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友達選び
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これはきっと何処の学校でもあるような少し余計なお世話だと思ってしまうような話。今回の話はそれについてのお話。
学校生活に慣れてくるようになればいつの間にか『いつものメンバー』というものが出来てくるものだろう。そして、それは『グループ』と呼ばれるようになっていく。僕も一緒にいるメンバーは大体固定されていて、変わり映えする事はあまり無かったけど、学校生活を楽しく過ごせていた。
そんな時、グループの上位と呼ばれるような人達が雨宮さん(前話参照)に話しかけていた。(零さんは用事で職員室に行っていてこの場にはいなかった。)グループの一人『姫崎 亜美』さんが雨宮さんに話しかけていた。
『ねぇ、雨宮さんってさぁ、橘さんと一緒にいて恥ずかしくならないの?w』
僕はいきなり何言っているのだろうと思った。雨宮さんもそうだったようで、反応に困っていた。
『え?』
『いや、だってさぁ、橘さんてモデルみたいに綺麗だし、勉強も運動も完璧じゃん?でも、アンタはさ、別に可愛くもないし、勉強も運動も普通じゃん?むしろ普通以下?wそんなんで橘さんみたいな完璧人と一緒にいて恥ずかしくないのかなぁって思ってw』
…凄い自分勝手な考え方だとは思ったがその間に入って止めさせるような度胸は僕にはなかった。聞いていることしか出来なかった。雨宮さんは
『…確かに零ちゃんは凄い人だし、完璧だと思う。正直なんで私と友達になってくれたのかも私にはわからない。でも、だからこそ、零ちゃんと釣り合えるような人になりたいし、頑張りたいって思うよ。』
雨宮さんは強くなったと思う。前の雨宮さんならきっとそんな風には言わなかったろう。それを聞いた姫崎さんは
『へぇ、でもさ、橘さんはアンタとホントに友達になりたかったのかなぁ?w』
『え?どうして?』
『ウチが思うに橘さんはさぁ、自分の引き立て役が欲しかっただけなんじゃないの?w今でも充分目立ってるけどさ、やっぱ引き立て役がいると更に自分の凄さが際立つじゃん?アンタと友達になったのもそういう理由なんじゃないの?w』
零さんはそんな事しない。って僕は言いたかった…。でも、ホントに僕は弱いな、自分にあの姫崎さんの視線が向くと思うと怖くて何も言えなかった。情けないな…。でも、雨宮さんは
『そ、そんなこときっと零ちゃんは思ってない!ホントに私と友達になりたいって思ってくれてる!』
『はぁ?何を根拠にそんなこと言ってんの?w第一さぁ、釣り合ってないのわかってないの?橘さんみたいな「高嶺の花」って言われてるような人とさアンタみたいな地味子が釣り合うと思ってんの?wムリムリw一生かかってもムリでしょw橘さんもなんでこんな地味子選ぶんだろ、橘さんレベルの見た目ならフツーウチらとつるむよねwやっぱ引き立て役欲しいから?w』
一方的にそんな風に言われ雨宮さんは泣きそうだった。そりゃ、そうだろう。自分でも心の何処か隅で少しは思っていたであろう事をそんなズバズバ言われてしまえば自分の相手を信じたい気持ちも揺らぐ。仕方ない事だ。ただの友達同士ならそんな事にはならなかっただろうけど、相手があの『零さん』なんだからそんな風に考えない方が難しいだろう。まぁ、零さんはそんな事絶対考えないし、しないと思うけど。姫崎さんとそのグループの人達は雨宮さんの事を笑いながら騒いでいた。
その時教室のドアが開いた。綺麗な黒髪がなびいてる。零さんだ。
用事が済んだのか零さんは教室に帰ってきた。彼女は多分雨宮さんと一緒に帰る約束をしていたんだろう。自分の荷物を持って雨宮さんの元へ向かった。
『花。待たせてごめんなさい。一緒に帰りましょう?』何があったのか知らない彼女は雨宮さんの周りにいる姫崎さん達を気にせず雨宮さんに声をかけた。雨宮さんは
