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第一部 魔法使い、双子の悪魔を飼う
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「此処は魔族の残党が住みつくオルバーク領とほぼ隣り合わせの森だ。結界が甘過ぎたみたいだね。もっと強化しておかないと」
「そうじゃなくて!」
悲痛な様子で訴えてくるヨル。
ギュッと僕の自前のローブの端を握る彼は何か別の回答を求めていた。
「何で俺達を助けるんだ。確かに俺達は生きたいと思っている。でも、だからといって無関係のあんたがここ迄干渉する必要なんてない」
ただ助けたいと直感で思ったから助けた──そんな曖昧な理由で誰かを助けるなんて、彼等の中にはない。
僕だって、元々そんなに何かに干渉するタイプじゃない。与えられた命に従い、それに応じる迄だ。僕は別に善人じゃない。あの出来事だって、色んな事が積み重なって起きただけの偶然に過ぎなかった。
「──もう、僕達はかぞくなんだ。君達が助けてって言ったら何処迄でも駆けつける。それが君達にとっての僕の存在理由だ」
ふと、思い浮かんだ「かぞく」というワード。この言葉の意味は断片的にしか分からない。以前、王宮内の図書館で見た本に書いてあったかぞくの話。幼子を抱く様に男女が肩を寄り添っている絵が印象的だった。今、何となく思い出した。
(助けた理由にちゃんとした名前が欲しいみたいだから思わず言ったけど.....使い方、合っているのかな)
内心ヒヤヒヤしながら腕の中のヨルに笑い掛ける。治癒が終わると、セルはゆっくりと瞼を開き「あれ、俺一体.....」と辺りを見渡す。グッと唇を噛んだヨルは起き上がると「そう」とだけ短く返す。そして──
「かぞくが何か分からないけれど、あんたに敵意が無い事はもう分かった。セルもあんたに懐き始めてるし、俺はもう何も言わない。後.....」
背を向け、混乱するセルを連れて歩き出すヨル。ぴたっと動きを止めると、少しだけこちらに顔を向け静かに続ける。
「助けてくれてありがとう。.....リュシー」
「!」
照れ臭そうに耳を真っ赤にしてお礼を言ってくれたヨル。あんなにツンツンしていた彼が素直にお礼を言った事に歓喜した自分はすかさず「リュシーって言ったね、今!」とちょっかいを掛けてしまう。心底うざったそうに顔を顰めるヨルは「うるさい」と短く吐き捨て家に戻る。未だ状況を把握出来ていないセルを抱き締めた。
こうして、僕達かぞくの歪な日常は改めて始まった。
「そうじゃなくて!」
悲痛な様子で訴えてくるヨル。
ギュッと僕の自前のローブの端を握る彼は何か別の回答を求めていた。
「何で俺達を助けるんだ。確かに俺達は生きたいと思っている。でも、だからといって無関係のあんたがここ迄干渉する必要なんてない」
ただ助けたいと直感で思ったから助けた──そんな曖昧な理由で誰かを助けるなんて、彼等の中にはない。
僕だって、元々そんなに何かに干渉するタイプじゃない。与えられた命に従い、それに応じる迄だ。僕は別に善人じゃない。あの出来事だって、色んな事が積み重なって起きただけの偶然に過ぎなかった。
「──もう、僕達はかぞくなんだ。君達が助けてって言ったら何処迄でも駆けつける。それが君達にとっての僕の存在理由だ」
ふと、思い浮かんだ「かぞく」というワード。この言葉の意味は断片的にしか分からない。以前、王宮内の図書館で見た本に書いてあったかぞくの話。幼子を抱く様に男女が肩を寄り添っている絵が印象的だった。今、何となく思い出した。
(助けた理由にちゃんとした名前が欲しいみたいだから思わず言ったけど.....使い方、合っているのかな)
内心ヒヤヒヤしながら腕の中のヨルに笑い掛ける。治癒が終わると、セルはゆっくりと瞼を開き「あれ、俺一体.....」と辺りを見渡す。グッと唇を噛んだヨルは起き上がると「そう」とだけ短く返す。そして──
「かぞくが何か分からないけれど、あんたに敵意が無い事はもう分かった。セルもあんたに懐き始めてるし、俺はもう何も言わない。後.....」
背を向け、混乱するセルを連れて歩き出すヨル。ぴたっと動きを止めると、少しだけこちらに顔を向け静かに続ける。
「助けてくれてありがとう。.....リュシー」
「!」
照れ臭そうに耳を真っ赤にしてお礼を言ってくれたヨル。あんなにツンツンしていた彼が素直にお礼を言った事に歓喜した自分はすかさず「リュシーって言ったね、今!」とちょっかいを掛けてしまう。心底うざったそうに顔を顰めるヨルは「うるさい」と短く吐き捨て家に戻る。未だ状況を把握出来ていないセルを抱き締めた。
こうして、僕達かぞくの歪な日常は改めて始まった。
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