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じりじりと容赦ない苛烈な日射しが肌をあぶる。
ジュリアはそばの街で仕入れた馬を駆り、帝都に向かって駆ける。
脇目も振らず、馬を駆けさせた。
やがて変化が起こる。
城壁に囲まれた帝都を目視できた瞬間、空に魔導士たちが現れ、攻撃を仕掛けてきたのだ。
――これが索敵術式!
しかしその攻撃はおかしかった。
相手からまるで殺気を感じない。ただ義務的に放っているだけのように思えた。
――誘導されてるっ!
そしてその先に、マクシミリアンが姿を見せる。
「マクシミリアン!!」
ジュリアは剣を抜き、飛びかかる。しかし剣が彼に達することはなかった。それより先に、姿を隠していた魔導士たちの手から伸びる光のロープによって、全身を雁字搦めに拘束され、地面に無残に転がらされてしまう。
必死に藻掻くが、身動きが取れない。
「ジュリア、あれから……二週間か? 生きていて嬉しいよ」
マクシミリアンが不敵に微笑み、見下ろしてくる。
「マクシミリアン!!」
叫び、飛びかかろうとするが、無数に伸びた光の縄がそれを許さない。
「さあ、一体、どういう策なんだ? ん? こうして君が目立つ囮となっている隙に、ギルフォードが帝都を急襲か? とんだ浅知恵だな」
「今ごろギルが帝都を襲い、皇太子殿下たちを救い出してる!」
「いくらギルフォードが優れた魔導士であったとしても、張り巡らせた索敵魔法から逃れられるはずがない。――おい、体を検めろ。俺の女だ。敬意を持ってやれ」
「誰が、誰の女なのよ!」
「君のその怒鳴り声を聞けただけで、ゾクゾクしてすごく気分がいい……。失っていたと思っていたものが無事だと分かった……人生最良の日だよ」
マクシミリアンは余裕の微笑をたたえる。
「よくそんな気持ちの悪いことが言えるわねっ」
「ひどいな。俺にとっては大切な愛情表現だ」
「本気でイカれてるのねっ」
女魔導士が乱暴にドレスごしに体をまさぐり、そして動きを止め、それを引き抜く。
「やめて! それに触らないで……!」
青みがかった銀色の髪の束。
「……っ」
ジュリアは目を伏せた。
「貸せ」
女魔導士から髪束を受け取ったマクシミリアンはそこから何かを読み取ろうとするようにじっと見つめ、嘆息した。
「マクシミリアン様?」
そばにいた魔導士の質問に、
「ギルフォードが死んだか……」
マクシミリアンはそう呟いた。
「死んだ? あんたが殺したのよ! あの濁流の中……ギルは、魔力を使い果たして、それでも私を守るために……あんたのことだけは絶対に許さない! 殺してやるっ!」
ジュリアは涙目で、マクシミリアンを睨み付けた。
マクシミリアンはジュリアの顎を掴んで顔をあげさせる。
そこにはさっきよりもさらに大きな笑みがあった。
「嬉しいよ。そうして殺意をもって俺を見てくれて。その目が愛おしくてたまらない。お前がそうして見てくれるほど、全てを俺のものにしたいと思える」
マクシミリアンは愛おしそうにジュリアを抱きしめる。嫌悪感で胸が押し潰されそうなくらい気持ち悪くなった。
「さあ、行こう。俺たちの家へ」
魔力の気配に気付いた瞬間、ジュリアの姿はすでに外ではなく建物の中――皇宮内の謁見の間にいた。
そこには大勢の人間が揃っていた。
その中には、官僚派の首魁であるゴーディエ・フォン・ヴァーラフ侯爵もいた。
「突然、消えてどこに行って……どうしてここに、ジュリア将軍が!?」
「侯爵。敬意を示せ。俺の女だ」
マクシミリアンは迷いのない足取りで玉座に座り、そして部下に命じて、半ば無理矢理、ジュリアを皇后の座る席に座らせた。
「侯爵。一体誰の許可を得て、ここにいる? お前には行政機構のとりまとめを命じたはずだが」
