魔法使い、双子の悪魔を飼う

よんど

文字の大きさ
13 / 99
第一部 魔法使い、双子の悪魔を飼う

13

しおりを挟む
「此処は魔族の残党が住みつくオルバーク領とほぼ隣り合わせの森だ。結界が甘過ぎたみたいだね。もっと強化しておかないと」
「そうじゃなくて!」

悲痛な様子で訴えてくるヨル。
ギュッと僕の自前のローブの端を握る彼は何か別の回答を求めていた。

「何で俺達を助けるんだ。確かに俺達は生きたいと思っている。でも、だからといって無関係のあんたがここ迄干渉する必要なんてない」

ただ助けたいと直感で思ったから助けた──そんな曖昧な理由で誰かを助けるなんて、彼等の中にはない。
僕だって、元々そんなに何かに干渉するタイプじゃない。与えられた命に従い、それに応じる迄だ。僕は別に善人じゃない。あの出来事だって、色んな事が積み重なって起きただけの偶然に過ぎなかった。




「──もう、僕達はなんだ。君達が助けてって言ったら何処迄でも駆けつける。それが君達にとっての僕の存在理由だ」

ふと、思い浮かんだ「かぞく」というワード。この言葉の意味は断片的にしか分からない。以前、王宮内の図書館で見た本に書いてあったかぞくの話。幼子を抱く様に男女が肩を寄り添っている絵が印象的だった。今、何となく思い出した。

(助けた理由にちゃんとした名前が欲しいみたいだから思わず言ったけど.....使い方、合っているのかな)

内心ヒヤヒヤしながら腕の中のヨルに笑い掛ける。治癒が終わると、セルはゆっくりと瞼を開き「あれ、俺一体.....」と辺りを見渡す。グッと唇を噛んだヨルは起き上がると「そう」とだけ短く返す。そして──

が何か分からないけれど、あんたに敵意が無い事はもう分かった。セルもあんたに懐き始めてるし、俺はもう何も言わない。後.....」

背を向け、混乱するセルを連れて歩き出すヨル。ぴたっと動きを止めると、少しだけこちらに顔を向け静かに続ける。

「助けてくれてありがとう。.....リュシー」
「!」

照れ臭そうに耳を真っ赤にしてお礼を言ってくれたヨル。あんなにツンツンしていた彼が素直にお礼を言った事に歓喜した自分はすかさず「リュシーって言ったね、今!」とちょっかいを掛けてしまう。心底うざったそうに顔を顰めるヨルは「うるさい」と短く吐き捨て家に戻る。未だ状況を把握出来ていないセルを抱き締めた。

こうして、僕達の歪な日常は改めて始まった。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】奪われて、愛でられて、愛してしまいました

  *  ゆるゆ
BL
王太子のお飾りの伴侶となるところを、侵攻してきた帝王に奪われて、やさしい指に、あまいくちびるに、名を呼んでくれる声に、惹かれる気持ちは止められなくて……奪われて、愛でられて、愛してしまいました。 だいすきなのに、口にだして言えないふたりの、両片思いなお話です。 本編完結、本編のつづきのお話も完結済み、おまけのお話を時々更新したりしています。 本編のつづきのお話があるのも、おまけのお話を更新するのもアルファポリスさまだけです! レーシァとゼドの動画をつくりました!(笑) もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから飛べます! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

処理中です...