魔法使い、双子の悪魔を飼う

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第二部 魔法使い、双子の悪魔との日々

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「リュシー。お願いがあるんだ。聞いてくれるか」

不意に躊躇いがちにセルが問うてきて、シチューを掬う手を止める。真剣な面持ちの彼はどうやら僕に聞いて欲しい事があるらしい。

「なぁに、セル」
「その.....街に行ってみたいんだ」

成長してオーラを調整出来る様になる迄街には行かないという条件を思い出す。半年が経った今、二人はだいぶ魔力の扱いに慣れ始めていた。悪魔族であるのにも関わらず、基本的に二人は穏やかで誰かに危害を加えたりしない。種族は違うが心優しい彼等を見ていた森の精霊達もすっかり懐いている。

「街か。二人とも回復してきているしいいよ。念の為にローブだけは付けておこう。角を見たら街の人も興味本位で詮索するかもしれないからね」

本当は別の理由なんだけど──。
内心そう思いながら返すと「あぁ、ありがとう」と嬉しそうに笑うセル。ヨルもそんなセルを弟を見る目で優しく見つめている。
この二人は悪魔族とか関係なく心が綺麗だ。健気に生きる事を願い続けた彼等は此処で生きる術をどんどん身に付け始めている。学べば学ぶ程、興味の幅も広がっていく。彼等の成長が嬉しくて、僕は静かに微笑んだ。










*** 

「セル。いい加減今朝の事について話してくれないか」

食事が終わり、片付けをしている途中で気になっていた話の続きを持ち掛ける。リュシーが先に風呂に向かったタイミングの事だった。
ピクッと反応したセルは「何の事だよ」と洗ったばかりの皿を収めていく。相変わらずポーカーフェイスが下手くそなやつだ。

「何の話か分かりないのなら丁寧に言ってやる。お前が朝、寝ているリュシーの寝室で──」
「あぁ!分かった!分かってるから黙ってくれ!」

.....そんなに顔を赤くして本当に何をしようとしていたのだか。
頬を染めて視線を逸らすこいつの顔はまるで人間みたいに感情が豊かである。俺達悪魔は常に冷静沈着で魔法を巧みに操る存在──の筈なのだが、リュシーといると悪魔としてのプライドとかそんな事が全てどうでもよくなる。この状況を受け入れている一方で、このままでいいのかと腑に落ちない自分もいる。

「リュシーはよく眠っているだろ。街に行く事もあるけれど一日の殆どは寝室か外の岩の上で過ごしている」
「それで?」
「それで.....ちゃんと息をしているかどうか気になって、寝ているリュシーの顔を覗いたり.....ちょっと触ったりとかしてた」
「.....?!触ったのか」

何処を──と聞く前に「別に変な所じゃない!」と慌てて否定するセル。オークション会場に辿る迄のこいつの顔を思い出せば思い出す程、目の前のセルが別人みたいに思えて仕方ない。

「リュシーは角以外は殆ど俺達と同じ筈なのに、全然違うんだ。真っ白で柔らかそうで──眺めていたら、つい触っていた」
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