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第一章
自分の行い
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元いた村を出て、三つ先の村で暮らしてる。
元いた村を出る前、親の目を盗んで、時子の家に行き、窓枠の淵に封筒を置き、小さな石を窓に向かって投げる。その音に気づいて、時子が窓を開けて、差出人で俺の名前を見て急いで窓を閉めた。家と家の間で様子見してたから、俺のことは気づいてない。俺は、その姿を見た後、両親の元に戻った。
「どこ行ってたんだ」
「別に。早く、この村を出た方がいいんだろう」
父の尋ねごとに答えず、さっさと会話を終わらす。
不満げな顔をしていた両親だったが、何も言わず歩き出した。三つ先の村まで行くのは、父の仕事の関係と聞いてるが、時子のことも関係してるだろうな。
会う可能性を低くしてるだろう。
時子・・・泣いてるだろうな。その姿が思い浮かんで、胸が苦しくなる。
俺のせいで苦しめたから。これからは、俺と関係なく幸せになってほしい。
自分の身勝手さに苛立つ。
それなりの距離を歩いたんだろうけど、考え事してたら、長距離移動した実感があまりない。
いつの間にか新しい家に着いた。
「肇。着いたわよ」
「いつまで浮かない顔してるんだ。休憩したら、荷解き手伝え・・・時子は、もう会えない。俺達にとっては疫病神なんだ」
「そうよ」
「時子は疫病神じゃない!悪く言うな!」
俺は両親を思いっきり睨んだ。
「今の肇には、何を言っても無駄だな」
両親は、溜め息をついて新しい家に入っていく。
俺も、しばらくしてから入ると休憩して荷解きを手伝った。
父は、数日後から仕事に行ってる。
「貴方も、新しい友達見つけてきたら?」
「・・・」
「ここにいても暇でしょう。あの女は・・・時子は、もういないのよ」
「・・・」
「ほら、辛気臭い顔しないで、気持ちを切り替える為にも行きなさい」
母に、追い出されるように家を出た。
村をトボトボと歩くと、声をかけられる。
「おい、お前!見ない顔だな。新入りだろ」
声の方に視線を向けると、数人の少年集団。歳は、そんなに変わらないように思える。
その集団は近づいてきて取り巻く。
「おい!何か言えよ!」
「・・・最近この村に引越してきた」
「そうか。名前は?」
「井上肇」
少年達が順に声をかけてくる。
「肇。俺達の仲間になれよ。この村で暮らしていくなら、逆らわないのが身の為だぞ」
この集団で一番偉そうにしてる奴が誘ってくる。他の奴らも頷いている。
「断る」
「は?お前それで本当にいいのか?」
一番偉そうな奴は、眉間に皺を寄せて睨んでいる。
「ああ。よく知らない奴らと仲良くする気はないし、脅しで仲良くなんて、くだらない」
「そうか。分かった」
一番偉そうな奴が、仲間に目配せすると、みぞおちに衝撃を受ける。その後、頭に痛みが走って気を失った。
意識を取り戻すと、小屋にいる。
ここは、どこだ?
そうだ、あの時、意識を失ったんだ。
意識が徐々にハッキリしていく。その時、扉が開きさっきの集団が入って来る。
「目覚めたか」
「お前ら、やれ。この村で暮らしていくには、どうすべきか教えてやれ」
命令された奴らが、殴り蹴りを入れられる。
一番偉そうな奴は、馬鹿にしているように笑ってる。
複数人から暴行を受けては、反撃する暇がなく、やられっぱなしだ。
どのくらい経っただろうか・・・。
意識が朦朧としてきた。
暴力が止まり少年達が出て行く。
一番偉そうな奴がこう言った。
「分かったか?ここで、今後は自分がどうすべきか考えるんだな」
そう言って、扉が閉められた。それと何か物音がしたけど、確かめる前に、また気を失った。
元いた村を出て、三つ先の村で暮らしてる。
元いた村を出る前、親の目を盗んで、時子の家に行き、窓枠の淵に封筒を置き、小さな石を窓に向かって投げる。その音に気づいて、時子が窓を開けて、差出人で俺の名前を見て急いで窓を閉めた。家と家の間で様子見してたから、俺のことは気づいてない。俺は、その姿を見た後、両親の元に戻った。
「どこ行ってたんだ」
「別に。早く、この村を出た方がいいんだろう」
父の尋ねごとに答えず、さっさと会話を終わらす。
不満げな顔をしていた両親だったが、何も言わず歩き出した。三つ先の村まで行くのは、父の仕事の関係と聞いてるが、時子のことも関係してるだろうな。
会う可能性を低くしてるだろう。
時子・・・泣いてるだろうな。その姿が思い浮かんで、胸が苦しくなる。
俺のせいで苦しめたから。これからは、俺と関係なく幸せになってほしい。
自分の身勝手さに苛立つ。
それなりの距離を歩いたんだろうけど、考え事してたら、長距離移動した実感があまりない。
いつの間にか新しい家に着いた。
「肇。着いたわよ」
「いつまで浮かない顔してるんだ。休憩したら、荷解き手伝え・・・時子は、もう会えない。俺達にとっては疫病神なんだ」
「そうよ」
「時子は疫病神じゃない!悪く言うな!」
俺は両親を思いっきり睨んだ。
「今の肇には、何を言っても無駄だな」
両親は、溜め息をついて新しい家に入っていく。
俺も、しばらくしてから入ると休憩して荷解きを手伝った。
父は、数日後から仕事に行ってる。
「貴方も、新しい友達見つけてきたら?」
「・・・」
「ここにいても暇でしょう。あの女は・・・時子は、もういないのよ」
「・・・」
「ほら、辛気臭い顔しないで、気持ちを切り替える為にも行きなさい」
母に、追い出されるように家を出た。
村をトボトボと歩くと、声をかけられる。
「おい、お前!見ない顔だな。新入りだろ」
声の方に視線を向けると、数人の少年集団。歳は、そんなに変わらないように思える。
その集団は近づいてきて取り巻く。
「おい!何か言えよ!」
「・・・最近この村に引越してきた」
「そうか。名前は?」
「井上肇」
少年達が順に声をかけてくる。
「肇。俺達の仲間になれよ。この村で暮らしていくなら、逆らわないのが身の為だぞ」
この集団で一番偉そうにしてる奴が誘ってくる。他の奴らも頷いている。
「断る」
「は?お前それで本当にいいのか?」
一番偉そうな奴は、眉間に皺を寄せて睨んでいる。
「ああ。よく知らない奴らと仲良くする気はないし、脅しで仲良くなんて、くだらない」
「そうか。分かった」
一番偉そうな奴が、仲間に目配せすると、みぞおちに衝撃を受ける。その後、頭に痛みが走って気を失った。
意識を取り戻すと、小屋にいる。
ここは、どこだ?
そうだ、あの時、意識を失ったんだ。
意識が徐々にハッキリしていく。その時、扉が開きさっきの集団が入って来る。
「目覚めたか」
「お前ら、やれ。この村で暮らしていくには、どうすべきか教えてやれ」
命令された奴らが、殴り蹴りを入れられる。
一番偉そうな奴は、馬鹿にしているように笑ってる。
複数人から暴行を受けては、反撃する暇がなく、やられっぱなしだ。
どのくらい経っただろうか・・・。
意識が朦朧としてきた。
暴力が止まり少年達が出て行く。
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