魔法使い、双子の悪魔を飼う

よんど

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第二部 魔法使い、双子の悪魔との日々

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────
──

トントンと包丁が鳴る音がする。
同時に何かを煮込んだ様な美味しそうな匂いも鼻を掠める。誰かが来る気配がしてゆっくりと瞼を開けた直後、ガチャリと室内の扉が開かれセルが現れる。

「リュシー。夜ご飯出来たよ。昨日貸して貰った魔法学の本も読み終えた」

そう言って貸したばかりの魔法学の書物を部屋の本棚に戻すセル。眠たい目を擦りながら「えーもう読み終えたの?」とぶかぶかの部屋着を引き摺りながら隣に立つ。

「もっとゆっくり読んだらいいのに」
「魔法を覚えるのは好きだから。.....それよりちゃんと服着ろよ」

呆れた様に言った後にふぃと顔を横に逸らすセル。言われて確認すると、胸元がぱっかりと丸見えになっていた。みっともなかったかなと苦笑いしながら胸元を直す。

「ごめんね、僕の普段着殆どこんなだから。それより夜ご飯出来たんだって?楽しみだなぁ」
「ヨルが準備してる。下に行こう」

──あれから半年。
共同生活の中で共に過ごす時間はあっという間に過ぎていった。

魔物が出たあの件以降、セルとヨルの二人は以前よりずっと自分を信頼してくれた様に感じる。魔力が安定し力を使いこなせる様になったら此処から出て行く.....と息巻いていたが、二人に出て行く様子は見られない。それどころか、純魔法や生活スキルを習得しようと僕の見よう見まねで覚え始めている。二人は確実に将来強くなるし必要無いのだけれど.....探究する事は悪い事ではないし、いつか出て行く事に変わりはないから放っておいてる。

半年が経った今、二人は背が伸びて肉つきも以前より良くなってきた。見た目は人間で言うと十三、四辺りだろうか。黒褐色の肌もツヤツヤで健康的だ。欠けていた角も治癒魔法を続けているお陰か伸び始めていて元気そうである。

「セル、リュシー。完成したからシチュー注いでいってくれないか」

今日の料理担当はヨルだったらしい。
キッチンで作業をしていたヨルがにっこりと笑顔で背後に積まれた皿を指差す。ヨルはあれから物腰が柔らかくなり、いつでも笑顔を絶やさない少年になった。警戒していた鋭い目付きは解かれ、セルだけになく僕にもにこにこと愛想を振り撒く。

「じゃあ.....いつもの、言いますか」

配膳を終え、席に着いた僕達三人は顔を見合わせるとパンッと両手を合わせて告げる。

「「「」」」

──かぞくに関する本を沢山読み、まるで育ての親の様に真似事を実践していく。本に描かれた光景を辿る様に真似ていく内に少しずつ変わっていく二人。そんな彼等の様子を側で見られるのは不思議と嬉しくて一緒にいる時間も心地良い。
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