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若き王との生活(4)※
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頬に当てられるジクムントの逞しさに衣服ごしなのか、素肌ごしなのか分からなくなる。
「マリア、俺を見ろ」
顎《あご》を優しく持ち上げられる。
優しい光をたたえた切れ長の眼差しに、マリアは頭がクラクラしてしまう。
「ジークさ――ん……」
唇を塞《ふさ》がれ、それ以上の言葉は封じられた。
唇が舌を割り、艶めかしい音と共に口内を探られてしまう。
マリアのジクムントの袖を掴む手に力がこもった。
たったそれだけの口づけだけで身体が蕩け、膝から下が崩れそうになってしまう。
と、ジクムントの腕で腰を抱かれ、辛うじて支えられる。
唇が外される。
「も、申し訳、ございません……っ」
「謝るようなことか」
ジクムントに優しく導かれ、奥の寝室へ向かう。
寝室には寝付きをよくするためか、お香が焚《た》かれている。
甘く優しい香りだった。
「ジーク様、この香りは」
「東方より献上された、香木だ。麝香《じゃこう》というらしい」
「麝香……。不思議な響きですね」
「そんなことはどうでも良い。大切なのは、ここにお前がいることだ。マリア」
「ジーク様……っ」
優しく寝台へ仰向けの格好で寝かされる。
こうしてジクムントの腕の中にいると、自分というものがどうしようもなく卑猥な存在に思えてならなかった。
「マリア。結婚の話を断り続けていたと聞いたが、何故だ」
マリアは不意な問いかけに動揺してしまう。
「なぜそれを。ヨハン様からお聞きに?」
「誰からでも良いだろう。どうなんだ?」
マリアはおずおずとうなずいた。
「何故だ」
ジクムントの無骨な指が耳の縁をなぞり、首筋をそっと触れた。
たったそれだけなのに、身体が過敏に反応してしまう。
「それは、母の手伝いをしなければなりませんから……。私が嫁げば、病気がちな母への負担が増えてしまいます……ですから」
マリアはかすかに息を切らせる。
ジクムントが身体を愛撫していたが、胸や足の付け根の露骨な場所は決して触れない。
脇や首筋、太腿を愛おしそうに触れていた。
「俺の為、ではないのか?」
ジクムントは少し切なそうな顔をする。
「ジーク様の……為……。私は、田舎貴族でございます。ジーク様とそのような関係、望むこともおこがましいです……」
夢は見ていた。しかし所詮、夢だ。
エリントロス家は貴族だが、それは所詮形式である。
他の貴族からは王から戯れに爵位を頂いた成金であると見なされているのが現実なのだ。
「そんなことは聞いていない。お前の気持ちが知りたい」
強い眼光に射られ、身体が内側より燃え上がるように熱くなる。
こんな強い気持ちを誰かにぶつけられたことなどない。
「んっ!」
不意に股の奥をさぐられ、マリアは声を上擦らせてしまう。
ジクムントの切れ長の双眸が猛々しい色を帯びた。
そこはまるで失禁してしまったみたいにぐしょぐしょだった。
胸元をくつろげられ、胸を露わにされてしまう。
すでに突起は痛いほどに疼いていた。
「まだ大して何もしていないのに……マリア、お前は淫らだな」
「申し訳ございませんっ、このようなことにどうしてなるのか分からないんです……っ」
「俺が触れたからか?」
お許しくださいませ……そう啜り泣くマリアに対して、ジクムントは執拗だった。
「答えなければ触れてやらないぞ」
「そんなこと、分かりません。私、こんなにも自分の身体が卑猥だったなんて知らなかったんです」
「それを教えたのは、俺か?」
マリアは恥ずかしさに耐えきれずジクムントの胸元に顔を埋めてしまう。
麝香《じゃこう》の甘い香りと、汗の――ジクムントの匂いとが混ざり合い、マリアの身体は火照り、汗ばんでくる。
自分の身体が淫らなものに絡めとられていく気配をひしひしと感じずにはいられなかった。
「お許しください。ジーク様のおそばにいるだけで、このようなことに……」
どうにかこうにか、そう切れ切れに呟く。
つい昨日まで男性を知らなかったはずの肉体がまるで急速に花開いたかのようなのだ。
それに頭が追いつかなかった。
ジクムントは少し乱暴な手つきで硬くなった先端をつまむ。
しかしそれは今のマリアがその刺激を求めていることを見透かしたものだった。
「んんっ!」
マリアは閨《ねや》といえども声をあげたくないと唇を引き結ぼうとするが、すぐにその唇さえジクムントによって塞がれ、舌先で蕩けさせられてしまう。
胸の頂きをくすぐられ、股の間を割り開くように指が伸ばされた。
「ジーク様、ぁっ、ぁあんっ」
ジクムントに刺激され、息が上擦り、鼓動が跳ねた。
「お前の身体はどこも素直だな。ここもすごく尖って痛いほどだ」
乳頭を嬲《なぶ》り、そして柔乳に指を食い込まされてしまう。
やわらかな丘がいびつに変形し、指の痕《あと》が残る。
それはまるでジクムントが自分の痕跡《こんせき》を刻み込みつけているかのようで強い執念をカンジさせるものだった。
それがなおさら、マリアの官能を高めていく。
恥じいり乱れる姿を、愛おしい人に覗かれてしまう――それは、マリアが感じる倒錯的《とうさくてき》な愉悦の発露だった。
しかし性に熟《じゅく》し切れていないマリアにはその正体が分からず、ただただ自分がいやらしい女に堕ちてしまったように思われてならない。
さらに股の間に進められた指がゆっくりと媚壁を探る。
「ここもぐしょぐしょじゃないか」
嗜虐《しぎゃく》的な笑みをたたえながら、愛撫する指先は優しげ。
すでに溢れるほどに花雫をこぼすそこは、ジクムントの指でまさぐられるだけでひくひくと物欲しげに戦慄いてしまう。
(おやめください、ジーク様。これ以上私をおかしくしないで下さい!)
