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一食目
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『あー!もう!あんのっパワハラ上司っ!』
絶賛一人暮らし中の誰もいない部屋に私の怒りの声が響く。叫びながら通勤用のカバンをソファに叩きつけた。そんな事もしたくなる。だって!自分のノルマは達成したはずなのに!残業させられたんだから!
『あのハゲ…部長め、自分の仕事押し付けて帰りやがった…!定時で帰れるはずだったのにっ!七時になっちゃったじゃんか!』
ボソボソと文句を言いながらスーツを脱いで部屋着に着替えていく。片側でゆるく結んでいた髪もほどいてヘアバンドでとめる。
『…疲れた…。ご飯作るのめんどくさいな~。』
ぼふっとソファに倒れ込んで呟く。けど、頭の中で昔母親に言われた事が頭をよぎった。
──どんなに疲れててもご飯だけはしっかり食べなさい。そして、明日も笑顔で過ごすのよ。─
『…作るか…。』
のそのそと起き上がって台所へ向かう。料理は嫌いじゃない。むしろ好きで、自分の作ったものを食べてもらうのが好きだ。もし、恋人にするならご飯を美味しそうに食べてくれる人がいい。…恋人いないけど。
『ん~、何しようかな~。簡単なのがいいな、疲れたし。』
冷蔵庫をガサガサと漁りながら献立を考える。
『ご飯は朝炊いたからまだあるでしょ~?…丼!丼にしよ~。』
思いついた簡単な料理の為に材料を探す。
『やっぱり丼は親子丼かな~、…疲れてる時は…豚肉の方が体にいいんだっけ…?』
豚肉の方が疲労回復に良い、みたいなのを聞いたことがある。
『んー、じゃあ、カツ丼、とか?…揚げ物の気分じゃないなぁ…。どうしよっかな~。…あ、他人丼にしよ。』
冷蔵庫から豚肉のロースを取り出す。他人丼とは卵と鶏肉で作る親子丼とは違って、卵と別のお肉で作る丼の事である。
まだ買ったばかりの豚肉は柔らかかった。
『…まだ柔らかいけど…顎疲れるの嫌だしなぁ…キウイとか…パイナップルとかあったかな…。』
野菜室を開けて探してみると一つだけ残っていた。
『キウイあったー!…まだ大丈夫かな…?』
念の為切ってみて中身を確認してみる。けど、全然大丈夫だった。鮮やかで瑞々しい果汁の溢れるキウイはまだまだ美味しそうだった。
『このまま食べてしまいたい…けど、我慢!お肉を柔らかくするためだ!』
今すぐかぶりつきそうになるのを抑えて、キウイをミキサーにかける。柔らかい果肉はすぐにトロトロのスムージー状になった。豚肉を一枚トレーに敷いて、その上にスプーンで、トロトロになったキウイを乗せて伸ばしていく。練り込むようにして、両面に塗って少し放置しておく。キウイの爽やかな香りがお腹の虫をつつく。
お肉を漬けておいてる間に出汁を取る。一人分だから小さめのお鍋で、お水をいっぱい入れて中に昆布を入れる。最初は火にかけず、ただ水にさらすだけ。その間に玉ねぎを切る。シャクシャクとした食感を残すために繊維にそって細切り。玉ねぎは冷蔵庫に入れて、包丁を冷やしておいてから切ると涙が出なくて済む。玉ねぎの少し辛い香りを嗅ぎながらトントンと包丁を動かす。
『もういいかな~。』
キウイを塗って漬けておいたお肉に手を伸ばす。お肉はいい具合に柔らかくなっていた。お肉は食べやすいように一口サイズに。
『あ、もう火にかけとかなきゃ。』
お肉を切る手を一旦止めて昆布の入ったお鍋を火にかける。最初は弱火でじっくり、少ししたら中火でさらっと、それが終わったら昆布を取り出して…。頭の中で手順を思い描きながらお肉を切るのを再開する。
切り終わったお肉をお皿に入れて、お鍋を眺める。
『…もういいかな。』
中に入ってる昆布を取り出してお皿に乗せておく。タレの材料はシンプルにお醤油とみりん、それに少しのお塩。タップリと昆布の旨味の入ったお出汁にお醤油を入れる。それだけでもう美味しそうな匂いがしてくる。そこに入れ過ぎないようにみりんを混ぜていく。
『…あんかけ風他人丼はどうだろう…。』
ふと好奇心が湧いてきて片栗粉を取り出してみた。片栗粉をお水に溶かして水溶き片栗粉に。それを回し入れて、さっとひとつまみお塩を入れる。少しだけ火を強くしてクルクルと軽く混ぜる。タレはとろみがついてきて甘じょっぱい香りを漂わせながらとろとろになっていく。溢れてくる唾を飲み込んで火を止める。朝炊いたお米をレンジでチンして温めて、さっと小さめの丼に盛り付ける。ここからが勝負だ。
…カチッ…ボゥッ!
