<本編完結>転生巫女は腹黒宰相と狂い咲く

汐瀬うに

文字の大きさ
44 / 111
華やかな城下町

44.僕を惑わす君*

しおりを挟む
 マリを腕に抱いて神殿まで帰って来たハイデルは、表の木の幹に括りつけられた仮の馬繋ぎに手綱の先を通し、馬を固定した。横抱きにして寝屋まで連れ帰るその横顔は、いつもと同じくにこやかだけれど、眉の辺りにどこかキリリとした冷静さも感じて、何を考えているのかわからない。

「…マリ、君がここへ来て約ひと月だが、何か気になることはないか。
…特に、体のことなど。」

 唐突な質問に面食らう。が、一つ気になっていることはあった。

「あ、ええと、月のものが、来ていません。」
「そう。…気付いていたんだね、よかった。」

 抱き抱えた私をベッドサイドに下ろして、おでこに軽く口付ける。小さな子に何か言い聞かせるように、床に両膝をついて目線を合わせ、大きな手のひらで私の手を両側から包むように握って、話を続ける。

「巫女は…、契約をしたその瞬間から、人の身体よりニンフの身体へ近付くんだ。
 神経はより過敏に性感を求めるし、心は歌や踊りのような芸術により強く興味を示すようになる。
 君の感情から影響を受けて植物の成長が早まったり、逆にこの森の木々が枯れると体調に影響を受けたり、人々の信仰が厚くなると魔力の増加量が上がることもあるそうだ。何となく、自覚はあるだろう?」

 マリは、ただ静かにこくり、と頷く。

「巫女と契約者の生み出す魔力が大きければ、過去には未来の予言をしたり、ほとんど永遠に近い命を手に入れたり、人間離れした能力を手に入れたものもいたらしい。
ただ、その代償として……子を宿す機能が一時的に止まる。
それが、どういうことかわかるかい?」

「えぇと…毎日契約者に抱かれることができる、とか?」

 そう、それがおそらく本来の目的だ、と納得して、一度深呼吸をする。

「そうだね。そしてその君が今、[この国で唯一、絶対に子を孕まない女の子だ]ということは。
 仮に、君をどこかの誰かが拉致監禁し、君に飽きるまで毎日性奴隷として扱っても、そのせいで君が正気で亡くなったとしても、僕が巫女の契約を切るまで、君は子を宿さない、ということだ。

 それは…もしかしたら、君が死ぬまで終わらない、永久的な性暴力を受け続ける可能性もあるってことだ。」

 真面目な顔をしたハイド様の口から「死ぬまで終わらない」と言われると、背筋に冷たいものが流れた気がした。膝立ちして目線を合わせてくれていたハイデルはまりを胸に寄せて、息ができなくて視界がチカチカするほど強く抱きしめた。

「もちろん、この事を知っている人間はごく僅かだ。限られた一部の貴族の中だけで守られてきたことだから、当然カタリナも知らないだろう。

 でも、それをもし誰か、僕らの認知していないところで知られていたら。
 何かの拍子に勘付かれたら。そして、それを…」

 その先は言葉にされなかったけれど、ハイデルは指が食い込みそうなほどに肩を強く握って、瞳に怒りを燃やしていた。

「最早僕は、君がいなくなることなんて…考えられない。」
「……心配をかけて、ごめんなさい。」
「今日は、カタリナといて、素直に出かけただけかもしれない。
 でも、もし…君を、誰かにどこかへ攫われるくらいなら、いっそのこと僕が…」

 眉間にしわを寄せて冷徹な目をした獣にベッドへ押し倒され、チョーカーをしている首に彼の手がかかる。

「君をベッドに括り付けて、心が壊れても抱いて抱いて抱き続けて。死ぬまで外へは出さないでおこうか。」

 チョーカーをぎゅっと掴まれているせいで、息が苦しい。それでも、そんな思いを胸に、探し回っていたであろうハイデルの苦しみを受けているのだと思ったら、抵抗するのは違う気がした。マリは息苦しさから涙が滲んでも、自分だけを思い、苦しんでいるハイデルを見つめ続けた。

 マリの瞳から大粒の涙がぽろりと溢れたのを見たハイデルは、ハッと気付いたように、手の力を弱めた。

「っ…っくは…っげほっ…げほっ…」

 咳と呼吸を重ねて、なんとか急いで酸素を取り入れる。意識が飛ぶほどではないし、大丈夫だ。長い前髪に隠しながらも、悲しそうに眉を顰めて私を見つめるハイデルの顔はとても辛そうで、見ていられなくて首にそっと抱きついた。

「ハイド様っ……私も貴方と、同じ気持ちです。他の人の事なんて、1秒だって考えられない。この先誰かに、壊されるくらいなら…今、抱き潰して、欲しいくらいです。」

 彼の首に抱きついた腕を一度少し離して、彼の顔に手を添えて、私から柔らかく口付けた。

「ただ、ハイド様の想像には、一つだけ…誤算があります。
私の身体は、ハイド様だけが欲しくて。ハイド様にしか、欲情…しません。

貴方に…こんなにも、いやらしくされた、私を…っ、見ててください。」

 正直こんなことを言うのは、恥ずかしさで燃え尽きて死んでしまいそうなほど恥ずかしい。それでも、彼に与えた不安を拭えるなら、と勇気を出した。ハイデルに預けていた体の重心を、少し後ろに傾ける。

