魔狼王(着ぐるみ)が往く!~勇者パーティーから暑苦しいと追放された着ぐるみ士の俺、世界最強のステータスに目覚めたので神獣と一緒に見返します~

八百十三

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第1章 追放と覚醒

第3話 着ぐるみ士、着ぐるみを作る

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 俺とリーアはオルネラ山を下りてきて、オルニの町のはずれ、街を囲む城壁の外にある空き地までやって来た。
 着ぐるみを作るには、開けた、安定した場所がないといけない。山の中でも作れないことは無いのだが、作業がしにくいので不便なのだ。

「このくらいの広さがあれば大丈夫?」
「ああ、十分だ……だが、いいのか? 俺はありがたいが、リーアが弱くなってしまう」

 振り向くリーアにうなずいて、俺は申し訳ない目を向けた。
 着ぐるみを作るには、対象の魔物から分けてもらった力が要る。自身の力を分けて提供するので、提供した魔物は当然、弱くなる。
 何匹もの魔物の力を束ねて着ぐるみを作ることもあるくらいだ。当然、提供した魔物がその後無事に生きていられる保証もない。
 しかしリーアは、分かっていながらも気にしていないという様子で、ぺろりと舌を出した。

「いいの。あたしもちょっと持て余し気味・・・・・・だったから」
「……うん? それってどういう」

 彼女の言葉に、首を傾げる俺である。
 持て余し気味とは、一体どういうことだろう。
 その疑問が形を成すよりも先に、リーアが俺の手を取った。

「どうも何も、言葉通りよ。さ、脱いで脱いで。着ぐるみを作るには中身の姿でいないとならないんでしょ」
「あ、ああ……」

 押し切られるように彼女に促されて、俺は着ぐるみを脱ぐ。一瞬で装備する着ぐるみを着脱する「着ぐるみ換装」のスキルがあるから、着替えは一瞬、誰の手を借りることもない。
 そうしてほぼ一日ぶりに、俺本来の肉体が外気に晒される。その姿を見て、リーアが面白そうに笑った。

「ふーん、四六時中着ぐるみ着てるからどんな中身かと思ったけど、意外といい男じゃない」

 言いながら、俺の顔にすっと顔を寄せてくるリーアだ。
 実際、見てくれは悪い方ではないと思っている。切れ長の目、筋の通った鼻、しゅっとした顎のライン。どれも俺は嫌いじゃない。
 それなりに顔立ちは整っていると言われるし、着ぐるみを着ていない時にも女冒険者からちらちら見られて頬を染められたこともあった。着ぐるみ姿のインパクトが大きいだけだ。
 外見を褒められるのは嫌な気分ではないが、褒めてくる相手は魔物。ちょっとこそばゆい。

「からかうなよ……じゃ、いいか?」
「うん、始めて」

 目を細めながらリーアに言えば、俺にすり寄ったまま彼女は狼の姿に戻り、俺の手に前脚を添える。
 そうしてリーア自身に導かれるようにしながら、俺は彼女の胸元に手を当てて、力を籠めた。
 と、同時に俺の手に力強い反発力が襲ってくる。当然だ、魔物から力を引き剥がすのだから。

「くっ……!?」
「んん……!」

 リーアも苦悶の表情を浮かべている。自分自身の力を切り離すことが、そうすっぱりと行くはずもないから無論の事だ。
 しかし、彼女の中に内包されていた力の、なんと濃密なことか。とても濃く、力強い。なかなかこんな力にはお目にかかれることも無いだろう。
 しかしてしばらくの格闘の後、俺の手がリーアの胸から弾かれるようにそれ・・を抜き取った。

「……っは!」
「ふう……よし。あとはこれを……」

 詰まっていた息を吐き出すリーア。彼女の存在が確かにあることを確認してから、俺は着ぐるみ作成に取り掛かった。
 リーアから抜き取った力に、魔法をかける。魔法の力が彼女の力に行き渡って、ぐにゃぐにゃと形を変えて、広がって。
 そして程なくして、魔法が形を結ぶ。

「……出来た!」

 俺が喜びの声を上げて、ば、とそれを広げた。
 俺の手の中には、リーアを二足歩行にしてもう少し男性的な体つきにした、青い瞳の狼の着ぐるみがあった。愛らしさもばっちりである。

「お疲れ様。うわぁ、かわいい!!」
「納得のいく着ぐるみが出来たよ。それで……身体は、つらくないか?」

 具合のいい着ぐるみが出来たことに目元を緩めながら、リーアに心配な目線を向ける。
 結構、力を抜き取ってしまった感触があった。六割か、七割は取っていっただろう。それだけ抜いて、彼女に不調があったら申し訳ない。
 しかしリーアは、ふるふると頭を振った。

「全然平気よ。ねえねえ、早く着てみせて! ステータスも見たい!」
「急かすなよ、今から装備するから」

 せかされつつ、俺は着ぐるみのジッパーを降ろした。それと同時に換装のスキルが発動し、一瞬で俺の全身は狼の着ぐるみに包まれる。

「よし……ん?」

 装備が完了したのを確認した俺は、ふと違和感に気が付いた。
 身体が軽いのだ・・・・・・・。ともすれば着ぐるみを着る前よりも軽い。風のように走れてしまいそうだ。

「ジュリオ?」
「変だな、なんでこんな……『ステータス』」

 首を傾げながら、俺は自分のステータス画面を呼び出す。
 そうして何もない空間にぽん、と現れた俺のステータスが、こうだ。

 =====
 ジュリオ・ビアジーニ(着ぐるみ士キグルミスト
 年齢:21
 種族:人間ウマーノ魔狼王フェンリル
 性別:男

 レベル:36
 HP体力:38500/38500
 MP魔法力:8200/8200
 ATK攻撃力:5970(+850)
 DEF防御力:6830

 STR筋力:3712(+3650)
 VIT生命力:4053(+3980)
 DEX器用さ:1824(+1745)
 AGI素早さ:5185(+4340)(+850)
 INT知力:3468(+3420)
 RES抵抗力:3250(+3175)
 LUK:1918(+1890)

 スキル:
 魔獣語4、竜語4、魔族語4、精霊親和5、神霊親和5、炎魔法10、風魔法10、大地魔法10、光魔法10、調教(魔獣)5、調教(神獣)5、多重契約3、魔狼王の威厳、魔王の血脈(獣)、魔狼転身、環境遮断3、魔物鑑定1、道具収納5、着ぐるみ換装5、着ぐるみ洗浄
 =====

「……は???」
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