火をつけて、フライパンに薄ーく油をひいて、まず玉ねぎを炒める。少し玉ねぎに飴色がついてきたらお肉を投入!
ッジューッ!
二つを和えながらしっかりを炒めて…お出汁を!とろみのついた特製の丼のタレを回し入れてまた和える。全体がタレのとろみに囲まれていく。甘じょっぱい、美味しそうな香りが台所中に広がって
キュー…
お腹の虫が
「まだかまだか」
と鳴き出した。鳴き出す虫を気にしつつ、最後の仕上げ。といておいた卵に少しだけ作ったタレを混ぜる。そして卵をフライパンの上からくるりと回し入れる。ゆっくりと、お肉と玉ねぎを包み込むように垂らしていく。全てを入れ終わったら決して混ぜず、卵に火が通るのを待つ。卵の硬さの好みは人それぞれだけど…私は、半熟で!表面がまだ完全に火が通ってないくらいで火を止めて、フライパンを離す。そして、ホカホカのご飯の盛られた丼の上へ…。
とろり…
と、タレの一滴も零さないように慎重に、盛り付ける。
『…んー!出来た!あんかけ風他人丼!』
とろみのあるタレはつやつやと輝いて、お米の輝きと一緒になって私を見つめていた。使った器具は水につけて流しにほっぽって、リビングの食卓に丼を持っていく。湯気の経つソレを眺めると
「早く食べたい」
とお腹の虫がうるさく鳴いている。食卓に置いて、冷蔵庫からお茶を取り出して、猫のシルエットの入ったガラスのコップに注ぐ。片手にはコップ、片手にはお箸。食べる準備は整った!丼の置かれた食卓の前の椅子に座り
パチンっ
と手を合わせる。…せーのっ
『いただきます!』
箸を持って、まずはお肉。キウイに漬けておいたお肉はとても柔らかくなっていた。キウイにつけてあったから少しあっさりした感じもする。これならきっと、どれだけ食べても油に疲れるなんてことは無いだろう。あんかけ風にしたタレもいい具合に絡まっている。お肉にしっかりと染みたタレの味は肉汁と合わさってとても濃厚でいて、さっぱりとした味わいになっていていくらでも食べられそうだった。
次に玉ねぎ。しっかりと火が通っているのにシャクシャクとしている玉ねぎは、さっきのお肉とは真逆の食感。玉ねぎの甘さとタレの甘じょっぱさが上手く合わさって、とても美味しい。…強いていえばもう少し太く切ってもよかったかもしれない…けど、細い故に沢山口に含める幸福感!とても幸せ…。
最後は全部!もちもちでホカホカのお米、とろとろの半熟卵としっとりと柔らかいお肉、そこに入るシャクシャクとした、玉ねぎの真逆の食感…。
『…お~い~し~!。』
口いっぱいに広がる甘じょっぱさと素材の甘さ。異なる食感。幸福感が口に立ち込めて思わず足をパタパタと動かしてしまう。
疲れ切っていた体に温かいご飯がとても染みる。口から入って喉、喉を通って胃に入る。その感覚がよくわかって、体が暖まってきた。暑いばかりじゃない、冷たいお茶を一口飲めば口の中の暑さ、溜まったタレやお肉の味がリセットされて、またすぐに食べ出せる。最後の方になるとお肉も玉ねぎもなかったがタレがよく染みたご飯が待っている。勢いよくかき込んで一粒残らず平らげる。
『ふー…ご馳走様でした!』
パチンっ
と再び手を合わせてそう告げる。
『はぁ~、お腹いっぱい…。』
そう言って、パンパンになったお腹をポンポンと叩きつつ食器を持って立ち上がる。
『片付けるかー。』
疲れてたはずの体はポカポカと暖かくなって、少し軽くなった気がした。
カチャカチャと流しで食器たちを洗っていく。芯から満たされた体は幸福で満ちていた。ぼーっと手を動かしながら明日のご飯のことを考えて思わず口元が緩む。
『明日は何を作ろうかな。』
絶賛一人暮らし中の誰もいない部屋に私の怒りの声が響く。叫びながら通勤用のカバンをソファに叩きつけた。そんな事もしたくなる。だって!自分のノルマは達成したはずなのに!残業させられたんだから!
