菱形の陽暉楼(女探偵キラサとあやかしの鬼神)

南逆賊

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第二話 人外レストラン

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 昔風の佇まいの裏通りを、碁盤の目に沿って進むと…薄暗い電灯の点滅する、小さい食堂にたどり着く…その中で、探偵と助手のふたりは、状況を整理していた…
 「何か…ゴメンね…まるで主人が、食材にでもなってたかの様な、引きだったわ…」
 「結局…死因は、衰弱死でしたね…ま…酷い死に方だった事には…」
 陰気な雰囲気のウェイトレスが、テーブルに料理を運んでくる…
 「お昼…中断しちゃったから…食べ直しよ…」
 「よくも…まぁ…」
 「何?」
 「いえ…何でも…」
キラサに言い返せない、弱気なユズキは…運ばれ来た、見知らぬ料理に目を奪われる…
 「コレは?」
 「知らないの…クトゥルフのソテーよ…」
タコの足の様なそれは、ピクピクと動いた…
 「ん~美味し…」
舌鼓を打つキラサの後に、白く長いコック帽をかぶったシェフが…音も無く突如、横に現れる…
 「いかがですか…姫様…」
 「悪くないわね…でも、客は選んだ方が良くってよ…」
使っていたナイフを、玄関に投げるキラサ…
 グサッ!
 「オ~ホッホッホ…」
額にナイフが、刺さったまま…マンガみたいな笑い方で、店に入って来る縦ロールの幼児体型の女…左右にひとりずつ、警官を連れている…
 「ちっ…やな奴…」
 「市ヶ谷警部…」
明らかに不快感を表すキラサと、親しげに立ち上がるユズキ…
 「また…ヘッポコ探偵モドキが…しゃしゃり出てるようね…でも、ご安心を…この天才刑事、市ヶ谷さつきが来たからには…もう解決したも、同然よ…ホ~ホッホ…ゲホゲホ…」
むせながら、強がるチビッコ刑事に、想いを馳せるユズキ…
(この女性刑事は、キラサさんの元同僚で、僕の上司だった人…彼女が警察上層部と揉めて、辞職する時…僕もついていったんだけど…さつきさんは、最後まで僕を止めてくれたな…)
 「で…優秀な刑事さんは…犯人の目星はついてるのかしらね…」
挑発する様に、髪をかき上げるキラサ…
 「え~ん…ゆずぅ~キラサがイジメる…そんで、何かさっきから…頭痛い…」
 「ナイフ刺さってますよ…よしよし…」
さつきの頭から刃物を抜き…血を拭いてやるユズキ…
 「おい…どっちの味方だ…」
 「僕はいつも…キラサさんの下僕ですよ…ご心配無く…」
 「なら…よろしい…」
(アレ、顔赤い…もしかしてデレてる?)
 「デレて、ね~し…」
(マズイ…心読まれてる…てな事を言いながら、結局昔馴染みのよしみで…お互い協力する話になったわけですが…)
 「で…アンタら…妖怪退治って…それ以前に、依頼者は行方不明だって言うじゃない…」
 「フフ…でもね…犯人の手掛かりは、見つけちゃったんだ…」
 「キラサさん…それって」
 「ユズ…アンタも、気づいてるはずよ…」
 「ですね…」
 「な…なによ…アンタらだけ…分かったフリして…」
焦るさつき刑事の方を同時に向いて、声を合わせるふたり…
 「頭、刺されて…死なないって…」
 「あ…バレた…」
向かいに座る、元同僚が魔物へと…変化してゆく姿に、全く動じないキラサとユズキだった…
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