「命じた? 一体何様だ! 伯爵家に過ぎない貴様の言うことをどうして私が聞かなければならない!? だいたいお前は何を考えている! 皇帝陛下をはじめ、皇族の方々の身柄まで拘束するとは! これはくまでギルフォードを排除するための計画だったはず! これでは、我々は謀反人だ! 逃走中のギルフォードや他の街にいる連中に、我々への格好の討伐理由を与えることになるんだぞ!?」
「ギルフォードなら、死んだ」
場がざわつく。
マクシミリアンはギルフォードの髪を見せる。
「これは、あいつの遺髪だ。ジュリアが持っていた。残念ながら、あいつはとうに死んでいる。一流の魔導士といえども、最期は呆気ないものだ。だが俺にとっては朗報だ。これで俺を阻む奴はいなくなった」
「何を――」
刹那、マクシミリアンの放った炎が、ゴーティエを焼く。
「ぎゃあああああああ!?」
マクシミリアンは指を鳴らせば、ゴーティエを包んでいた炎が消える。
ゴーティエは呻きを漏らす。活きてはいるが、自力では立てないようだ。
「これからは、俺がこの国を統治する。陛下たちにはごゆるりと、皇宮の奥で休んでいただいて、な。反対の者は?」
魔導士たちがマクシミリアンの行動に合わせ、攻撃魔法を練り上げ、手の中で弄ぶ。
ゴーティエと共に抗議にやってきた貴族たちは全員顔を青ざめさせ、降伏するようにその場で跪く。
魔導士たちに連行され、男たちが去って行くと、謁見の間は静寂に包まれた。
「マクシミリアン、あなたがここまでイかれているとは思わなかった」
マクシミリアンを侮辱すると、彼の部下が反応する。しかしマクシミリアンは身構える部下たちを目だけで制する。
「爵位という平時にしか価値のないものに縋り付く老害どもにほとほとうんざりしていた。最初からあいつらを利用するつもりだった。ハハハ。傑作だっただろ。高慢な老害どもが裏をかかれて取り乱す様は。あいつらはそういう生き物だ。飼い犬が手など噛むはずがないと本気で思い込んでいる」
ジュリアはじっと、マクシミリアンを睨み付ける。
フッ、とマクシミリアンは微笑する。
「ジュリアを部屋へ。また会おう」
「次は殺してやる」
「どうか、その眼差しを忘れずに、俺を愉しませてくれ」
ジュリアは一室へ閉じ込められた。
一室と言っても皇宮で、かなり広い。
拘束魔法もすでに解かれている。
――まずはうまくいったわね。
すべては十時間前に遡る。
ジュリアはそばの街で仕入れた馬を駆り、帝都に向かって駆ける。
脇目も振らず、馬を駆けさせた。
やがて変化が起こる。
城壁に囲まれた帝都を目視できた瞬間、空に魔導士たちが現れ、攻撃を仕掛けてきたのだ。
――これが索敵術式!
しかしその攻撃はおかしかった。
相手からまるで殺気を感じない。ただ義務的に放っているだけのように思えた。
――誘導されてるっ!
そしてその先に、マクシミリアンが姿を見せる。
「マクシミリアン!!」
ジュリアは剣を抜き、飛びかかる。しかし剣が彼に達することはなかった。それより先に、姿を隠していた魔導士たちの手から伸びる光のロープによって、全身を雁字搦めに拘束され、地面に無残に転がらされてしまう。
必死に藻掻くが、身動きが取れない。
「ジュリア、あれから……二週間か? 生きていて嬉しいよ」
マクシミリアンが不敵に微笑み、見下ろしてくる。
「マクシミリアン!!」
叫び、飛びかかろうとするが、無数に伸びた光の縄がそれを許さない。
「さあ、一体、どういう策なんだ? ん? こうして君が目立つ囮となっている隙に、ギルフォードが帝都を急襲か? とんだ浅知恵だな」
「今ごろギルが帝都を襲い、皇太子殿下たちを救い出してる!」
「いくらギルフォードが優れた魔導士であったとしても、張り巡らせた索敵魔法から逃れられるはずがない。――おい、体を検めろ。俺の女だ。敬意を持ってやれ」
「誰が、誰の女なのよ!」
「君のその怒鳴り声を聞けただけで、ゾクゾクしてすごく気分がいい……。失っていたと思っていたものが無事だと分かった……人生最良の日だよ」
マクシミリアンは余裕の微笑をたたえる。
「よくそんな気持ちの悪いことが言えるわねっ」
「ひどいな。俺にとっては大切な愛情表現だ」