マリアはそれでもジクムントの手管によって翻弄され、はしたなく蕩けていく。
頭では何も考えられず、羞恥に頬を火照らせながら悦美にただ流されていく。
ジクムントが指先に少しでも力を入れればあっという間にそこは、無骨な人差し指を受け容れてしまう。
「ぁああんっ!」
身体が反応して、太い指を締め付ける。
「マリア、敏感だな」
ジクムントは湿った吐息混じりに囁く。
「お許し、く、下さい……っ」
しかしどうしようもないことだ。
マリアの身体でありながら全く言うことを聞いてくれない。
さらにジクムントは指を一本足した。
「んっ!」
マリアは緩く仰け反る。
秘部で感じる圧迫感は増すが、それでも貪欲に呑み込んでしまう。
「味わえば味わうほどいやらしい身体だな。これでは他の男が相手ではとても満足できないだろう。俺が満足させる他ないな」
言うや、体内に埋められた二本の指先が動かされる。
「あああ、ジーク様、いけませんっ!」
マリアは粘ついた嬌声を上げ、身悶《みもだ》えた。
汗が噴き出し、蜜肉がますます緊縮《きんしゅく》する。
こぼれる愛蜜がかきだされ、敷布《しきぬの》を汚してしまう。
指の動きに合わせて漏れ出てしまう、くちゅくちゅという水音が耳朶《じだ》を震わせる。
さらに溢れ出る秘蜜を、ジクムントは丹念に肉莢へ塗りつけてきた。
ただでさえ昂奮に支配されかかっている肉体の、敏感な性感帯への刺激。
マリアは悶絶し、両足をばたばたさせ、敷布をかき回してしまう。
発情してしまった肉体は貪欲だった。
「そうだ。もっと乱れた姿を見せてくれ」
「ぁああ、やあぁっ……ぁあっ……」
「もっと、もっと、お前のいやらしい声を聞かせてくれ」
ジクムントは囁き、唇は元より首筋や双乳へと口づけを落とす。
ジクムントに触れられるあらゆる場所が蕩け、マリアは涕泣を上げてしまう。
こんなにも戸惑っているのに、それでも幸せを感じている自分がいた。
指で掻き混ぜられ続けた蜜穴がジンジンと熱くなる。
もっと強い刺激が欲しいと、マリアは太腿をぎゅっととじ合わせ、頻りにすりつけてしまう。
「どうした、マリア」
「ジッ、ジーク様……」
マリアは鼻にかかった声を漏らす。
「ちゃんと口にしろ。指では、足りないのだろ。……何が欲しいんだ」
ジクムントの異相と呼ばれた赤い瞳全体が爛々《らんらん》と輝いていた。
彼はマリアを精神的に食い尽くそうとしているかのようだった。
しかし、今この国の王の全てを自分が独占しているのだと思うとそれはとても心地よいものだった。
いつかは正妻を迎え誰かの夫になるであろう人の愛を――たとえそれが一時の気紛れなものであったとしても――注がれることの幸せを噛みしめる。
「わ、私は」
涙の雫がこぼれるのを、ジクムントが優しく舐《な》めとる。
「……言ってくれ」
それは促すようでありながら、彼自身の急く心が言わせたようにも聞こえた。いや、そ
れはマリアが単にそう受け取りたかっただけかもしれない。
今だけはジクムントが自分だけを心から求めてくれているのだと信じたいから。
「ジーク様が、欲しい、です」
「なら……」
ジクムントは薄布を脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿になるとそっとマリアの手を引く。
「ジーク様? いかがされたのですか?」
ジクムントは突然、仰向けに寝台に横たわったのだ。
股間にある漲《みなぎ》りが天井を睨《にら》んでいた。
「跨《ひざまず》いで俺を受け容れるんだ」
「そんなこと……出来ませんっ!」
マリアは目を瞠り、小さく頭を振る。
「そんなこと、余りにも、ひ、卑猥です。何より、ジーク様を見下ろすような真似は出来ませんっ」
自分から男性のものを受け容れる。それは想像するだけでも余りにふしだらなことだ。
「俺が許す。それに、誰でもない……この俺が欲しいと言っただろう。そこはとても濡れている。いつまでも放っておく気か」
「……そればかりはお許し下さいませ……」
「許さない。マリア」
身を引こうとすると手を引かれ、呆気なく彼の胸に飛び込むことになる。
「っ」
お尻で逞しい存在感を覚えれば、マリアは慄然としてしまう。
(ジーク様のとても熱いものが、びくびくして……)
ジクムントは強くマリアを求めていた。
言葉にこそしないが、その目がそう訴えているような気がした。
一刻も早くマリアが欲しいのだと、赤い双眸が輝いている……。
