君と見る雨垂れ

塚口悠良

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4. 困った告白

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 いくつかの目標を一緒に達成して、今日はどんな目標を掲げるのかと楽しみに思いながら学校へ向かう。けれど、その日岩本は学校に来ることはなかった。病欠だそうだが、昨日まで体調が悪そうな素振りもなかったため翌日には登校してくるだろうと高を括った予想は大きく外れることとなる。それから岩本は一週間ほど学校に姿を見せなかった。その間、俺自身は何をしていたのか。自分自身よく分からなかった。目まぐるしい日々を送っていた反動か、岩本がいない生活をどう過ごせばいいのかが分からない。こうまで行動を委ねていたのかと恐ろしさを感じるとともに、勝手に何も言わずにいなくなることへの憤りもあった。数日後、何事も無かったかのような顔で登校してきた岩本に身勝手ながら詰め寄った。何があったのか、なんで連絡のひとつも寄越さなかったのか。そうぶつけると岩本は柔らかく微笑んだ。
「……しんぱい、してくれてた?」
 その微笑みがどういう感情なのかが分からなくて、虚を突かれる。心配。そうだ。心配していた。なのに、なんでもない顔をしているから、腹が立った。体調を崩していたのか、それともまた別の何かがあったのか。それすらも俺は知らないままだ。
「そんな顔、しないで。ごめんね、全部話すから」
 岩本の口から説明された内容は、到底すぐに受け入れられるものではなかった。一週間ほど休んでいたのは手続きをするためだったらしい。岩本は、もうあと数日で海外に移住することになった、と言った。親の仕事の都合で仕方がないのだと笑う岩本になんとかしてやりたいと思う。けれど、ただの高校生な俺には、どうしてやることもできないのも事実だ。悔しいけれど、岩本の諦念を払ってやることは俺にはできない。でも、事実は変えられなくても。みっともなく手を伸ばすぐらいはしたい。そう思ったときには無意識に岩本の手を取っていた。最後まで、岩本の夢を叶えたい。手伝う権利をくれ。そう、懇願した。
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