物語!

お話の世界

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暗記の王0 ①

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この世界には一万問のクイズしかない。

この言葉はあまりにも有名である。

そして…

第一回、暗記王決定戦の予選が始まったのだった!

とある場所で、その大会を目指す男があった。

「ついにこの日が来たんだ…。」

男は過去のことを振り返る。

毎日のように、走り込みを続けていた。

全てはこの日のため。この日に勝てれば次に進め、その次勝てば、念願の本戦へすすめる。

万全の状態だった。

なんと言っても、毎日走ったのだから…。

男は自信に満ち溢れていた。

最早、勝てなくてはおかしいとすら思った。

今回の会場は船。

ざわざわと大きな声が周りから聞こえてくる。

ついに来たんだ。このときが…。

今日が実力を本当に発揮できる。最高の機会。


そして、対戦がはじまる。

あたりはしーんとなった。

すごい緊張感だ。

この1問1問ですべてが決まる…。


問題が表示された。

“。→これを何と言う?”

すると、読み終わってから、すかさずピンポンという音がする。

「句点!」

正解の音が鳴り響いた。

すると、ざわざわと声がする。

中には、読点かと思った。というものもあった。

そういう、男は、これが何と言うものか今日はじめて知ったのである。

そして、小声で呟く。

「この通り、レベルが高い。だけど、負けられないんだ。」 

「あの毎日走ってきた時間が無駄になってしまう。次は絶対に取りたい!」

次の問題が表示される。

“またたびが好きな生き物は?”

「猫!」

近くに居た男が、ボタンを押して、自信満々にそういった。

走るのを頑張ってた男は思う。

あの人は確か…名前はたにくんだったはず…。

先に取られてしまった。悔しい…。

だけど、1問取れば次に行けるんだ。

次は絶対に取りたい。

あの日々は嘘じゃなかったって証明するんだ!


それから問題が色々と出されて、押せずに最後の問題になった。

“慣用句で…”

僕はすかさずそこで押す。

絶対にここで終わらせない。

正解してみせる。

強い思いで「板につく!」と叫んだ。

それは僕の知っている唯一の慣用句だった。

絶対に正解する…

その強い気持ちが…

「正解は膜を閉じるでした!」

間違いだったのである。

それから、男は家に帰り、次のステージを目指して走り出した。

あとで、タイムをはかってみると、持久走のタイムが30秒ほど縮まっていた───────
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