マリアは身動ぎながらゆっくり上体を起こした。
下唇を噛みしめ、これから自分がすることへの躊躇いを必死に押さえこむ。
(……私を、求めて下されっておられるジーク様の為に……。今、私が出来ることをするだけ、よ……)
マリアは腰を浮かせ、脈打つ陰茎に手を添えると腰を落とした。
「ぁああん!」
漲《みなぎ》りと秘裂が重なり合えば、身体が強張る。
マリアは動揺して目を伏せると、ジクムントの視線が重なった。
「そのまま腰を下げるんだ」
「……は、はい」
ゆっくりと腰を落とせば、ジクムントの指によってたっぷりほぐされた朱唇が屹立《きつりつ》をみるみる呑《の》み込んでいく。
「ぁああっ……ぁん……っ!」
膣内が押し広げられ、雄々しいものが侵入してくる。
挿入をただ受け容れる時とは全く感覚が違っていた。
まるでヒダの一枚一枚まで捲られるのが手に取るように分かり、王を見下ろす格好でそんな愉悦を味わっていることに対する背徳感でゾクゾクしてしまう。
ズンッと力強く奥を押し上げられてしまえば、マリアは細い喉《のど》をさらして仰け反った。
まるでジクムントに全ての力を吸われでもしたみたいに、マリアは脱力してししまう。
マリアは自分の身体を支えきれず、倒れそうになるのをジクムントに手を握られ、ぎりぎりのところで踏みとどまった。
「マリア。どうだ。自分で入れる心地は?」
「へ、変です……何だか、身体がおかしくなってしまったみたいで……」
今もはっきり一番深い場所で若き王を感じ続けている。
その圧力の強さに、意識していなければ呼吸すら忘れてしまいそうになる。
(ジーク様のものが私の奥にあるのがすごく、分かるわ。今も……びくびくと、震えているのが分かる)
マリアはそれを愛おしいと思った。
「マリア。お前が俺を離したくないと強く食い締めてくるのが伝わるぞ」
耳まで真っ赤に染める。
「おっ、仰らないで……下さい……」
ジクムントが身体を起こす。すぐ間近にジクムントの端正な顔が迫った。
すでに二人の距離はぴったりと重なっている。
胎内深くまで侵略され、最早マリアはジクムントにされるがままだ。
ジクムントの指が髪を撫でる。
「お前は綺麗だな。この長い髪や柔らかな肌、円らな瞳、胸の形……全てが俺を幻惑《げんわく》させ、おかしくさせるんだ……っ」
マリアはジクムントに褒められた――それだけでもう胸が一杯になるくらい嬉しく、声も出せない。
「お前は気付かなかったかもしれないが、ずっとお前とこうなりたかった。誰に邪魔されることなく、誰を気にするでもなく……。今こうして夢が叶《かな》い、俺は満ち足りた気持ちで毎日を過ごせている」
「私もで、ございます」
ジクムントの手がお尻にかかると、ぐっと腰全体が持ち上げられる。
それまで深くまで打たれていた杭がゆっくりと抜ける。反り返った返しが蕩ける秘肉を引っ掻きかき回す。
「ぁあンッ!」
マリアはぎゅっとジクムントに抱きつく。
脳天を貫くような快美感に惑乱《わくらん》してしまう。
「マリア、お前は俺のものだ。俺だけの」
ジクムントはその言葉をまるで擦り込むように何度も繰り返す。
そうして再び長大な逸物が押し入られる。
「ああああ、ジーク様!」
「様はいらない。ジークと呼べ」
「そんなことは……」
マリアはそう呻くように呟くが、「命令だ」と再び肉幹が抜かれた。
蜜穴全体が戦慄《わなな》き、息が上擦る。
お腹に寂寥《せきりょう》感を覚えた。
「呼ばなければ、このままやめてしまうぞ」
ジクムントが口の端を持ち上げた。
「そ、そんな、ひどいですっ……」
マリアはジクムントに齧り付くように密着したまま涕泣《ていきゅう》をしてしまう。
ジクムントによってこうして淫らさを開花させられたのか、元々マリアの中にその素養があったのか。
マリアはジクムントを求めずにはいられなかった。
ジクムントは口にしたことは必ずする。やめると言えば、本当にやめてしまうだろう。
この鋼のような肉体と別れ、癒《い》えぬ欲求を抱えて長い夜を過ごす事など考えられなかった。
「……ジーク、お願いです。私を、あなたのものでもっと深く、貫いてください……」
マリアの臀部《でんぶ》に食い込んでいた指に力がこもり、再び砲身全体を嚥下《えんげ》させられる。
「あああああっ!」
ベッドが軋《きし》むのに合わせ、髪が乱れる。
汗を吹いた身体にまとわりつき、振り回されてしまう。
深くまで打ち付ける剛直の鋭さに目が眩《くら》んだ。
愛液が攪拌《かくはん》され、蜜壺を抉り抜かれる。
揺れる胸の中にジクムントが顔を潜り込ませ、突起を噛まれた。
「ジーク! 駄目です、そんなことをされてしまったら……」
「駄目なものか。締め付けがますます強くなったぞ」
「……だ、だから、駄目なのですっ!」
マリアの切迫した嬌声《きょうせい》が麝香《じゃこう》の満ちた寝室に響いた。
「お前を駄目に出来るのは俺だけだ」
ジクムントはそれまでのまるでマリアの身体の隅々を把握しようというようなゆったりとした動きを改め、一心不乱な律動を見舞う。
「あああ、い、いや、おかしくなってしまいますっ……!」
休む暇などない激しい抽送と共に胸や肩と甘噛みされ、口内を蹂躙されてしまう。
全ての刺激が強烈な恍惚へ昇華され、マリアをさらに乱れさせた。
「じ、ジーク、申し訳ございません。私、もう……」
昇り詰めていく。
身体が消し炭になってしまいそうなほどに滾《たぎ》り、ジクムントからもたらされる溺れるほどの高揚感に息が上擦ってしまう。
胎内を埋めていた力強いものが膨張する。
「出るぞ、マリア。一緒に、だ。良いな!」
「っ」
マリアは目をぎゅっと閉じ、腕に力を込めて、ただ何度もうなずく。
声を出せば、その瞬間に自分の身体がどうにかなってしまいそうな気がした。
そうして今にもはちきれんばかりの牡杭が深くまで達した次の瞬間、ジクムントが咆哮《ほうこう》を上げる。
その火傷せんばかりの牡精の到来に、マリアは身を捩り、股の間で受け容れた剛直を強く強く咥《くわ》えこむ。
「あああ、ジーク……っ!」
達する。
一度ではない。
子宮に打ち付ける荒波のような灼熱に意識が舞い上がり、二度三度と立て続けに気をやり続ける。
「いや、いやあっ、ああああ……」
マリアは子どものように泣きじゃくった。
しかしそれは決して厭《いと》うことがない、至福に満ちた瞬間だった。
「あっ、あぁぁ……っ」
長い長い恍惚《こうこつ》の果てに、マリアはジクムントにしなだれかかった。
(ジーク様……私は幸せでございます……っ)
※
「……何を読んでいる?」
マリアが蝋燭の灯りを頼りに、ジクムントの傍らで手紙に目を通していると、背中に重みを感じた。
ジクムントがそっと覆《おお》い被《かぶ》さっていた。
「あ、ジーク……起こしてしまいましたか」
「いや。それよりも、それ、恋文じゃないだろうな」
少しむっとしているジクムントに、マリアは苦笑する。
「違います。母からの手紙の返事です。今日届いたばかりなんです」
「内容を聞いても構わないか?」
「弟妹たちが元気だと言うこと。それから母の体調も良いそうです。……ジークと会えた
ことを喜んでくれています。くれぐれも失礼の無いようにしなさい、と……」
「お前が俺に失礼? アンネは心配し過ぎるな」
「そうかもしれません」
「やはり故郷が懐かしいか」
「そんなことは」
「今は無理だが、俺の方が一段落すれば呼び寄せろ。……メンデスから受けた恩をまだ返したりていないからな」
「ジーク……」
ジクムントがそっと首筋に口づけを押しつけ、マリアは「んっ」とかすかに声を漏らす。
ジクムントはマリアの髪を指先で優しく撫でながら、いつまでもじゃれつき、マリアはその心地よさにうっとりした。
「マリア、俺を見ろ」
顎《あご》を優しく持ち上げられる。
優しい光をたたえた切れ長の眼差しに、マリアは頭がクラクラしてしまう。
「ジークさ――ん……」
唇を塞《ふさ》がれ、それ以上の言葉は封じられた。
唇が舌を割り、艶めかしい音と共に口内を探られてしまう。
マリアのジクムントの袖を掴む手に力がこもった。
たったそれだけの口づけだけで身体が蕩け、膝から下が崩れそうになってしまう。
と、ジクムントの腕で腰を抱かれ、辛うじて支えられる。
唇が外される。
「も、申し訳、ございません……っ」
「謝るようなことか」
ジクムントに優しく導かれ、奥の寝室へ向かう。
寝室には寝付きをよくするためか、お香が焚《た》かれている。
甘く優しい香りだった。
「ジーク様、この香りは」
「東方より献上された、香木だ。麝香《じゃこう》というらしい」
「麝香……。不思議な響きですね」
「そんなことはどうでも良い。大切なのは、ここにお前がいることだ。マリア」
「ジーク様……っ」
優しく寝台へ仰向けの格好で寝かされる。
こうしてジクムントの腕の中にいると、自分というものがどうしようもなく卑猥な存在に思えてならなかった。
「マリア。結婚の話を断り続けていたと聞いたが、何故だ」
マリアは不意な問いかけに動揺してしまう。
「なぜそれを。ヨハン様からお聞きに?」
「誰からでも良いだろう。どうなんだ?」
マリアはおずおずとうなずいた。
「何故だ」
ジクムントの無骨な指が耳の縁をなぞり、首筋をそっと触れた。
たったそれだけなのに、身体が過敏に反応してしまう。
「それは、母の手伝いをしなければなりませんから……。私が嫁げば、病気がちな母への負担が増えてしまいます……ですから」
マリアはかすかに息を切らせる。
ジクムントが身体を愛撫していたが、胸や足の付け根の露骨な場所は決して触れない。
脇や首筋、太腿を愛おしそうに触れていた。
「俺の為、ではないのか?」
ジクムントは少し切なそうな顔をする。
「ジーク様の……為……。私は、田舎貴族でございます。ジーク様とそのような関係、望むこともおこがましいです……」
夢は見ていた。しかし所詮、夢だ。
エリントロス家は貴族だが、それは所詮形式である。
他の貴族からは王から戯れに爵位を頂いた成金であると見なされているのが現実なのだ。
「そんなことは聞いていない。お前の気持ちが知りたい」
強い眼光に射られ、身体が内側より燃え上がるように熱くなる。
こんな強い気持ちを誰かにぶつけられたことなどない。
「んっ!」
不意に股の奥をさぐられ、マリアは声を上擦らせてしまう。
ジクムントの切れ長の双眸が猛々しい色を帯びた。
そこはまるで失禁してしまったみたいにぐしょぐしょだった。
胸元をくつろげられ、胸を露わにされてしまう。
すでに突起は痛いほどに疼いていた。
「まだ大して何もしていないのに……マリア、お前は淫らだな」
「申し訳ございませんっ、このようなことにどうしてなるのか分からないんです……っ」
「俺が触れたからか?」
お許しくださいませ……そう啜り泣くマリアに対して、ジクムントは執拗だった。
「答えなければ触れてやらないぞ」
「そんなこと、分かりません。私、こんなにも自分の身体が卑猥だったなんて知らなかったんです」
「それを教えたのは、俺か?」
マリアは恥ずかしさに耐えきれずジクムントの胸元に顔を埋めてしまう。
麝香《じゃこう》の甘い香りと、汗の――ジクムントの匂いとが混ざり合い、マリアの身体は火照り、汗ばんでくる。
自分の身体が淫らなものに絡めとられていく気配をひしひしと感じずにはいられなかった。
「お許しください。ジーク様のおそばにいるだけで、このようなことに……」
どうにかこうにか、そう切れ切れに呟く。
つい昨日まで男性を知らなかったはずの肉体がまるで急速に花開いたかのようなのだ。
それに頭が追いつかなかった。
ジクムントは少し乱暴な手つきで硬くなった先端をつまむ。
しかしそれは今のマリアがその刺激を求めていることを見透かしたものだった。
「んんっ!」
マリアは閨《ねや》といえども声をあげたくないと唇を引き結ぼうとするが、すぐにその唇さえジクムントによって塞がれ、舌先で蕩けさせられてしまう。
胸の頂きをくすぐられ、股の間を割り開くように指が伸ばされた。
「ジーク様、ぁっ、ぁあんっ」
ジクムントに刺激され、息が上擦り、鼓動が跳ねた。
「お前の身体はどこも素直だな。ここもすごく尖って痛いほどだ」
乳頭を嬲《なぶ》り、そして柔乳に指を食い込まされてしまう。
やわらかな丘がいびつに変形し、指の痕《あと》が残る。
それはまるでジクムントが自分の痕跡《こんせき》を刻み込みつけているかのようで強い執念をカンジさせるものだった。
それがなおさら、マリアの官能を高めていく。
恥じいり乱れる姿を、愛おしい人に覗かれてしまう――それは、マリアが感じる倒錯的《とうさくてき》な愉悦の発露だった。
しかし性に熟《じゅく》し切れていないマリアにはその正体が分からず、ただただ自分がいやらしい女に堕ちてしまったように思われてならない。
さらに股の間に進められた指がゆっくりと媚壁を探る。
「ここもぐしょぐしょじゃないか」
嗜虐《しぎゃく》的な笑みをたたえながら、愛撫する指先は優しげ。
すでに溢れるほどに花雫をこぼすそこは、ジクムントの指でまさぐられるだけでひくひくと物欲しげに戦慄いてしまう。
(おやめください、ジーク様。これ以上私をおかしくしないで下さい!)
マリアはそれでもジクムントの手管によって翻弄され、はしたなく蕩けていく。
頭では何も考えられず、羞恥に頬を火照らせながら悦美にただ流されていく。
ジクムントが指先に少しでも力を入れればあっという間にそこは、無骨な人差し指を受け容れてしまう。
「ぁああんっ!」
身体が反応して、太い指を締め付ける。
「マリア、敏感だな」
ジクムントは湿った吐息混じりに囁く。
「お許し、く、下さい……っ」
しかしどうしようもないことだ。
マリアの身体でありながら全く言うことを聞いてくれない。
さらにジクムントは指を一本足した。
「んっ!」
マリアは緩く仰け反る。
秘部で感じる圧迫感は増すが、それでも貪欲に呑み込んでしまう。
「味わえば味わうほどいやらしい身体だな。これでは他の男が相手ではとても満足できないだろう。俺が満足させる他ないな」
言うや、体内に埋められた二本の指先が動かされる。
「あああ、ジーク様、いけませんっ!」
マリアは粘ついた嬌声を上げ、身悶《みもだ》えた。
汗が噴き出し、蜜肉がますます緊縮《きんしゅく》する。
こぼれる愛蜜がかきだされ、敷布《しきぬの》を汚してしまう。
指の動きに合わせて漏れ出てしまう、くちゅくちゅという水音が耳朶《じだ》を震わせる。
さらに溢れ出る秘蜜を、ジクムントは丹念に肉莢へ塗りつけてきた。
ただでさえ昂奮に支配されかかっている肉体の、敏感な性感帯への刺激。
マリアは悶絶し、両足をばたばたさせ、敷布をかき回してしまう。
発情してしまった肉体は貪欲だった。
「そうだ。もっと乱れた姿を見せてくれ」
「ぁああ、やあぁっ……ぁあっ……」
「もっと、もっと、お前のいやらしい声を聞かせてくれ」
ジクムントは囁き、唇は元より首筋や双乳へと口づけを落とす。
ジクムントに触れられるあらゆる場所が蕩け、マリアは涕泣を上げてしまう。
こんなにも戸惑っているのに、それでも幸せを感じている自分がいた。
指で掻き混ぜられ続けた蜜穴がジンジンと熱くなる。
もっと強い刺激が欲しいと、マリアは太腿をぎゅっととじ合わせ、頻りにすりつけてしまう。
「どうした、マリア」
「ジッ、ジーク様……」
マリアは鼻にかかった声を漏らす。
「ちゃんと口にしろ。指では、足りないのだろ。……何が欲しいんだ」
ジクムントの異相と呼ばれた赤い瞳全体が爛々《らんらん》と輝いていた。
彼はマリアを精神的に食い尽くそうとしているかのようだった。
しかし、今この国の王の全てを自分が独占しているのだと思うとそれはとても心地よいものだった。
いつかは正妻を迎え誰かの夫になるであろう人の愛を――たとえそれが一時の気紛れなものであったとしても――注がれることの幸せを噛みしめる。
「わ、私は」
涙の雫がこぼれるのを、ジクムントが優しく舐《な》めとる。
「……言ってくれ」
それは促すようでありながら、彼自身の急く心が言わせたようにも聞こえた。いや、そ
れはマリアが単にそう受け取りたかっただけかもしれない。
今だけはジクムントが自分だけを心から求めてくれているのだと信じたいから。
「ジーク様が、欲しい、です」
「なら……」
ジクムントは薄布を脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿になるとそっとマリアの手を引く。
「ジーク様? いかがされたのですか?」
ジクムントは突然、仰向けに寝台に横たわったのだ。
股間にある漲《みなぎ》りが天井を睨《にら》んでいた。
「跨《ひざまず》いで俺を受け容れるんだ」
「そんなこと……出来ませんっ!」
マリアは目を瞠り、小さく頭を振る。
「そんなこと、余りにも、ひ、卑猥です。何より、ジーク様を見下ろすような真似は出来ませんっ」
自分から男性のものを受け容れる。それは想像するだけでも余りにふしだらなことだ。
「俺が許す。それに、誰でもない……この俺が欲しいと言っただろう。そこはとても濡れている。いつまでも放っておく気か」
「……そればかりはお許し下さいませ……」
「許さない。マリア」
身を引こうとすると手を引かれ、呆気なく彼の胸に飛び込むことになる。
「っ」