『!そうだね!うん、帰ろ!』
雨宮さんの大袈裟な反応に彼女は驚いていたが少し微笑んで雨宮さんの支度が整うのを待っていた。その間に姫崎さんは零さんに話しかけた。
『ねぇねぇ、橘さん。』
『なんですか?』
『なんで、こんな地味な子と一緒にいんの?』
教室内の温度が何度か下がったような気がした。姫崎さんの問いかけに雨宮さんは零さんの返事を聞くのが怖いのか少し俯いていた。
『「なんで?」ですか?…。そうですね。私が一緒にいて欲しいと思うからです。それじゃ駄目ですか?』
凄く零さんらしい返事だった。雨宮さんは顔を上げて少し嬉しそうだった。その返事に姫崎さんは
『えー、何それ。それ本心?w嘘ついてんじゃないの?w』
『紛れもない本心ですよ。どうしてそう思うんですか?』
『だって、橘さんはさぁ、完璧人じゃん?なのにこんなモサッとした地味子とつるんでてさぁ、はたからみてると雨宮さん可哀想なんだよねー。釣り合って無さすぎて?w橘さんだってそう思ってるっしょ?wどーせ、「一緒にいたいから」じゃなくて「引き立て役が欲しい」からなんでしょ?w引き立て役にはなれないかもしれないけどさぁ、こんな地味子とつるむくらいならウチらと一緒にいよーよwじゃないと橘さんまで雨宮さんみたいな地味子になっちゃうかもよ?w』
酷いと思った。勝手な自分の価値観で決めつけて、人を貶して。その言葉を聞いて零さんは
『…言いたいことはそれだけですか?』
『…は?』
『ですから、貴女が言いたいのはそれだけですか、と聞いているんです。』
零さんはただ淡々と、表情の無い顔でそう言った。
『それだけなら、少し言わせてもらってからサッサと帰らせて頂きますね。まず、先程言ったように私は「花と一緒にいたいから」一緒にいるんです。それは紛れもない事実です。花の事を自分の引き立て役だなんて微塵も思いません。花は私の「大切な友達」です。それに、自分と一緒にいる人くらい自分で決めますよ。貴女に決められる筋合いはありません。それと、人の事をそんな風に貶す人と一緒にいるくらいなら、私は「独り」を選びます。だって、そうでしょう?どうせ、貴女たちと一緒にいたってそんなような話しかしないのでしょうから、そんなくだらない話を聞いて過ごすくらいなら、「独り」の方がずっとマシです。私は自分の意思で花と一緒にいるんです。よく知りもしないのに口を挟まないでください。あと、私は「完璧人」なんかじゃありません。ただの人です。苦手な事もありますし、出来ない事もありますよ。貴女の勝手な想像で決め付けないでください。』
彼女にそう言われ、姫崎さんは顔を歪めていた。
『はぁ!?なんなの!?ちょっと見た目がいいからって調子乗ってさぁ!偽善者ぶるのもいい加減にしてくんない、そういうのってホント、イライラするんだけど!』
自分から言い出したのに何言ってるんだろうと思ったが零さんが
『偽善ではなく本心ですよ。人の言っている事が「嘘か本当か」もわかりませんか?』
零さんにしては珍しく煽るような口調で姫崎さんに言葉を返していた。雨宮さんの支度が整ったのを確認してから零さんは姫崎さんに向かって
『…金輪際、花や私に必要以上に構わないでくださいね。今度また、花を悲しませるような事があれば次は…本気で怒りますよ。』
そう言って零さんは雨宮さんと一緒に教室を出て帰っていった。雨宮さんは零さんの言葉に凄く嬉しそうに笑みを浮かべながら零さんの隣を歩いていた。
零さんの『本気で怒りますよ。』という言葉に、僕に向けられた言葉じゃないとわかっていても、ゾクッとするような威圧感と、恐怖を感じざるを得なかった。それだけ雨宮さんを大切に思っていて、雨宮さんを貶された事に本気で腹が立ったんだろう。少しの間零さんの言葉に動けなくなっていた姫崎さんは舌打ちをして、腹が立った様子で帰っていった。
後日談的なモノ。