『あのハゲ…部長め、自分の仕事押し付けて帰りやがった…!定時で帰れるはずだったのにっ!七時になっちゃったじゃんか!』
ボソボソと文句を言いながらスーツを脱いで部屋着に着替えていく。片側でゆるく結んでいた髪もほどいてヘアバンドでとめる。
『…疲れた…。ご飯作るのめんどくさいな~。』
ぼふっとソファに倒れ込んで呟く。けど、頭の中で昔母親に言われた事が頭をよぎった。
──どんなに疲れててもご飯だけはしっかり食べなさい。そして、明日も笑顔で過ごすのよ。─
『…作るか…。』
のそのそと起き上がって台所へ向かう。料理は嫌いじゃない。むしろ好きで、自分の作ったものを食べてもらうのが好きだ。もし、恋人にするならご飯を美味しそうに食べてくれる人がいい。…恋人いないけど。
『ん~、何しようかな~。簡単なのがいいな、疲れたし。』
冷蔵庫をガサガサと漁りながら献立を考える。
『ご飯は朝炊いたからまだあるでしょ~?…丼!丼にしよ~。』
思いついた簡単な料理の為に材料を探す。
『やっぱり丼は親子丼かな~、…疲れてる時は…豚肉の方が体にいいんだっけ…?』
豚肉の方が疲労回復に良い、みたいなのを聞いたことがある。
『んー、じゃあ、カツ丼、とか?…揚げ物の気分じゃないなぁ…。どうしよっかな~。…あ、他人丼にしよ。』
冷蔵庫から豚肉のロースを取り出す。他人丼とは卵と鶏肉で作る親子丼とは違って、卵と別のお肉で作る丼の事である。
まだ買ったばかりの豚肉は柔らかかった。
『…まだ柔らかいけど…顎疲れるの嫌だしなぁ…キウイとか…パイナップルとかあったかな…。』
野菜室を開けて探してみると一つだけ残っていた。
『キウイあったー!…まだ大丈夫かな…?』
念の為切ってみて中身を確認してみる。けど、全然大丈夫だった。鮮やかで瑞々しい果汁の溢れるキウイはまだまだ美味しそうだった。
『このまま食べてしまいたい…けど、我慢!お肉を柔らかくするためだ!』
今すぐかぶりつきそうになるのを抑えて、キウイをミキサーにかける。柔らかい果肉はすぐにトロトロのスムージー状になった。豚肉を一枚トレーに敷いて、その上にスプーンで、トロトロになったキウイを乗せて伸ばしていく。練り込むようにして、両面に塗って少し放置しておく。キウイの爽やかな香りがお腹の虫をつつく。
お肉を漬けておいてる間に出汁を取る。一人分だから小さめのお鍋で、お水をいっぱい入れて中に昆布を入れる。最初は火にかけず、ただ水にさらすだけ。その間に玉ねぎを切る。シャクシャクとした食感を残すために繊維にそって細切り。玉ねぎは冷蔵庫に入れて、包丁を冷やしておいてから切ると涙が出なくて済む。玉ねぎの少し辛い香りを嗅ぎながらトントンと包丁を動かす。
『もういいかな~。』
キウイを塗って漬けておいたお肉に手を伸ばす。お肉はいい具合に柔らかくなっていた。お肉は食べやすいように一口サイズに。
『あ、もう火にかけとかなきゃ。』
お肉を切る手を一旦止めて昆布の入ったお鍋を火にかける。最初は弱火でじっくり、少ししたら中火でさらっと、それが終わったら昆布を取り出して…。頭の中で手順を思い描きながらお肉を切るのを再開する。
切り終わったお肉をお皿に入れて、お鍋を眺める。
『…もういいかな。』
中に入ってる昆布を取り出してお皿に乗せておく。タレの材料はシンプルにお醤油とみりん、それに少しのお塩。タップリと昆布の旨味の入ったお出汁にお醤油を入れる。それだけでもう美味しそうな匂いがしてくる。そこに入れ過ぎないようにみりんを混ぜていく。
『…あんかけ風他人丼はどうだろう…。』
ふと好奇心が湧いてきて片栗粉を取り出してみた。片栗粉をお水に溶かして水溶き片栗粉に。それを回し入れて、さっとひとつまみお塩を入れる。少しだけ火を強くしてクルクルと軽く混ぜる。タレはとろみがついてきて甘じょっぱい香りを漂わせながらとろとろになっていく。溢れてくる唾を飲み込んで火を止める。朝炊いたお米をレンジでチンして温めて、さっと小さめの丼に盛り付ける。ここからが勝負だ。
…カチッ…ボゥッ!
