15 / 99
第二部 魔法使い、双子の悪魔との日々
15
しおりを挟む
「リュシー。お願いがあるんだ。聞いてくれるか」
不意に躊躇いがちにセルが問うてきて、シチューを掬う手を止める。真剣な面持ちの彼はどうやら僕に聞いて欲しい事があるらしい。
「なぁに、セル」
「その.....街に行ってみたいんだ」
成長してオーラを調整出来る様になる迄街には行かないという条件を思い出す。半年が経った今、二人はだいぶ魔力の扱いに慣れ始めていた。悪魔族であるのにも関わらず、基本的に二人は穏やかで誰かに危害を加えたりしない。種族は違うが心優しい彼等を見ていた森の精霊達もすっかり懐いている。
「街か。二人とも回復してきているしいいよ。念の為にローブだけは付けておこう。角を見たら街の人も興味本位で詮索するかもしれないからね」
本当は別の理由なんだけど──。
内心そう思いながら返すと「あぁ、ありがとう」と嬉しそうに笑うセル。ヨルもそんなセルを弟を見る目で優しく見つめている。
この二人は悪魔族とか関係なく心が綺麗だ。健気に生きる事を願い続けた彼等は此処で生きる術をどんどん身に付け始めている。学べば学ぶ程、興味の幅も広がっていく。彼等の成長が嬉しくて、僕は静かに微笑んだ。
***
「セル。いい加減今朝の事について話してくれないか」
食事が終わり、片付けをしている途中で気になっていた話の続きを持ち掛ける。リュシーが先に風呂に向かったタイミングの事だった。
ピクッと反応したセルは「何の事だよ」と洗ったばかりの皿を収めていく。相変わらずポーカーフェイスが下手くそなやつだ。
「何の話か分かりないのなら丁寧に言ってやる。お前が朝、寝ているリュシーの寝室で──」
「あぁ!分かった!分かってるから黙ってくれ!」
.....そんなに顔を赤くして本当に何をしようとしていたのだか。
頬を染めて視線を逸らすこいつの顔はまるで人間みたいに感情が豊かである。俺達悪魔は常に冷静沈着で魔法を巧みに操る存在──の筈なのだが、リュシーといると悪魔としてのプライドとかそんな事が全てどうでもよくなる。この状況を受け入れている一方で、このままでいいのかと腑に落ちない自分もいる。
「リュシーはよく眠っているだろ。街に行く事もあるけれど一日の殆どは寝室か外の岩の上で過ごしている」
「それで?」
「それで.....ちゃんと息をしているかどうか気になって、寝ているリュシーの顔を覗いたり.....ちょっと触ったりとかしてた」
「.....?!触ったのか」
何処を──と聞く前に「別に変な所じゃない!」と慌てて否定するセル。オークション会場に辿る迄のこいつの顔を思い出せば思い出す程、目の前のセルが別人みたいに思えて仕方ない。
「リュシーは角以外は殆ど俺達と同じ筈なのに、全然違うんだ。真っ白で柔らかそうで──眺めていたら、つい触っていた」
不意に躊躇いがちにセルが問うてきて、シチューを掬う手を止める。真剣な面持ちの彼はどうやら僕に聞いて欲しい事があるらしい。
「なぁに、セル」
「その.....街に行ってみたいんだ」
成長してオーラを調整出来る様になる迄街には行かないという条件を思い出す。半年が経った今、二人はだいぶ魔力の扱いに慣れ始めていた。悪魔族であるのにも関わらず、基本的に二人は穏やかで誰かに危害を加えたりしない。種族は違うが心優しい彼等を見ていた森の精霊達もすっかり懐いている。
「街か。二人とも回復してきているしいいよ。念の為にローブだけは付けておこう。角を見たら街の人も興味本位で詮索するかもしれないからね」
本当は別の理由なんだけど──。
内心そう思いながら返すと「あぁ、ありがとう」と嬉しそうに笑うセル。ヨルもそんなセルを弟を見る目で優しく見つめている。
この二人は悪魔族とか関係なく心が綺麗だ。健気に生きる事を願い続けた彼等は此処で生きる術をどんどん身に付け始めている。学べば学ぶ程、興味の幅も広がっていく。彼等の成長が嬉しくて、僕は静かに微笑んだ。
***
「セル。いい加減今朝の事について話してくれないか」
食事が終わり、片付けをしている途中で気になっていた話の続きを持ち掛ける。リュシーが先に風呂に向かったタイミングの事だった。
ピクッと反応したセルは「何の事だよ」と洗ったばかりの皿を収めていく。相変わらずポーカーフェイスが下手くそなやつだ。
「何の話か分かりないのなら丁寧に言ってやる。お前が朝、寝ているリュシーの寝室で──」
「あぁ!分かった!分かってるから黙ってくれ!」
.....そんなに顔を赤くして本当に何をしようとしていたのだか。
頬を染めて視線を逸らすこいつの顔はまるで人間みたいに感情が豊かである。俺達悪魔は常に冷静沈着で魔法を巧みに操る存在──の筈なのだが、リュシーといると悪魔としてのプライドとかそんな事が全てどうでもよくなる。この状況を受け入れている一方で、このままでいいのかと腑に落ちない自分もいる。
「リュシーはよく眠っているだろ。街に行く事もあるけれど一日の殆どは寝室か外の岩の上で過ごしている」
「それで?」
「それで.....ちゃんと息をしているかどうか気になって、寝ているリュシーの顔を覗いたり.....ちょっと触ったりとかしてた」
「.....?!触ったのか」
何処を──と聞く前に「別に変な所じゃない!」と慌てて否定するセル。オークション会場に辿る迄のこいつの顔を思い出せば思い出す程、目の前のセルが別人みたいに思えて仕方ない。
「リュシーは角以外は殆ど俺達と同じ筈なのに、全然違うんだ。真っ白で柔らかそうで──眺めていたら、つい触っていた」
243
あなたにおすすめの小説
神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【完結】奪われて、愛でられて、愛してしまいました
* ゆるゆ
BL
王太子のお飾りの伴侶となるところを、侵攻してきた帝王に奪われて、やさしい指に、あまいくちびるに、名を呼んでくれる声に、惹かれる気持ちは止められなくて……奪われて、愛でられて、愛してしまいました。
だいすきなのに、口にだして言えないふたりの、両片思いなお話です。
本編完結、本編のつづきのお話も完結済み、おまけのお話を時々更新したりしています。
本編のつづきのお話があるのも、おまけのお話を更新するのもアルファポリスさまだけです!
レーシァとゼドの動画をつくりました!(笑)
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから飛べます!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる