私の愛する人【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
上 下
12 / 25

12話 テソンの実家

しおりを挟む
1週間後、2人はテソンの実家に行った。

「ここだよ」

(す、すごい家…)

テソンがカギを開け中へ入ると、家政婦さんが来てリビングに案内された。
そこには、母親と父親が待っていた。

「テソン、久しぶりだな。急に帰ると連絡してくるなんて、どうしたんだ?」

「うん、実は2人に紹介したい人がいるんだ」

母親と父親は寿美子を見る。

「あ、あの…初めまして。寿美子といいます」

「俺の彼女」

すると、ずっと黙っていた母親が口を開く。

「いきなり帰ってきて、何なの!」

「ごめん、今まで帰らずに…」

「帰ってこなかった理由は大体分かってるが、連絡くらいしてくれてもよかったんじゃないか?」

「あなた、今までどれだけお見合い相手に迷惑かけたと思ってるの⁈」

「何度も行かなかったことは悪いと思ってるよ。だけど、したくないのに勝手に話を進めるからだろ」

「テソンには、ちゃんとした人と結婚して欲しいのよ。自分の子供の幸せを願うのは当然でしょ」

「母さんは自分のためにでしょ。俺は今ここにいるスミじゃなきゃダメなんだ」

母親は寿美子をじっと見る。

「あなた、何してる人なの?」

「あっはい…飲食店で働いてます」

「大学は?どこだったの?」

「大学には行ってません。高校を卒業後は介護の仕事をしてました」

母親は深くため息をついた。

「母さん!大学とか関係ないだろ‼︎」

「あなたは黙ってなさい」

「寿美子さんだっけ?こっちの人じゃないでしょ?日本の方?」

「はい、日本人です」

「そうなの⁈何てこと‼︎」

「だから何だよ!何でそんなに驚くんだよ!」

「ど、どこで知り合ったのよ。日本人なんかと!」

「出会ったのは済州島だよ」

「何でそんなとこで…」

「テソンさんのイベントがあって…私が参加したんです」

嘘はつきたくなかった。

「あなた、テソンのファンってこと⁈テソン!ファンに手を出したの⁈」

「そんなんじゃないから。初めはイベントだけど、その後ドラマの撮影で福岡に行って…それからなんだ」

「寿美子さんはこっちにずっと住んでるんですか?」

「は…はい」

「今一緒に住んでるから。俺がこっちに呼んだ」

「あなたたち、一緒に住んでるの⁈」

「ああ。結婚も考えてる」

(テソン…)

「認めて欲しい…俺、スミじゃなきゃダメなんだ」

「だけど…お前…」

「絶対に許しません‼︎結婚なんて!今すぐ別れなさい‼︎」

「母さん‼︎」

「テソン、どうしちゃったのよ!何でよりによって日本人なんかと…しかも学歴もない、ただの一般人じゃない。あなたにはもっと相応しい人がたくさんいるのに!」

寿美子は悔しくて涙が出てきた。それに気づいたテソンは、寿美子の手を握って立ち上がった。

「話にならない。来たのが間違いだったよ。もう勝手にする!行こう、スミ」

テソンは寿美子の手を引き、家を出て車に乗った。

「スミ、ごめんね」

「ううん、ある程度は覚悟していたから」

寿美子は母親の言葉を思い出し、涙が止まらない。
テソンは車を停めた。

「ちょっと降りようか」

車を降りるとテソンは寿美子を抱きしめた。

「母さんの代わりに謝るよ。母さんが酷いこと言ってごめん」

「大丈夫だよ。ちょっとショックだったけど、テソンがはっきり言ってくれて安心した」

「俺がスミのこと守るから」

「テソン…」

「信じて着いてきてくれる?」

「うん」

「ありがとう」

「今度、私の母にも会ってくれる?」

「本当に⁈合わせて!」

(今日のことは忘れよう…お母様には気に入られなかったけど、初めから分かってたし…それにブレないテソンに安心したから…何があってもテソンを信じられる…前向きになろう…)

































しおりを挟む

処理中です...