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お話の世界

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暗記の王0 ③

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司会者は息を吸い込んだ。

「ついにこの時がきました!暗記の王を決める戦いが…。」

「誰がナンバーワンに輝くのか。目が話せません!」

「まずは準々決勝です。勝ち上がってきた何人もの全国の猛者の中から準決勝にあがる一人を決定します。」

いしは思った。

いわくんの思いを受け継いだ。僕は勝たなければならない。

試合の会場では、多くの猛者たちがボタンを押す練習や、暗記した問題文と、答えを口に出して反復していた。

それを見てつぶやいた。

「矢張り、本戦。手強い相手達だが、僕は500問ほど覚えている。」

だからこそ、勝てるんだ。グッと握りこぶしを作る。


早速、問題文が読み上げられる。

“現存する最古の地球儀の名前は?”

いしは思う。
知らない。これは捨て問だ。

周りを見てみると、押す様子はない。

すると…。

一人がピンポンとボタンを押す。

「エルダプフェル。」

「ブロードさんの正解です!」

何だって‥⁉

それから、ブロードという男が5割以上の問題を正解していった。

強すぎる‥。押し勝つことが沢山あったが、他がわからない問題はほとんど拾っていった。

こんなに一方的になるなんて‥。

いしくんに申し訳がたたない‥。

点数的に、ブロードさんの圧勝となった。

いしは対戦が終わってから、ブロードの元へ向かった。

「あなたの暗記量とてもすごいですね。」

「さっき対戦した方ですね。ありがとうございます。」

「僕は500問覚えたんですが、全く歯がたちませんでした。ブロードさんはほとんど押してらっしゃいましたが、どのくらい覚えているんですか?」

「1万問全てに触れてはいます。しかし、全部は覚えてませんよ。」

「一万問全てを‥!?」 

「はい。実際に覚えてるのはよくて8割程度ですが。」

いしは思った。

勝てない訳だ‥。この人が一位を取るのかもしれない。

「頑張ってください。応援しています。」

「ありがとうございます。」

いしは思った。

しかし、こんなにも沢山のことを知り、覚えてる相手に勝てるものがいるのだろうか‥?

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