一緒に帰っていった零さんと雨宮さんは帰り道にクレープを買って食べてらしいです。零さんは友達とそんな風にして帰ってみたりしたかったそうです。零さんにも女子らしい一面がありました。
学校生活に慣れてくるようになればいつの間にか『いつものメンバー』というものが出来てくるものだろう。そして、それは『グループ』と呼ばれるようになっていく。僕も一緒にいるメンバーは大体固定されていて、変わり映えする事はあまり無かったけど、学校生活を楽しく過ごせていた。
そんな時、グループの上位と呼ばれるような人達が雨宮さん(前話参照)に話しかけていた。(零さんは用事で職員室に行っていてこの場にはいなかった。)グループの一人『姫崎 亜美』さんが雨宮さんに話しかけていた。
『ねぇ、雨宮さんってさぁ、橘さんと一緒にいて恥ずかしくならないの?w』
僕はいきなり何言っているのだろうと思った。雨宮さんもそうだったようで、反応に困っていた。
『え?』
『いや、だってさぁ、橘さんてモデルみたいに綺麗だし、勉強も運動も完璧じゃん?でも、アンタはさ、別に可愛くもないし、勉強も運動も普通じゃん?むしろ普通以下?wそんなんで橘さんみたいな完璧人と一緒にいて恥ずかしくないのかなぁって思ってw』
…凄い自分勝手な考え方だとは思ったがその間に入って止めさせるような度胸は僕にはなかった。聞いていることしか出来なかった。雨宮さんは
『…確かに零ちゃんは凄い人だし、完璧だと思う。正直なんで私と友達になってくれたのかも私にはわからない。でも、だからこそ、零ちゃんと釣り合えるような人になりたいし、頑張りたいって思うよ。』
雨宮さんは強くなったと思う。前の雨宮さんならきっとそんな風には言わなかったろう。それを聞いた姫崎さんは
『へぇ、でもさ、橘さんはアンタとホントに友達になりたかったのかなぁ?w』
『え?どうして?』
『ウチが思うに橘さんはさぁ、自分の引き立て役が欲しかっただけなんじゃないの?w今でも充分目立ってるけどさ、やっぱ引き立て役がいると更に自分の凄さが際立つじゃん?アンタと友達になったのもそういう理由なんじゃないの?w』
零さんはそんな事しない。って僕は言いたかった…。でも、ホントに僕は弱いな、自分にあの姫崎さんの視線が向くと思うと怖くて何も言えなかった。情けないな…。でも、雨宮さんは
『そ、そんなこときっと零ちゃんは思ってない!ホントに私と友達になりたいって思ってくれてる!』
『はぁ?何を根拠にそんなこと言ってんの?w第一さぁ、釣り合ってないのわかってないの?橘さんみたいな「高嶺の花」って言われてるような人とさアンタみたいな地味子が釣り合うと思ってんの?wムリムリw一生かかってもムリでしょw橘さんもなんでこんな地味子選ぶんだろ、橘さんレベルの見た目ならフツーウチらとつるむよねwやっぱ引き立て役欲しいから?w』
一方的にそんな風に言われ雨宮さんは泣きそうだった。そりゃ、そうだろう。自分でも心の何処か隅で少しは思っていたであろう事をそんなズバズバ言われてしまえば自分の相手を信じたい気持ちも揺らぐ。仕方ない事だ。ただの友達同士ならそんな事にはならなかっただろうけど、相手があの『零さん』なんだからそんな風に考えない方が難しいだろう。まぁ、零さんはそんな事絶対考えないし、しないと思うけど。姫崎さんとそのグループの人達は雨宮さんの事を笑いながら騒いでいた。
その時教室のドアが開いた。綺麗な黒髪がなびいてる。零さんだ。
用事が済んだのか零さんは教室に帰ってきた。彼女は多分雨宮さんと一緒に帰る約束をしていたんだろう。自分の荷物を持って雨宮さんの元へ向かった。
『花。待たせてごめんなさい。一緒に帰りましょう?』何があったのか知らない彼女は雨宮さんの周りにいる姫崎さん達を気にせず雨宮さんに声をかけた。雨宮さんは
『!そうだね!うん、帰ろ!』
雨宮さんの大袈裟な反応に彼女は驚いていたが少し微笑んで雨宮さんの支度が整うのを待っていた。その間に姫崎さんは零さんに話しかけた。
『ねぇねぇ、橘さん。』
