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席替え
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学生にとって普段の生活で神頼みをする機会は少なからずあるだろう。例えばテストだったり、席替えだったり。今回の話は学生にとっての一寸したイベントである席替えの話。
僕のクラスはクラスの全員が日直をやり終えたら席替えをするシステムだ。そして今日席替えの日が来た。
ウチの大半の男子はウチのクラスの『高嶺の花』の隣になりたくてひたすらに神頼みだ。まぁ、僕もだけど。一人ずつクジを引いて書いてある番号の席へ移動する。残念ながら『高嶺の花』の隣にはなれなかった…。
そんな風に少し落ち込んでいると、ウチのクラスで、いや、学年でカッコイイと言われている(僕はちょっと怖いからあんまり好きじゃないけど)男子『神崎 奏多』くんが何かを言った。
『やったー。俺の席1番後ろじゃん。サボってもバレなさそーw』
彼の周りの友達は『羨ましー』とか『変わってー』とか言ってた。すると神崎くんの隣の席になった女の子『雨宮 花』さんが
『か、神崎くん、これから隣の席よろしくね!』
と言った。神崎くんは
『うわ、俺の隣の席かわいくねぇじゃんwお前みたいなやつの隣とか嫌すぎなんだけどwてか、かわいくないじゃなくてフツーにブスじゃね?w』
と言い出した。流石に酷いとは思ったが、なにか言えば自分にその矛先が向く。そう思ってみんな黙ったり、一緒になって笑ったりしていた。雨宮さんは少しツラそうにしてた。クラスがそんな風になっている時ある声がした。
『…ねぇ、神崎くん?でしたっけ?』
ウチのクラスの『高嶺の花』。『橘 零』さんだった。名前を呼ばれた神崎くんは
『!あぁ、そうだよ?何?俺になんか用事?』
予想外な人からの声に彼は柄にも無く少し照れて焦っていた。そんな彼の様子を気にすることもなく零さんは
『別に用事ではないのですが、貴方雨宮さんに言うべきことがあるのではないですか?』
クラスが一瞬固まった。
『…はぁ?雨宮って誰?俺なんもしてなくね?』
『貴方の隣の席の雨宮 花さんですよ。先程まで話していたじゃないですか。』
『あぁ、コイツの事ね。え、別に俺コイツになんもしてねぇよ?何、何いえばいいわけ?』
『…残念な人ですね。誰だって挨拶したのに自分の事を罵られれば良い気分はしないでしょう?貴方、雨宮さんに先程なんて言いました?「かわいくない」とか「ブス」だとか言ってませんでした?』
『!確かに言ったけど、だから何?別にホントの事じゃん。俺悪いことしてなくね?』
『ホントとかウソとかそういう話をしてるのではないんですよ。貴方みたいに自分が思ってること何でも口に出せるのはいいと思いますよ。でも、貴方みたいに自分の周りを味方で固めて、チヤホヤされて、誰かを傷つける人は私は最低だと思いますよ?貴方は確かにかっこいいかもしれませんけど、そんな風にしか周りと過ごせないような人は先程貴方が雨宮さんに言ったように嫌です。貴方のような人と隣になった雨宮さんが可哀想です。人の事は貴方の勝手な価値観で決めつけて傷付けていいことではないのですよ。』
零さんはただ淡々と、でも、真っ直ぐな言葉を神崎くん向けた。それを聞いた神崎くんは
『はぁ!?なんなんだよ、お前!ばっかじゃねぇの!?』
零さんからのまさかの言葉に彼は屈辱だったのか声を荒げていた。彼の周りの人達は驚きながらも零さんの言葉に同意しているようだった。そんなクラスの空気が嫌になったのか彼は教室から出ていった。零さんは
『…子供みたいな人ですね。』
と言いながら雨宮さんの方へ行った。
『雨宮さん。彼の代わりに謝ります。すいませんでした。』
彼女のそんな言葉に雨宮さんは
『!そんな橘さんは悪くないよ!むしろありがとうって感じだよ!』
『いえ、もっと早く彼の発言を止めていれば貴女が無駄に傷つく必要は無かったんですから、早くに止めなかった事の謝罪はさせて下さい…。あ、あと、一つお願いがあるのですが…』
彼女は何かを言い出した。
『雨宮さん、私と友達になって頂けませんか?こんな状況で言うのもアレなんですが…』
クラスの全員が驚いていた。なんせあの『高嶺の花』が自分から友達になって欲しいと言い出したんだから、みんな驚くのも無理はない。いきなりそんなことを言われた雨宮さんは
『え!?あ、えっと、その私で良ければ喜んで!よろしくね、橘さん!』
『貴女が良いんですよ、雨宮さん。はい、よろしくお願いします。零で構いませんよ。』
『ほんと!?じゃあ、零ちゃんって呼ばせてもらうね、私のことも花って呼びすてでいいよ!』
『そうですか、では、花と呼ばせてもらいますね。』
そう言いながら普段あまり笑わない彼女がふわりとあまりに綺麗に笑うものだから、男女関係無くみんな少しの間見惚れていた。
そんなこんなで席替えが終わったが、みんな自分の席のことなんかどうでもよくなって、『高嶺の花』に友達が出来たことで話題が一杯だった。
その後、雨宮さんの席は零さんの隣になった。なんでも、零さんが元々隣の席だった男子に頼んで変わってもらったそうだ。流石にあの後そのまま隣の席っていうのは気まずいだろうからっていう零さんの配慮だ。席を譲った男子は少し残念そうだったけど、零さんと話せて満足気な顔をしていた。
