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第3章:魔導国家編 ①
第7話 交渉決裂……?
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穏やかな草原の風景にはふさわしくない緊迫した沈黙が室内に張り詰める。
そんな中でもノクターンは微動だにせず、低く静かな声で告げた。
「……つまり、魔塔側に何らかのデメリットが生じた場合は……解析を中断すると?」
ノクターンの濃紺の瞳が鋭く光り、セラフィウスを射抜く。
「話が早くて助かるよ。」
セラフィウスは小さく頷くと、ぬるくなった紅茶を一息に飲み干した。
「優秀な研究員たちを失くすのは――魔塔にとって、大きな損害になるからね……」
セラフィウスの濃紫の瞳が蛇のように細められ、ノクターンの次の言葉を計るかのようにじっと揺らがない。
「……分かりました。解析を任せる以上、継続可否の判断はそちらに一任しましょう。」
ノクターンは深いため息をつき、静かに続ける。
「王都としては是が非でも解析をしてほしいところですが……我々はそこまで鬼じゃありませんからね。」
(……え?)
シエルは驚いた表情でノクターンを見つめた。
(普段なら、脅してでも協力を取り付けようとするのに……?)
ノクターンの回答に満足した様子のセラフィウスが怪しげな笑みを浮かべ、そっと手を差し伸べる。
「じゃあ、交渉成立――」
「……ダメよ」
セラフィウスの言葉を遮り、勢いよく席から立ちあがったシエルが口を挟んだ。
驚きの表情を見せるセラフィウスだが、次の瞬間――ふっと笑い、まるで何事もなかったかのように余裕の表情を作った。
「お前は何を言って……」
「目を覚まして、ノクス――。精神支配解除」
短い呪文を唱えると淡い緑の光がノクターンを包んだ。
シエルの呪文が響いた瞬間――セラフィウスの表情が、一瞬だけ凍りついた。
なぜ高度な魔法を使えるのか――そう言いたげにシエルをじっと見つめている。
「……シエル?」
焦点が合わない瞳でシエルを見つめるノクターンは、自分が何を言おうとしていたのかを思い出し、ゾッとした表情を浮かべた。
「俺は、一体何を……」
まるで"自分の意志ではない"言葉が口をついて出るような感覚に恐怖を覚えた。
「そんな表情しないで?あなたにはいつも助けてもらっているから……今度は私が、あなたを助ける番よ。」
シエルは少しだけ微笑み、静かに告げる。
「……なるほどね。随分とあっさり引き下がると思ったら――傀儡にされていたのか、ノクス。」
鋭く光る碧い瞳を一瞬だけセラフィウスに向け、レイノルドが冷たく言い放つ。
「……どういうことか、説明してもらえる?魔塔主さん。」
セラフィウスは両手をあげて静かに告げる。
「私はただ、余計なリスクを避けたかっただけさ。」
濃紫の瞳はレイノルドを見つめるが、レイノルドの視線は別の方向へ向いている。
まるで目を合わせたら支配されると分かっていたかのように……。
「……さっきも言ったでしょ。秘密保持の刻印には自害の呪いが組み込まれているって。」
ため息をつきながらセラフィウスは続ける。
「下手したら解析している研究員に呪いが飛び火する可能性だってあるんだ。いくら他国のお願いだとしても……僕は国民を守ることを優先するよ」
「つまり……最初から協力する気は無かったと?」
ハッキリと意識が戻ったノクターンはセラフィウスを鋭く射抜き、問いかける。
「いや?可能な範囲内で協力するつもりさ。でも、危険と判断したら――それで終わりにするつもりだったよ」
曖昧な回答をするセラフィウスにシエルが詰め寄る。
「それって、都合のいいように解釈できるわよね?例えば……」
シエルはそこで口を噤み、息を整えて静かに告げる。
「契約の内容や黒幕の正体がわかっても、中断したと言って知らないふりをしたり――とかね……」
ローブの奥からシエルの深紅の瞳が鋭く細められる。
それは怒りではなく、燃え続ける警戒の炎。
彼女の視線は、セラフィウスの奥底にある真意を暴こうとしていた――。
そんな中でもノクターンは微動だにせず、低く静かな声で告げた。
「……つまり、魔塔側に何らかのデメリットが生じた場合は……解析を中断すると?」
ノクターンの濃紺の瞳が鋭く光り、セラフィウスを射抜く。
「話が早くて助かるよ。」
セラフィウスは小さく頷くと、ぬるくなった紅茶を一息に飲み干した。
「優秀な研究員たちを失くすのは――魔塔にとって、大きな損害になるからね……」
セラフィウスの濃紫の瞳が蛇のように細められ、ノクターンの次の言葉を計るかのようにじっと揺らがない。
「……分かりました。解析を任せる以上、継続可否の判断はそちらに一任しましょう。」
ノクターンは深いため息をつき、静かに続ける。
「王都としては是が非でも解析をしてほしいところですが……我々はそこまで鬼じゃありませんからね。」
(……え?)