『なんですか?』
『なんで、こんな地味な子と一緒にいんの?』
教室内の温度が何度か下がったような気がした。姫崎さんの問いかけに雨宮さんは零さんの返事を聞くのが怖いのか少し俯いていた。
『「なんで?」ですか?…。そうですね。私が一緒にいて欲しいと思うからです。それじゃ駄目ですか?』
凄く零さんらしい返事だった。雨宮さんは顔を上げて少し嬉しそうだった。その返事に姫崎さんは
『えー、何それ。それ本心?w嘘ついてんじゃないの?w』
『紛れもない本心ですよ。どうしてそう思うんですか?』
『だって、橘さんはさぁ、完璧人じゃん?なのにこんなモサッとした地味子とつるんでてさぁ、はたからみてると雨宮さん可哀想なんだよねー。釣り合って無さすぎて?w橘さんだってそう思ってるっしょ?wどーせ、「一緒にいたいから」じゃなくて「引き立て役が欲しい」からなんでしょ?w引き立て役にはなれないかもしれないけどさぁ、こんな地味子とつるむくらいならウチらと一緒にいよーよwじゃないと橘さんまで雨宮さんみたいな地味子になっちゃうかもよ?w』
酷いと思った。勝手な自分の価値観で決めつけて、人を貶して。その言葉を聞いて零さんは
『…言いたいことはそれだけですか?』
『…は?』
『ですから、貴女が言いたいのはそれだけですか、と聞いているんです。』
零さんはただ淡々と、表情の無い顔でそう言った。
『それだけなら、少し言わせてもらってからサッサと帰らせて頂きますね。まず、先程言ったように私は「花と一緒にいたいから」一緒にいるんです。それは紛れもない事実です。花の事を自分の引き立て役だなんて微塵も思いません。花は私の「大切な友達」です。それに、自分と一緒にいる人くらい自分で決めますよ。貴女に決められる筋合いはありません。それと、人の事をそんな風に貶す人と一緒にいるくらいなら、私は「独り」を選びます。だって、そうでしょう?どうせ、貴女たちと一緒にいたってそんなような話しかしないのでしょうから、そんなくだらない話を聞いて過ごすくらいなら、「独り」の方がずっとマシです。私は自分の意思で花と一緒にいるんです。よく知りもしないのに口を挟まないでください。あと、私は「完璧人」なんかじゃありません。ただの人です。苦手な事もありますし、出来ない事もありますよ。貴女の勝手な想像で決め付けないでください。』
彼女にそう言われ、姫崎さんは顔を歪めていた。
『はぁ!?なんなの!?ちょっと見た目がいいからって調子乗ってさぁ!偽善者ぶるのもいい加減にしてくんない、そういうのってホント、イライラするんだけど!』
自分から言い出したのに何言ってるんだろうと思ったが零さんが
『偽善ではなく本心ですよ。人の言っている事が「嘘か本当か」もわかりませんか?』
零さんにしては珍しく煽るような口調で姫崎さんに言葉を返していた。雨宮さんの支度が整ったのを確認してから零さんは姫崎さんに向かって
『…金輪際、花や私に必要以上に構わないでくださいね。今度また、花を悲しませるような事があれば次は…本気で怒りますよ。』
そう言って零さんは雨宮さんと一緒に教室を出て帰っていった。雨宮さんは零さんの言葉に凄く嬉しそうに笑みを浮かべながら零さんの隣を歩いていた。
零さんの『本気で怒りますよ。』という言葉に、僕に向けられた言葉じゃないとわかっていても、ゾクッとするような威圧感と、恐怖を感じざるを得なかった。それだけ雨宮さんを大切に思っていて、雨宮さんを貶された事に本気で腹が立ったんだろう。少しの間零さんの言葉に動けなくなっていた姫崎さんは舌打ちをして、腹が立った様子で帰っていった。
後日談的なモノ。
一緒に帰っていった零さんと雨宮さんは帰り道にクレープを買って食べてらしいです。零さんは友達とそんな風にして帰ってみたりしたかったそうです。零さんにも女子らしい一面がありました。
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