<本編完結>転生巫女は腹黒宰相と狂い咲く

汐瀬うに

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契約者と巫女と

06.契約印は身体に刻まれる*

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 泉の間の奥にある寝屋へは、巫女と、巫女の契約者と皇帝、そして教皇までと決まっている。

 巫女の生活の世話のため神殿全体には数人の召使いを用意しているが、巫女と男性とが寝屋にいる時間には、召使いは ー例え急務であってもー 入ることが許されない。

 もちろん、その禁としての結界は、代々皇室から《ニンフの血の濃い者神殿の守護者》が行うもの、となっているので、5名までは共に入ることができるのだが、守護者が契約者になったのだから、邪魔者が入る可能性が低くなってよかった、とハイデルは少しばかり浮かれていた。

 巫女になる貴族は神殿で身体を捧げる。これは、この国の貴族であればだれもが知ることだ。だからこそ、いかに魔力が多いからと言って軽率に「生娘のご息女を巫女としてお捧げください」とは言いづらい。

 水はもちろんこの国の大切な資源だが、その泉のもとは巫女と契約者の魔力の供給によって成り立っているということを、多くの平民たちは知らない。今も水の妖精ニンフの力に守られていると信じる者も多い。

「…そのためにも、一刻も早く、契約を完了しなくては。」

 寝屋にマリを運ぶ間、たった数分の事であるのにもかかわらず、ハイデルの気持ちは急ぐばかりだった。

 巫女の契約は、口上でのの契約と、身体を合わせる事でのの契約が合わさって正式な契約となり、効力を発揮し、魔力を泉に供給することができる。

 まさか口上での契約だけで、ここまで淫靡な姿を見せつける娘が現れようとは。もちろん見聞録を読んではいたし、様々な伝承歌も聞いて回っていた。神殿にある古い文献も記憶するほど読み漁ったが、契約前の女性がここまで乱れるとは一言も書いていなかった。

 たしか、近いことが書かれていたのはー…《生娘が泉に身を浸すとき、その身体に精を受けることで泉に魔力を与え、国を栄えさせる》だったか。だがこの一文は神殿に保存される文献の中でも禁書に近く、読むことができるのは貴族の中でも一握りだけだ。平民の中には興味本位で来るものもいるが、泉にむやみに人が近づかないよう、長きにわたって守護者が結界を張り、守っているのはそのためだ。



 これまでは、貴族の中でも魔力の十分なもの・生娘であるものという条件を満たす者を募集してきたが、今日の進展はなんだ。

 皇帝陛下の最強策士と言われる宰相のハイデルであっても、こんなにもうまくいくことがあるとは想像もしていなかった。貴族の犠牲なしに、最高の魔力と言われる濃紺の髪の生娘を、自分自身が契約者となり、手に入れることができるとは。


「貴族の犠牲がないのはもちろんありがたいが、まずは魔力の供給、完全な契約だな。

 ……マリ、起きろ。」

 快楽と不安からの解放で気をやってしまっているマリに、ハイデルは優しくない。

 ほんの10分ほど前のマリの痴態に少なからず興奮している自分と、マリをすでに口上で契約させているという優越感も相まって、反応を待つ傍から一枚しかないワンピースをするすると脱がせていく。

「…マリ。私は暇ではないし、お前との契約を遂行しなくては職務が全うできないというものだ。お前はこれから私に身も心も、愛される覚悟をしなくてはならないのだよ。起きなさい。」

 ハイデルはマリの耳元で覚悟しろと言わんばかりの言葉を吐くと、マリの意志など関係ないかのように、尖った2つの先端を、指先できゅっと摘まむ。

「っはぁ…」と小さく息を漏らしたマリを見て、ハイデルは確信に似た強気さをもって、今度はさらに指先に力を入れ、赤みを持った先端を、ぎゅうぅっと摘まみ潰した。



「……っ…ひぃぃぃ、あっ…ぁぁああっ…!…いっ!」



 何を言っているかもわからない悲鳴を上げながら、マリは両目をカッと開いて体を弓なりに反らせる。


「あぁ、よかった。身体の契約前に目を覚ましたな。これはお前が契約したことを意識することで、より、効果を発揮するから、よく見ておくんだ。」

 にんまりと笑うハイデルはとても妖艶で艶っぽく、一瞬心を奪われたが、そのときめきのように甘い時間はほんのわずかだった。

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