これが今回の話。ちなみに零さんの席は一番後ろの一番窓側の席でした。風がはいってくると零さん長い黒髪が風でなびいて、凄く綺麗な様子が見れる。僕の席は零さんの席から3つ前の席で少し微妙な位置だ。
次の話でまた会いましょう。
僕のクラスはクラスの全員が日直をやり終えたら席替えをするシステムだ。そして今日席替えの日が来た。
ウチの大半の男子はウチのクラスの『高嶺の花』の隣になりたくてひたすらに神頼みだ。まぁ、僕もだけど。一人ずつクジを引いて書いてある番号の席へ移動する。残念ながら『高嶺の花』の隣にはなれなかった…。
そんな風に少し落ち込んでいると、ウチのクラスで、いや、学年でカッコイイと言われている(僕はちょっと怖いからあんまり好きじゃないけど)男子『神崎 奏多』くんが何かを言った。
『やったー。俺の席1番後ろじゃん。サボってもバレなさそーw』
彼の周りの友達は『羨ましー』とか『変わってー』とか言ってた。すると神崎くんの隣の席になった女の子『雨宮 花』さんが
『か、神崎くん、これから隣の席よろしくね!』
と言った。神崎くんは
『うわ、俺の隣の席かわいくねぇじゃんwお前みたいなやつの隣とか嫌すぎなんだけどwてか、かわいくないじゃなくてフツーにブスじゃね?w』
と言い出した。流石に酷いとは思ったが、なにか言えば自分にその矛先が向く。そう思ってみんな黙ったり、一緒になって笑ったりしていた。雨宮さんは少しツラそうにしてた。クラスがそんな風になっている時ある声がした。
『…ねぇ、神崎くん?でしたっけ?』
ウチのクラスの『高嶺の花』。『橘 零』さんだった。名前を呼ばれた神崎くんは
『!あぁ、そうだよ?何?俺になんか用事?』
予想外な人からの声に彼は柄にも無く少し照れて焦っていた。そんな彼の様子を気にすることもなく零さんは
『別に用事ではないのですが、貴方雨宮さんに言うべきことがあるのではないですか?』
クラスが一瞬固まった。
『…はぁ?雨宮って誰?俺なんもしてなくね?』
『貴方の隣の席の雨宮 花さんですよ。先程まで話していたじゃないですか。』
『あぁ、コイツの事ね。え、別に俺コイツになんもしてねぇよ?何、何いえばいいわけ?』
『…残念な人ですね。誰だって挨拶したのに自分の事を罵られれば良い気分はしないでしょう?貴方、雨宮さんに先程なんて言いました?「かわいくない」とか「ブス」だとか言ってませんでした?』
『!確かに言ったけど、だから何?別にホントの事じゃん。俺悪いことしてなくね?』
『ホントとかウソとかそういう話をしてるのではないんですよ。貴方みたいに自分が思ってること何でも口に出せるのはいいと思いますよ。でも、貴方みたいに自分の周りを味方で固めて、チヤホヤされて、誰かを傷つける人は私は最低だと思いますよ?貴方は確かにかっこいいかもしれませんけど、そんな風にしか周りと過ごせないような人は先程貴方が雨宮さんに言ったように嫌です。貴方のような人と隣になった雨宮さんが可哀想です。人の事は貴方の勝手な価値観で決めつけて傷付けていいことではないのですよ。』
零さんはただ淡々と、でも、真っ直ぐな言葉を神崎くん向けた。それを聞いた神崎くんは
『はぁ!?なんなんだよ、お前!ばっかじゃねぇの!?』
零さんからのまさかの言葉に彼は屈辱だったのか声を荒げていた。彼の周りの人達は驚きながらも零さんの言葉に同意しているようだった。そんなクラスの空気が嫌になったのか彼は教室から出ていった。零さんは
『…子供みたいな人ですね。』
と言いながら雨宮さんの方へ行った。
『雨宮さん。彼の代わりに謝ります。すいませんでした。』
彼女のそんな言葉に雨宮さんは
『!そんな橘さんは悪くないよ!むしろありがとうって感じだよ!』
『いえ、もっと早く彼の発言を止めていれば貴女が無駄に傷つく必要は無かったんですから、早くに止めなかった事の謝罪はさせて下さい…。あ、あと、一つお願いがあるのですが…』
彼女は何かを言い出した。
『雨宮さん、私と友達になって頂けませんか?こんな状況で言うのもアレなんですが…』
クラスの全員が驚いていた。なんせあの『高嶺の花』が自分から友達になって欲しいと言い出したんだから、みんな驚くのも無理はない。いきなりそんなことを言われた雨宮さんは
『え!?あ、えっと、その私で良ければ喜んで!よろしくね、橘さん!』
『貴女が良いんですよ、雨宮さん。はい、よろしくお願いします。零で構いませんよ。』
『ほんと!?じゃあ、零ちゃんって呼ばせてもらうね、私のことも花って呼びすてでいいよ!』
『そうですか、では、花と呼ばせてもらいますね。』
そう言いながら普段あまり笑わない彼女がふわりとあまりに綺麗に笑うものだから、男女関係無くみんな少しの間見惚れていた。
そんなこんなで席替えが終わったが、みんな自分の席のことなんかどうでもよくなって、『高嶺の花』に友達が出来たことで話題が一杯だった。
その後、雨宮さんの席は零さんの隣になった。なんでも、零さんが元々隣の席だった男子に頼んで変わってもらったそうだ。流石にあの後そのまま隣の席っていうのは気まずいだろうからっていう零さんの配慮だ。席を譲った男子は少し残念そうだったけど、零さんと話せて満足気な顔をしていた。
これが今回の話。ちなみに零さんの席は一番後ろの一番窓側の席でした。風がはいってくると零さん長い黒髪が風でなびいて、凄く綺麗な様子が見れる。僕の席は零さんの席から3つ前の席で少し微妙な位置だ。
次の話でまた会いましょう。
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