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第六話 失速の回廊
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「お前が…この王宮の姫様か…」
「私を殺して…もう、こんな所いたくない…」
鬼が、鉄の扉に閉じ込められていた…美しい銀髪のお姫様に詰め寄っていた…
「こんな…何不自由ない暮らしに、何の不満がある…」
「不満だらけよ…お母様は、私に酷い仕打ちを…」
バサッ!
無言で、姫の服を剥ぎ取る鬼…
「イヤ…」
そのカラダには、無数の青アザと…切り傷が…
「あの人は…自分の若さを保つために…私の血をすするの…」
尖った爪の生えた手で…その傷跡を優しく撫でる鬼…
「あ…」
その冷たさに、一瞬ビクッてなるが…次第に、そこから放たれる温もりに…心を奪われる…
「痛みが…消えてく…」
アザと傷は、徐々に無くなり…美しい白い肌が蘇る…
「どうして?」
「傷んでる肉は…美味しくないからな…フフフ…」
ドンドンッ!ガシャッ!
「こ…この鬼め!姫から離れろ!」
扉をこじ開けて…術師の男が、手に妖力を溜める…と、その時…
ウィ~ン…
鬼が、空間に円を描く…すると、虹色の異空間が現れた…
「来るか?」
「ええ…」
姫を抱き抱え…その中に消えてゆく…長い長い回廊を進んで…時間も空間も越えて…ふたりだけの世界へと…
しかし、その空間は…まだ、閉じられていなかった…
「フッ…そんな事もあったわね…」
最初の時間軸のキラサは、本をパタンッと閉じる…
「キラサさん…蛇の魔法に惑わされないで…」
「モチロンよ…でもね…ユズキ…コッチ来て…」
食事が運ばれる前の厨房に、侵入するキラサの後をついて行くと…
「ま、まだ準備中ですよ…」
焦った様子の依頼者の女…
「ホラ…ここ見て…」
天井を指さすキラサ…そこには…
「糸か…」
何かに、気づくユズキの頭上に…巨大な蜘蛛が…
「お…お母さん?」
「はい…僕の母です…たぶん、本によると…」
カサカサ…ガタンッ…
天井を這い回る蜘蛛の脚が…一冊の本を落とす…
[チビッコ刑事みさきの大冒険]
表紙にそう書かれた、ハードカバーの書物が下に落ちると…
「助けてぇ~!」
中から声が聞こえる…
「市ヶ谷刑事…」
ユズキが、本を手に取ると…白黒の挿絵が、カラーに変わり動き出す…
「一旦引くわよ…」
彼の手を掴み、走って店を出るキラサ…
「またのお越しを…」
不気味にお辞儀する…依頼者の女…
(異なった時間軸で訪れた…キラサさんの顔馴染みのレストランに戻った僕達は、テーブルの上に例の本を置いて…事態の整理をする事にした…)
「でさ…結局…ドコまでが現実なの?」
「たぶん…僕達が辿った事は全て起こってるんですよ…ただ…幼い頃の僕が、父親に捨てられそうになった瞬間のイメージ映像から、いきなり…古本屋の主人が殺される前の時間軸に、戻されただけです…」
「じゃ…コイツは?」
本を指で、不機嫌そうに…トントン叩くキラサ…
「市ヶ谷刑事は…その時、僕らとは違う空間に飛ばされて…最初からやり直させられたんでしょうね…この本に、そう書いてあります…」
「そ…本人から、話聞きましょ…マスターお湯持って来て…」
彼女が、厨房に声をかけると…しばらくして、ポットを自ら持ってくる、店主の男…
「キラサさんの…お知り合いですよね…」
ユズキは、何となく知っている様な気のする、男に声をかけてみる…
「ユズ…この人はね…」
バサッ!
キラサがその男のコック帽を、手で跳ね飛ばすと、頭に二本の角が…
「私を殺して…もう、こんな所いたくない…」
鬼が、鉄の扉に閉じ込められていた…美しい銀髪のお姫様に詰め寄っていた…
「こんな…何不自由ない暮らしに、何の不満がある…」
「不満だらけよ…お母様は、私に酷い仕打ちを…」
バサッ!
無言で、姫の服を剥ぎ取る鬼…
「イヤ…」
そのカラダには、無数の青アザと…切り傷が…
「あの人は…自分の若さを保つために…私の血をすするの…」
尖った爪の生えた手で…その傷跡を優しく撫でる鬼…
「あ…」
その冷たさに、一瞬ビクッてなるが…次第に、そこから放たれる温もりに…心を奪われる…
「痛みが…消えてく…」
アザと傷は、徐々に無くなり…美しい白い肌が蘇る…
「どうして?」
「傷んでる肉は…美味しくないからな…フフフ…」
ドンドンッ!ガシャッ!
「こ…この鬼め!姫から離れろ!」
扉をこじ開けて…術師の男が、手に妖力を溜める…と、その時…
ウィ~ン…
鬼が、空間に円を描く…すると、虹色の異空間が現れた…
「来るか?」
「ええ…」
姫を抱き抱え…その中に消えてゆく…長い長い回廊を進んで…時間も空間も越えて…ふたりだけの世界へと…
しかし、その空間は…まだ、閉じられていなかった…
「フッ…そんな事もあったわね…」
最初の時間軸のキラサは、本をパタンッと閉じる…
「キラサさん…蛇の魔法に惑わされないで…」
「モチロンよ…でもね…ユズキ…コッチ来て…」
食事が運ばれる前の厨房に、侵入するキラサの後をついて行くと…
「ま、まだ準備中ですよ…」
焦った様子の依頼者の女…
「ホラ…ここ見て…」
天井を指さすキラサ…そこには…
「糸か…」
何かに、気づくユズキの頭上に…巨大な蜘蛛が…
「お…お母さん?」
「はい…僕の母です…たぶん、本によると…」
カサカサ…ガタンッ…
天井を這い回る蜘蛛の脚が…一冊の本を落とす…
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表紙にそう書かれた、ハードカバーの書物が下に落ちると…
「助けてぇ~!」
中から声が聞こえる…
「市ヶ谷刑事…」
ユズキが、本を手に取ると…白黒の挿絵が、カラーに変わり動き出す…
「一旦引くわよ…」
彼の手を掴み、走って店を出るキラサ…
「またのお越しを…」
不気味にお辞儀する…依頼者の女…
(異なった時間軸で訪れた…キラサさんの顔馴染みのレストランに戻った僕達は、テーブルの上に例の本を置いて…事態の整理をする事にした…)
「でさ…結局…ドコまでが現実なの?」
「たぶん…僕達が辿った事は全て起こってるんですよ…ただ…幼い頃の僕が、父親に捨てられそうになった瞬間のイメージ映像から、いきなり…古本屋の主人が殺される前の時間軸に、戻されただけです…」
「じゃ…コイツは?」
本を指で、不機嫌そうに…トントン叩くキラサ…
「市ヶ谷刑事は…その時、僕らとは違う空間に飛ばされて…最初からやり直させられたんでしょうね…この本に、そう書いてあります…」
「そ…本人から、話聞きましょ…マスターお湯持って来て…」
彼女が、厨房に声をかけると…しばらくして、ポットを自ら持ってくる、店主の男…
「キラサさんの…お知り合いですよね…」
ユズキは、何となく知っている様な気のする、男に声をかけてみる…
「ユズ…この人はね…」
バサッ!
キラサがその男のコック帽を、手で跳ね飛ばすと、頭に二本の角が…
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