お尻で逞しい存在感を覚えれば、マリアは慄然としてしまう。
(ジーク様のとても熱いものが、びくびくして……)
ジクムントは強くマリアを求めていた。
言葉にこそしないが、その目がそう訴えているような気がした。
一刻も早くマリアが欲しいのだと、赤い双眸が輝いている……。
マリアは身動ぎながらゆっくり上体を起こした。
下唇を噛みしめ、これから自分がすることへの躊躇いを必死に押さえこむ。
(……私を、求めて下されっておられるジーク様の為に……。今、私が出来ることをするだけ、よ……)
マリアは腰を浮かせ、脈打つ陰茎に手を添えると腰を落とした。
「ぁああん!」
漲《みなぎ》りと秘裂が重なり合えば、身体が強張る。
マリアは動揺して目を伏せると、ジクムントの視線が重なった。
「そのまま腰を下げるんだ」
「……は、はい」
ゆっくりと腰を落とせば、ジクムントの指によってたっぷりほぐされた朱唇が屹立《きつりつ》をみるみる呑《の》み込んでいく。
「ぁああっ……ぁん……っ!」
膣内が押し広げられ、雄々しいものが侵入してくる。
挿入をただ受け容れる時とは全く感覚が違っていた。
まるでヒダの一枚一枚まで捲られるのが手に取るように分かり、王を見下ろす格好でそんな愉悦を味わっていることに対する背徳感でゾクゾクしてしまう。
ズンッと力強く奥を押し上げられてしまえば、マリアは細い喉《のど》をさらして仰け反った。
まるでジクムントに全ての力を吸われでもしたみたいに、マリアは脱力してししまう。
マリアは自分の身体を支えきれず、倒れそうになるのをジクムントに手を握られ、ぎりぎりのところで踏みとどまった。
「マリア。どうだ。自分で入れる心地は?」
「へ、変です……何だか、身体がおかしくなってしまったみたいで……」
今もはっきり一番深い場所で若き王を感じ続けている。
その圧力の強さに、意識していなければ呼吸すら忘れてしまいそうになる。
(ジーク様のものが私の奥にあるのがすごく、分かるわ。今も……びくびくと、震えているのが分かる)
マリアはそれを愛おしいと思った。
「マリア。お前が俺を離したくないと強く食い締めてくるのが伝わるぞ」
耳まで真っ赤に染める。
「おっ、仰らないで……下さい……」
ジクムントが身体を起こす。すぐ間近にジクムントの端正な顔が迫った。
すでに二人の距離はぴったりと重なっている。
胎内深くまで侵略され、最早マリアはジクムントにされるがままだ。
ジクムントの指が髪を撫でる。
「お前は綺麗だな。この長い髪や柔らかな肌、円らな瞳、胸の形……全てが俺を幻惑《げんわく》させ、おかしくさせるんだ……っ」
マリアはジクムントに褒められた――それだけでもう胸が一杯になるくらい嬉しく、声も出せない。
「お前は気付かなかったかもしれないが、ずっとお前とこうなりたかった。誰に邪魔されることなく、誰を気にするでもなく……。今こうして夢が叶《かな》い、俺は満ち足りた気持ちで毎日を過ごせている」
「私もで、ございます」
ジクムントの手がお尻にかかると、ぐっと腰全体が持ち上げられる。
それまで深くまで打たれていた杭がゆっくりと抜ける。反り返った返しが蕩ける秘肉を引っ掻きかき回す。
「ぁあンッ!」
マリアはぎゅっとジクムントに抱きつく。
脳天を貫くような快美感に惑乱《わくらん》してしまう。
「マリア、お前は俺のものだ。俺だけの」
ジクムントはその言葉をまるで擦り込むように何度も繰り返す。
そうして再び長大な逸物が押し入られる。
「ああああ、ジーク様!」
「様はいらない。ジークと呼べ」
「そんなことは……」
マリアはそう呻くように呟くが、「命令だ」と再び肉幹が抜かれた。
蜜穴全体が戦慄《わなな》き、息が上擦る。
お腹に寂寥《せきりょう》感を覚えた。
「呼ばなければ、このままやめてしまうぞ」
ジクムントが口の端を持ち上げた。
「そ、そんな、ひどいですっ……」
マリアはジクムントに齧り付くように密着したまま涕泣《ていきゅう》をしてしまう。
ジクムントによってこうして淫らさを開花させられたのか、元々マリアの中にその素養があったのか。
マリアはジクムントを求めずにはいられなかった。