火をつけて、フライパンに薄ーく油をひいて、まず玉ねぎを炒める。少し玉ねぎに飴色がついてきたらお肉を投入!
ッジューッ!
二つを和えながらしっかりを炒めて…お出汁を!とろみのついた特製の丼のタレを回し入れてまた和える。全体がタレのとろみに囲まれていく。甘じょっぱい、美味しそうな香りが台所中に広がって
キュー…
お腹の虫が
「まだかまだか」
と鳴き出した。鳴き出す虫を気にしつつ、最後の仕上げ。といておいた卵に少しだけ作ったタレを混ぜる。そして卵をフライパンの上からくるりと回し入れる。ゆっくりと、お肉と玉ねぎを包み込むように垂らしていく。全てを入れ終わったら決して混ぜず、卵に火が通るのを待つ。卵の硬さの好みは人それぞれだけど…私は、半熟で!表面がまだ完全に火が通ってないくらいで火を止めて、フライパンを離す。そして、ホカホカのご飯の盛られた丼の上へ…。
とろり…
と、タレの一滴も零さないように慎重に、盛り付ける。
『…んー!出来た!あんかけ風他人丼!』
とろみのあるタレはつやつやと輝いて、お米の輝きと一緒になって私を見つめていた。使った器具は水につけて流しにほっぽって、リビングの食卓に丼を持っていく。湯気の経つソレを眺めると
「早く食べたい」
とお腹の虫がうるさく鳴いている。食卓に置いて、冷蔵庫からお茶を取り出して、猫のシルエットの入ったガラスのコップに注ぐ。片手にはコップ、片手にはお箸。食べる準備は整った!丼の置かれた食卓の前の椅子に座り
パチンっ
と手を合わせる。…せーのっ
『いただきます!』
箸を持って、まずはお肉。キウイに漬けておいたお肉はとても柔らかくなっていた。キウイにつけてあったから少しあっさりした感じもする。これならきっと、どれだけ食べても油に疲れるなんてことは無いだろう。あんかけ風にしたタレもいい具合に絡まっている。お肉にしっかりと染みたタレの味は肉汁と合わさってとても濃厚でいて、さっぱりとした味わいになっていていくらでも食べられそうだった。
次に玉ねぎ。しっかりと火が通っているのにシャクシャクとしている玉ねぎは、さっきのお肉とは真逆の食感。玉ねぎの甘さとタレの甘じょっぱさが上手く合わさって、とても美味しい。…強いていえばもう少し太く切ってもよかったかもしれない…けど、細い故に沢山口に含める幸福感!とても幸せ…。
最後は全部!もちもちでホカホカのお米、とろとろの半熟卵としっとりと柔らかいお肉、そこに入るシャクシャクとした、玉ねぎの真逆の食感…。
『…お~い~し~!。』
口いっぱいに広がる甘じょっぱさと素材の甘さ。異なる食感。幸福感が口に立ち込めて思わず足をパタパタと動かしてしまう。
疲れ切っていた体に温かいご飯がとても染みる。口から入って喉、喉を通って胃に入る。その感覚がよくわかって、体が暖まってきた。暑いばかりじゃない、冷たいお茶を一口飲めば口の中の暑さ、溜まったタレやお肉の味がリセットされて、またすぐに食べ出せる。最後の方になるとお肉も玉ねぎもなかったがタレがよく染みたご飯が待っている。勢いよくかき込んで一粒残らず平らげる。
『ふー…ご馳走様でした!』
パチンっ
と再び手を合わせてそう告げる。
『はぁ~、お腹いっぱい…。』
そう言って、パンパンになったお腹をポンポンと叩きつつ食器を持って立ち上がる。
『片付けるかー。』
疲れてたはずの体はポカポカと暖かくなって、少し軽くなった気がした。
カチャカチャと流しで食器たちを洗っていく。芯から満たされた体は幸福で満ちていた。ぼーっと手を動かしながら明日のご飯のことを考えて思わず口元が緩む。
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