「本気でイカれてるのねっ」
女魔導士が乱暴にドレスごしに体をまさぐり、そして動きを止め、それを引き抜く。
「やめて! それに触らないで……!」
青みがかった銀色の髪の束。
「……っ」
ジュリアは目を伏せた。
「貸せ」
女魔導士から髪束を受け取ったマクシミリアンはそこから何かを読み取ろうとするようにじっと見つめ、嘆息した。
「マクシミリアン様?」
そばにいた魔導士の質問に、
「ギルフォードが死んだか……」
マクシミリアンはそう呟いた。
「死んだ? あんたが殺したのよ! あの濁流の中……ギルは、魔力を使い果たして、それでも私を守るために……あんたのことだけは絶対に許さない! 殺してやるっ!」
ジュリアは涙目で、マクシミリアンを睨み付けた。
マクシミリアンはジュリアの顎を掴んで顔をあげさせる。
そこにはさっきよりもさらに大きな笑みがあった。
「嬉しいよ。そうして殺意をもって俺を見てくれて。その目が愛おしくてたまらない。お前がそうして見てくれるほど、全てを俺のものにしたいと思える」
マクシミリアンは愛おしそうにジュリアを抱きしめる。嫌悪感で胸が押し潰されそうなくらい気持ち悪くなった。
「さあ、行こう。俺たちの家へ」
魔力の気配に気付いた瞬間、ジュリアの姿はすでに外ではなく建物の中――皇宮内の謁見の間にいた。
そこには大勢の人間が揃っていた。
その中には、官僚派の首魁であるゴーディエ・フォン・ヴァーラフ侯爵もいた。
「突然、消えてどこに行って……どうしてここに、ジュリア将軍が!?」
「侯爵。敬意を示せ。俺の女だ」
マクシミリアンは迷いのない足取りで玉座に座り、そして部下に命じて、半ば無理矢理、ジュリアを皇后の座る席に座らせた。
「侯爵。一体誰の許可を得て、ここにいる? お前には行政機構のとりまとめを命じたはずだが」
「命じた? 一体何様だ! 伯爵家に過ぎない貴様の言うことをどうして私が聞かなければならない!? だいたいお前は何を考えている! 皇帝陛下をはじめ、皇族の方々の身柄まで拘束するとは! これはくまでギルフォードを排除するための計画だったはず! これでは、我々は謀反人だ! 逃走中のギルフォードや他の街にいる連中に、我々への格好の討伐理由を与えることになるんだぞ!?」
「ギルフォードなら、死んだ」
場がざわつく。
マクシミリアンはギルフォードの髪を見せる。
「これは、あいつの遺髪だ。ジュリアが持っていた。残念ながら、あいつはとうに死んでいる。一流の魔導士といえども、最期は呆気ないものだ。だが俺にとっては朗報だ。これで俺を阻む奴はいなくなった」
「何を――」
刹那、マクシミリアンの放った炎が、ゴーティエを焼く。
「ぎゃあああああああ!?」
マクシミリアンは指を鳴らせば、ゴーティエを包んでいた炎が消える。
ゴーティエは呻きを漏らす。活きてはいるが、自力では立てないようだ。
「これからは、俺がこの国を統治する。陛下たちにはごゆるりと、皇宮の奥で休んでいただいて、な。反対の者は?」
魔導士たちがマクシミリアンの行動に合わせ、攻撃魔法を練り上げ、手の中で弄ぶ。
ゴーティエと共に抗議にやってきた貴族たちは全員顔を青ざめさせ、降伏するようにその場で跪く。
魔導士たちに連行され、男たちが去って行くと、謁見の間は静寂に包まれた。
「マクシミリアン、あなたがここまでイかれているとは思わなかった」
マクシミリアンを侮辱すると、彼の部下が反応する。しかしマクシミリアンは身構える部下たちを目だけで制する。
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ジュリアはじっと、マクシミリアンを睨み付ける。
フッ、とマクシミリアンは微笑する。
「ジュリアを部屋へ。また会おう」
「次は殺してやる」
「どうか、その眼差しを忘れずに、俺を愉しませてくれ」
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