私の愛する人【完結】

真凛 桃

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14話 罠

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テソンと寿美子はソウルに戻り、家でのんびり過ごしていた。

「スミのお母さん、いい人だったなー」

「喜んでたね!」

(それに比べて俺の母親は…)

「テソン、やっぱりテソンのお母さんにも認めてもらいたい」

「でも、ひどいこと言うし聞く耳持たないよ!」

「私は何を言われても、もう泣かない。認めてもらえるように頑張るから…ねっ」

「…スミ」

「お願い‼︎」

「わかったよ。その代わり先ずは俺1人で話して来るから」

「ありがとう」

「近いうち行って来るよ」

3日後、テソンは実家に行った。

「あら、もう来ないんじゃなかったの?」

「そのつもりだったけど…」

「それともあの子と別れたの?」

「違うよ!母さんに認めてもらいたくて」

「まだ言ってるの⁈認めないって言ったでしょ」

「母さん‼︎」

「テソン…何であの子なのよ。あなたにはもっと相応しい人がいるはずよ」

「スミ以外は考えられないんだ…わかってよ」

「いくら言っても認めません!」

「…本当は俺だって来たくなかったよ。そう言うと思ってたし。でもスミはちゃんと認めてもらいたいって言うから…」

「あの子がそう言ったの?」

「ああ…」

「そうなのね、じゃあ認めてあげる」

「本当?」

「その代わりひとつ条件があるわ」

「条件?」

「ロックホテルの会長の娘さんと一度会って欲しいの」

「え?何でだよ」

「あなたのファンらしいの…会長からテソンに会わせて欲しいって頼まれてるの。会うだけだから…」

「会ったらスミのこと認めてくれるの?」

「ええ」

「…どうして?何か怪しいけど」

「何が怪しいのよ!私とお父さんの顔があるからよ。ロックの会長よ!」

「、、、」

「会わないなら別にいいわよ。あの子のこと認めないだけだから」

「ちょっと考えさせて…」

「来週の土曜日だからね」

「電話するよ」

テソンはそのまま家に帰った。
21時すぎ、仕事を終えた寿美子が帰って来た。

「おかえり」

「ただいま!テソン帰ってたんだね」

「うん。ご飯は?」

「お店で食べてきたよ」

「そっか」

「どうしたの?何だか元気ないけど」

「あっ、ごめん。ちょっと考え事してて…ビールでも飲もっか」

「うん❤︎」

「あ!そうそう!今日ジョングムから連絡あったんだけど、今度セジュンさんの実家で食事するんだって」

「そうなんだ」

「このままトントン拍子で行ったりして」

「スミ…今日さ、実家に行って母さんと話してきた」

「え?そうなの⁈どうだった?」

「相変わらずだった…」
 
「そっか…」

「ただ…俺がある条件をのめば認めてくれるって」

「本当⁈条件って⁈」

「ある所の会長の娘が俺のファンみたいで…会うだけみたいだけど…」

「え…」

「会うだけでいいって…何か引っ掛かるし…正直どうしたらいいか…」

「それで認めてくれるんでしょ?」

「…うん」

「じゃあ会って‼︎」

「え?イヤじゃない。」

「会うだけでしょ。テソンのこと信じてるし大丈夫だよ」

「…わかった。母さんを信じて会うよ」

「うん。認めてもらいたいもん」

「…そうだね」

次の日、テソンは母親に電話をかけた。

「もしもし母さん…昨日の話だけど。会うよ」

「本当に⁈娘さん喜ぶわよー!」

「本当に、会うだけだよね?」

「ええ。今回はすっぽかさないでよ!相手はロックホテルの会長の娘さんなんですからね!」

「わかってる…ちゃんと行くよ」

「じゃあ、詳しいことは、相手方に聞いてメールでおくるわね」

翌日、母親からメールが届いた。

~~~~~~~~~~~~~~~

12月10日(土)  20:00
ロックホテルラウンジ 個室A

~~~~~~~~~~~~~~~

(ロックホテルかよ…)


当日、テソンはロックホテルに行く前に、寿美子が働く店へ行った。
店に入り、寿美子を店の外へ連れ出す。

「どうしたの⁈」

「今から会ってくる」

「あ…うん」
 
「何も心配しなくていいからね」

「うん、わかった!」

「遅くならないように帰るから」

テソンはそう言うと、寿美子のおでこにキスをして待ち合わせ場所に向かった。

本当は、他の女性と2人で会われるのは嫌だったけど、それで認めてもらえるのなら…と我慢した寿美子だった。

(大丈夫…テソンのこと信じてるし…)

待ち合わせしたホテルのラウンジに到着し、テソンが中に入ると、会長と娘が座っていた。
会長も居たのでテソンはホッとする。

「やあ、テソンくん久しぶりだね」

「会長、お久しぶりです」

「まぁ、座りなさい」

「はい」

「この子が私の娘だよ」

「テソンさん初めまして。ユナと言います」

「どうも」

「テソンくんは、お酒飲めるよね?何か飲みなさい」

「車ですのでお酒はちょっと…」

「代行を呼べばいいだろう?」

「すみません。結構です」

「はっきりしているな~。でもまぁ君のそういうとこが良いんだけどね」

「お父様、私はウイスキーを頂きます」

「テソンくん、ユナは昨年度までバーハード大学に通ってたんだよ。今はホテル経営の勉強中でね」

「そうですか」
(何か変だ…)

「でも息子もいるし、跡継ぎはユナじゃなくていいから、好きなようにさせてもいいと思ってる。今すぐ結婚したいのなら、そうしてもいいし。孫の顔も見てみたいしね」

「…そうですか…えっ?」

「もう、お父様‼︎」

ユナはペースを上げて、ウイスキーを飲み出す。

「テソンくんは仕事は順調かね?」

「はい」

「それは良かった。今日は感謝しているよ。ユナにも幸せになって欲しいし…わかってくれるよね?テソンくん」

「え?一体どういうことですか?」

「今後のことは2人で話しなさい。私はお先に失礼するよ」

「お父様、お気をつけて」

「ちょっと、会長!」

会長は行ってしまった。

「あの…ユナさん、今日はどういうつもりで会ったんですか?」

「え?お見合いでしょ」

「お見合い⁈」
(騙された…)

「テソンさんって、俳優されてるんですね。私テレビ見ないし、ずっとこっちに居なかったから…正直知りませんでした。でも今日、初めてお会いして、私の理想を上回る方で驚きました❤︎」

「あの…すみません。自分はお見合いのつもりじゃなかったんですけど」

「え⁈そうなんですか⁈」

「だから、すみませんが…」

「でもいいです!私、テソンさんのこと好きになりました!」

「ちょっと待って下さい!」

「どうしてそんなにカッコいいんですか⁇」

「あの…酔ってますよね?」

「ちょっと酔ってるかも…」

「今日のことは無かったことにしましょう。もう帰ります」

「そんな‼︎ひどいですっ」 

テソンが席を立ち出て行こうとすると、ユナがテソンの腕を掴んだ。
テソンが腕を振り解くと、ユナは大袈裟に転んだ。

「す、すみませんっ、大丈夫ですか⁈」

「酔って1人じゃ歩けません…」

テソンは仕方なくユナの腕を掴んで、ホテルの外に出た。
ユナはテソンにベッタリともたれかかっている。
テソンはユナをタクシーに乗せようとすると、ユナがいきなりキスをしてきた。
テソンは慌てて、ユナを引き離した。

「じゃ、また!」

とユナはタクシーで帰って行ったが、テソンは怒りに達していた。






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