溢れていた。
「シュンと…別れるよ…」
「スミ…」
「そうするしかないんだよね…私もお父さんの愛人だった人とは無理だよ」
母親はスミを抱きしめた。
「ごめんね…スミ…辛い思いさせて本当にごめんなさい…」
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