ジクムントは口にしたことは必ずする。やめると言えば、本当にやめてしまうだろう。
この鋼のような肉体と別れ、癒《い》えぬ欲求を抱えて長い夜を過ごす事など考えられなかった。
「……ジーク、お願いです。私を、あなたのものでもっと深く、貫いてください……」
マリアの臀部《でんぶ》に食い込んでいた指に力がこもり、再び砲身全体を嚥下《えんげ》させられる。
「あああああっ!」
ベッドが軋《きし》むのに合わせ、髪が乱れる。
汗を吹いた身体にまとわりつき、振り回されてしまう。
深くまで打ち付ける剛直の鋭さに目が眩《くら》んだ。
愛液が攪拌《かくはん》され、蜜壺を抉り抜かれる。
揺れる胸の中にジクムントが顔を潜り込ませ、突起を噛まれた。
「ジーク! 駄目です、そんなことをされてしまったら……」
「駄目なものか。締め付けがますます強くなったぞ」
「……だ、だから、駄目なのですっ!」
マリアの切迫した嬌声《きょうせい》が麝香《じゃこう》の満ちた寝室に響いた。
「お前を駄目に出来るのは俺だけだ」
ジクムントはそれまでのまるでマリアの身体の隅々を把握しようというようなゆったりとした動きを改め、一心不乱な律動を見舞う。
「あああ、い、いや、おかしくなってしまいますっ……!」
休む暇などない激しい抽送と共に胸や肩と甘噛みされ、口内を蹂躙されてしまう。
全ての刺激が強烈な恍惚へ昇華され、マリアをさらに乱れさせた。
「じ、ジーク、申し訳ございません。私、もう……」
昇り詰めていく。
身体が消し炭になってしまいそうなほどに滾《たぎ》り、ジクムントからもたらされる溺れるほどの高揚感に息が上擦ってしまう。
胎内を埋めていた力強いものが膨張する。
「出るぞ、マリア。一緒に、だ。良いな!」
「っ」
マリアは目をぎゅっと閉じ、腕に力を込めて、ただ何度もうなずく。
声を出せば、その瞬間に自分の身体がどうにかなってしまいそうな気がした。
そうして今にもはちきれんばかりの牡杭が深くまで達した次の瞬間、ジクムントが咆哮《ほうこう》を上げる。
その火傷せんばかりの牡精の到来に、マリアは身を捩り、股の間で受け容れた剛直を強く強く咥《くわ》えこむ。
「あああ、ジーク……っ!」
達する。
一度ではない。
子宮に打ち付ける荒波のような灼熱に意識が舞い上がり、二度三度と立て続けに気をやり続ける。
「いや、いやあっ、ああああ……」
マリアは子どものように泣きじゃくった。
しかしそれは決して厭《いと》うことがない、至福に満ちた瞬間だった。
「あっ、あぁぁ……っ」
長い長い恍惚《こうこつ》の果てに、マリアはジクムントにしなだれかかった。
(ジーク様……私は幸せでございます……っ)
※
「……何を読んでいる?」
マリアが蝋燭の灯りを頼りに、ジクムントの傍らで手紙に目を通していると、背中に重みを感じた。
ジクムントがそっと覆《おお》い被《かぶ》さっていた。
「あ、ジーク……起こしてしまいましたか」
「いや。それよりも、それ、恋文じゃないだろうな」
少しむっとしているジクムントに、マリアは苦笑する。
「違います。母からの手紙の返事です。今日届いたばかりなんです」
「内容を聞いても構わないか?」
「弟妹たちが元気だと言うこと。それから母の体調も良いそうです。……ジークと会えた
ことを喜んでくれています。くれぐれも失礼の無いようにしなさい、と……」
「お前が俺に失礼? アンネは心配し過ぎるな」
「そうかもしれません」
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「そんなことは」
「今は無理だが、俺の方が一段落すれば呼び寄せろ。……メンデスから受けた恩をまだ返したりていないからな」
「ジーク……」
ジクムントがそっと首筋に口づけを押しつけ、マリアは「んっ」とかすかに声を漏らす。
ジクムントはマリアの髪を指先で優しく撫でながら、いつまでもじゃれつき、マリアはその心地よさにうっとりした。
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