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第五章
splash 41
しおりを挟む「…………正気ですか?」
早坂 伊織相手だが、思わずそんな事を言ってしまった。
え、と一時停止する彼の両肩をガシッと掴んだ俺は、小さく「貴方のそういう自由奔放な所が危ないって言ってるんですよ!」と指摘する。
「貴方は!誰もが知っている超有名俳優!それに付け加えて容姿端麗な貴方がデパート内をウロウロしてみて下さいよ!そうしたら…」
色んな人達に騒がれて大変な事態に……。
想像するだけで何ともまぁ、面倒……大変な事なのだろう。
コホンと小さく咳払いをしながら、「分かりましたね、それじゃあ俺は大人しく買い物に行きますから」と手を離した途端、今度は彼からガシッと掴んできた。
「そっか。俺、有名だったね。いつもマネージャーの怜にも注意されているんだけど、ついつい忘れてしまうんだよね。」
「は……」
そうだよね、うんうん、と一人で納得した彼は、次の瞬間、黒縁メガネをスッと取り外した。「ちょ…!」と声を上げる俺にはお構い無しに、彼は、長ったらしく下ろしていた髪をバッと上げて、顔が見え易い様に……って!
「そ、そんな事したらバれ、」
「まぁまぁ♪」
慌てふためく俺とは対照的に、笑顔でスマホを取り出す彼。
ざわめき出す周りを気にする事なく、「えいっ」と何かをタップした。ポカンとする俺に、次の瞬間、「ほらっ」とスマホの画面を見せつけてきた。
「こうすれば、気兼ね無く…………ね?」
「なっ……!」
スマホ画面に表示されていたのは、たった今ツイートしたばかりのコメント。
『今、公開予定のCMの撮影で共演するアイドルのシユン君と一緒にデートしてます。邪魔したり、隠し撮りはダメだよ♡』
「な、何で自分から公開処刑、むぐっ!」
何か言おうとしたら、「シー」と彼にあっさり手で口を塞がれてしまった。周りには既に数人のギャラリーがスマホを手に立っている。
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