菱形の陽暉楼(女探偵キラサとあやかしの鬼神)

南逆賊

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第三話 あやかしの鬼神

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 「ユズキ…」
 「ハイハイ…どうぞ…」
イヤイヤ頬を、キラサに向ける…
パシッパシッ!
 「いや…一回で、ええやろ…」
往復ビンタされ…思わず大阪弁が出た、彼の姿は…小柄な青年から、2メートル近くの大男に変貌してゆき…頭部から、2本の大きな角が這い出し…その目は、白目が消えて漆黒の光を放つ…そうユズキは、彼女に殴られる事により、本来の姿に戻るのだ…
 「ヒヒヒヒ…」
ボコーダーがかかった様な、濁った笑い声を発し…市ヶ谷刑事だった者は、首を伸ばし…胴体を蛇化させる…
 「フッ、あんな…可愛いかったのにな…」
弱々しかった声から、低音の渋い響きに変わり…鬼神と化した彼は、右手の爪を伸ばす…
 「鬼か…ソレがどうした…」
ギュルギュルギュル…
そのウロコがかった姿態で…彼のカラダに絡みつき、攻撃を防ぐ…
 「グハッ…」
その締め付けは、全身に喰い込み…血を吐かせる…
 「ユズ…ガンバって…チュッ!」
キラサが、投げキッスをすると…彼の全身に電流が走り、蛇の妖怪を引きちぎり…粉々にする…
バリバリバリバリ~!
 「ユズ…ダメじゃない…奴に話、聞かなきゃ…」
 「残念…死んじゃってるぜ…」
 「ま…私が、魅力的過ぎたのね…」
 「ふざけるな…人間風情が…グガガ…」
既に、さっきの原型を留めない…醜悪なウロコの蛇顔の女の首だけが、大口を開けて…キラサを呑み込もうとするが、鬼神は余裕で対応する…
 「光子(ビーム)…滅殺(デストロイ)…」
両角の先に光を溜め…球体に固め、一気に放出する…
ズガガガガ~!
 一瞬にして、骨となり…そのまま気体へ…
 「よく出来ました…ユズ…」
 「ご褒美は?」
変身状態では、ふてぶてしい探偵助手…
 「もう…んっ…」
キラサが、鬼のホッペにキスすると…徐々に顔つきは、穏やかになり…元の小柄な青年姿に戻る…
 「で…市ヶ谷ちゃんは、たぶん…喰われちゃってるね…」
 「いえ…まだ、気配を感じます…あの娘の残滓を…」
 「へ…変態…」
 「なんでやねん…でも、コレ…スーハー」
妖怪の残骸を手に取り、匂いを嗅ぐユズキ…
 「やっぱ…変態…」
 「ハァ~、キラサさん…行きますよ…」
 「ちっ…」
相手にする事を諦める彼と、何故か不機嫌そうな、女探偵…
 
 「クンクン…ここです…」
古びた廃神社に、たどり着くふたり…その奥には、灰色の仁王像が…
 「お願いします、キラサさん…」
 「ヘイヘイ…あらよっと…」
 ガシャ~ン!
ユズキに言われ…キラサが巨大トンカチで、仏像を破壊すると…
 「え~ん!オシッコしたいよ~」
中から、本物の市ヶ谷さつき刑事が、出て来る…そして、呆れ顔のキラサ…
 「ガキか…」

 
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