 暖かくなった手をそっと首の後ろに回して、縦に二つ並んだくるみボタンを外す。そのままワンピースを胸下まで下ろして、彼がつけたピアスの飾られた両胸を露出させた。ひんやりと冷たい空気に上半身が晒される。エプロンがウエストで結ばれているから、意図せずワンピースの袖で腕を拘束されたような形になった。

 ベッドに膝立ちすると、そのままスカートの前部分を内側へ捲り上げる。パンティの後ろに繋がったリボンを外して剥き出しになったままの花芯に刺さったピアスから引き抜き、下半身もするりとあらわにする。

 左手で両胸のピアスを引いてこねくり回し、右手で花芯をちろちろと揺らすと、たらりと愛液が溢れ出した。段々と膨れ上がる疼きから、吐息と嬌声の混ざったものが唇から溢れているけれど、それすらもスパイスとなって2人を煽る。

 そのまま指先に溢れた蜜を擦り付けてゆっくりナカへ挿入すると、入口から膝に向かって、さらに溢れ出した熱い蜜がとろりと垂れる感覚を感じた。

「ねぇ、ほら、見て。
私、貴方に、殺されそうになっても、こんなに感じてる…。」

 ぐちゅ、ぐちゅ、と淫らな水音が彼に届くように、指を秘部のなかでぐるぐると動かす。彼もいつしかシャツの前をはだけさせて下着を寛がせると、自身の昂りをゆっくりと扱き始めている。ハイデルの片手が私の顔に近付き、唇を優しくなぞった後、人差し指と中指をマリの舌の上に乗せた。

 吐息というよりも、自身の疼きを伝えるための声にならない声が、時折鼻を抜ける。与えられた指先を舐め回し、喉まで唾液がこぼれている姿は、最早二人を高める材料でしかない。

 マリは自分の指先でハイド様がいつも責めてくれる気持ちいいところを見つけると、執拗にそこばかりを狙って刺激した。ただ快感に身を委ね、緩急をつけずに責めたせいか限界は近く、腰や太ももはすぐにガクガクと小刻みに震え始める。

 それでも、ハイデルに調教され尽くしたマリのナカは中指の圧迫感だけでは物足りない。自身の愛液で濡れた指をハイデルの唇まで差し出して、視線で「舐めて欲しい」と伝えたが、指先を甘噛みされて全身に快感がよぎった。

 ハイデルは愛しい人から差し出された4本の指を舐め尽くし、口に含んだ。舌に力を入れることなく、柔らかく丁寧に指先を包み、濡らした。愛情をいっぱいに塗れさせたその指は小さくて可愛らしく、また下腹部を弄る姿を見たくなって入り口へ誘導した。

 すっかり蕩け切った脳のマリに、何かを考える余裕なんてない。だらりと濡れた指先をするっとナカへ迎え入れると、先程よりも激しく、内側の膨らみをぐりぐりぐり…と刺激する。何度も押し寄せる快感の波にマリは当然耐えられるはずもなく、腰が自然と浮いてピクピクと動き、ふくらはぎ、指先に力が入った。

「んぅ…あぁ…ハイド様っ…ここ、いいのっ。
…あぁ、もういくっ、いくぅぅっ………っああぁ…っ」

 自分の手でも達しそうだと思った直前、ハイデルはマリの右手首を掴んで指を抜き、ベッドへ押し倒した。しとどに濡れた股を膝が押し開いて、ハイデルの熱くそそりたった肉棒が勢いをつけたまま、ぐぐぐっと入ってくる。

「君の指先にすら嫉妬する、僕を許せマリ。」
「っぐ…あぁぁっ…すご、い、ハイ、ドさまぁ…おっき、おっき、い、…あぁぁ…っく…はぁっ…」

 どんなに頑張ってもマリの指では到底届かないお腹の奥底まで、圧倒的な圧迫感と充実感。内臓を全て押し上げられているような、強い圧力。

「あぁぅぅぅっ…っく…んぁ、おっきい!
あっだめ、ナカ、ぐちゃぐちゃで…っきもちい、きもちいいぃぃっ」

 身体が快感でどこかへ飛んでいきそうで、右手はお尻近くのシーツを掴みながらも、ハイデルに指を突っ込まれていた口がなんだか寂しくて。マリは自分の指を咥えて、溢れ出した涎で髪がひんやりするほどに舐め尽くした。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

隻眼の騎士王の歪な溺愛に亡国の王女は囚われる

玉響
恋愛
平和だったカヴァニス王国が、隣国イザイアの突然の侵攻により一夜にして滅亡した。 カヴァニスの王女アリーチェは、逃げ遅れたところを何者かに助けられるが、意識を失ってしまう。 目覚めたアリーチェの前に現れたのは、祖国を滅ぼしたイザイアの『隻眼の騎士王』ルドヴィクだった。 憎しみと侮蔑を感情のままにルドヴィクを罵倒するが、ルドヴィクは何も言わずにアリーチェに治療を施し、傷が癒えた後も城に留まらせる。 ルドヴィクに対して憎しみを募らせるアリーチェだが、時折彼の見せる悲しげな表情に別の感情が芽生え始めるのに気がついたアリーチェの心は揺れるが………。 ※内容の一部に残酷描写が含まれます。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

処理中です...