シエルは驚いた表情でノクターンを見つめた。
(普段なら、脅してでも協力を取り付けようとするのに……?)
ノクターンの回答に満足した様子のセラフィウスが怪しげな笑みを浮かべ、そっと手を差し伸べる。
「じゃあ、交渉成立――」
「……ダメよ」
セラフィウスの言葉を遮り、勢いよく席から立ちあがったシエルが口を挟んだ。
驚きの表情を見せるセラフィウスだが、次の瞬間――ふっと笑い、まるで何事もなかったかのように余裕の表情を作った。
「お前は何を言って……」
「目を覚まして、ノクス――。精神支配解除」
短い呪文を唱えると淡い緑の光がノクターンを包んだ。
シエルの呪文が響いた瞬間――セラフィウスの表情が、一瞬だけ凍りついた。
なぜ高度な魔法を使えるのか――そう言いたげにシエルをじっと見つめている。
「……シエル?」
焦点が合わない瞳でシエルを見つめるノクターンは、自分が何を言おうとしていたのかを思い出し、ゾッとした表情を浮かべた。
「俺は、一体何を……」
まるで"自分の意志ではない"言葉が口をついて出るような感覚に恐怖を覚えた。
「そんな表情しないで?あなたにはいつも助けてもらっているから……今度は私が、あなたを助ける番よ。」
シエルは少しだけ微笑み、静かに告げる。
「……なるほどね。随分とあっさり引き下がると思ったら――傀儡にされていたのか、ノクス。」
鋭く光る碧い瞳を一瞬だけセラフィウスに向け、レイノルドが冷たく言い放つ。
「……どういうことか、説明してもらえる?魔塔主さん。」
セラフィウスは両手をあげて静かに告げる。
「私はただ、余計なリスクを避けたかっただけさ。」
濃紫の瞳はレイノルドを見つめるが、レイノルドの視線は別の方向へ向いている。
まるで目を合わせたら支配されると分かっていたかのように……。
「……さっきも言ったでしょ。秘密保持の刻印には自害の呪いが組み込まれているって。」
ため息をつきながらセラフィウスは続ける。
「下手したら解析している研究員に呪いが飛び火する可能性だってあるんだ。いくら他国のお願いだとしても……僕は国民を守ることを優先するよ」
「つまり……最初から協力する気は無かったと?」
ハッキリと意識が戻ったノクターンはセラフィウスを鋭く射抜き、問いかける。
「いや?可能な範囲内で協力するつもりさ。でも、危険と判断したら――それで終わりにするつもりだったよ」
曖昧な回答をするセラフィウスにシエルが詰め寄る。
「それって、都合のいいように解釈できるわよね?例えば……」
シエルはそこで口を噤み、息を整えて静かに告げる。
「契約の内容や黒幕の正体がわかっても、中断したと言って知らないふりをしたり――とかね……」
ローブの奥からシエルの深紅の瞳が鋭く細められる。
それは怒りではなく、燃え続ける警戒の炎。
彼女の視線は、セラフィウスの奥底にある真意を暴こうとしていた――。
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