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お昼寝… 2

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夏羽視点

「…すぅ…すぅ」
さっきまでうなされていた柚は今はいつも通りの可愛い寝息を立てて眠っている。
コンコン。
「夏、おはよ。…柚はまだ寝てるの?」
「直人兄さん…」
「どうかした?」
「それが…」
夏はさっきまでの柚の様子を伝えた。
声が漏れるだけでなく体を小さく丸めて震えていたこと。
「…結界は問題なく作動してるよ。 部屋全体とベッドの両方とも」
「じゃあなんで?」
「…夢魔とかの影響じゃないってことだよ。夢を操作するのはかなり難しいから僕たちにはどうしようもないの」
「…柚が寝れなくなっちゃう」
「そうだね。でも今柚は夏と一緒に静かに寝てるでしょ?怖い夢を見るなら誰かが寄り添って慰めて寝かしつけてあげればいいんだよ。小さい頃の夏もそうだったから」
「夏が?」
「自分のしっぽを股の間から通して抱いて布団かぶって泣いてたんだよ?覚えてない?」
「…分かんない」
「その時は数日間兄さん達と一緒に寝てたら収まったんだけど柚はどうなるかな」
一緒に?
一緒に寝てれば怖い夢を見ずにちゃんと寝れるの?
「じゃあ夏が一緒に寝る。しっぽだって柚に貸す」
「朝起きられないと思うけど…」
「学校なら遅刻してもいいもん」
「ダメだよ?父さんからもちゃんと卒業するように言われてるでしょ?」
夏はほんの少し口角を上げた。
「もう卒業試験受かっちゃった」
「え?」
「柚に早く会いたいから早くこなせるように練習したたの。そしたらいつの間にか条件クリアしてた」
「さすが。僕達の自慢の夏だよ」
「ほんと?夏自慢の弟?」
「そうだよ」
血が繋がってなくても…自慢の弟?
「来月からは学校行かなくてもいいの。今月中に荷物整理してくる」
「柚が喜びそうだね」
「ね」
「あ…でも卒業となると今度は就職活動が待ってるのか。夏はどんな仕事につきたい?」
仕事?
仕事……。
「考えたこと無かった」
「そうだよね。まぁ1年くらいゆっくり考えればいいよ。兄さんの手伝いでもして過ごす?」
「そうする。仕事教えてね」
「夏ならすぐ覚えられるよ」
そうかな?
夏…文章見てるのはちょっと苦手。
話したり実践する方が好き。
「にゅ」
かぷっ。
「いっっ!!」
「夏!?」
「柚に牙立てられた!!痛い!!ちょ!!柚離して!!」
「ふにゅ…」
「嫉妬したのかな?」
「兄さんも手伝ってよ!!痛い痛い痛い!!柚の牙がちゃんと成長してるのは嬉しいけど痛いから離して!!」
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