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誘い
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ユナは美しい音色にぱちぱちと拍手をし、ナギは弾き語りが終わるとユナに微笑みました。
「さて、こんな感じだけど聞き取りにくいところとかはなかったかな?」
頭を勢いよく横に振ります。
「初めて全部聴けました!」
初めての音楽に、ユナは興奮が覚めていないようです。
「ふふ、それなら良かった。
さてと、そろそろボクに慣れてくれたろう?元の姿に戻るね」
そう言ってナギは人の形から元の光の玉に戻り、ユナの周りをくるり回ります。それから、ユナの様子を見て
「あれ?もう驚かないね」
からかうようにユナの周りを回ってみせました。
「…」
ユナは目を見開いて口をはくはくと動かしています。でも、声がでてません。
「あぁ、体力が削れてて叫べないだけみたいだね。
大丈夫?」
ユナは頭を縦にゆっくり動かしました。
まるで、油の挿されていない古いロボットのような動きです。
「……は、はい、もう大丈夫です。
光の玉が人になるなんて夢かと思ってたから」
―――正直、今も怖いんだけど、それは黙っておこう。
そんな考えないようにユナは、頑張って表情を隠そうとしていますが、表情には現れていて、ナギは内心笑いだしそうになっているのを必死で堪えていました。
「へぇ、そうなんだ。
人からこの姿になるのはそんなに驚くんだね。ふふ。
僕も勉強になったよ。」
「よ…、良かったんでしょうか?それ?
あっ、そういえば、えっと、ねぇ、ナギさん」
「ん?ナギでいいよ。なぁに?」
彼女はユナの頭の辺りでくるくる回って遊んでいます。
「あなたは、一体何者なんですか?」
ユナは少し、後退しながらナギに本当に聞いてもいいのか迷っている表情で問いかけます。その言葉に一度ナギは動きを止めると、
「うーん、そうだねぇ。
何て言うのが良いかなぁ?」
光の玉の姿なので、とても分かりにくいですが、ユナにはナギが小首を傾げているように見えました。
あれでもない、これでもないとナギは悩んでいましたが、
「そうだなぁ。うーん。神様の子だと面白くないし実際あんまりいいことないしなぁ、うーん、道先案内人?ってところかな?」
「…え?あ?えぇっと、よく分からないですけど、案内人ですか?」
「いや、多分こっいかな。 光の神のお使いってところ。君、ちっちゃいしお使いならわかるでしょ?」
「お、お使い………ナギは神様から何かたのまれているの?」
「うん、君を神様の所にまで案内するよう言われているんだ」
「え?なんで?僕を?」
「それに関してはボクには決定権はないからなぁ。
言えることは君は光の神様に選ばれたんだよ」
ユナは、よりいっそう首を傾げました。
「え?光の神様って?」
「さっき言ったろう?」
「もしかして、さっきのお伽噺の神様?」
「うん、そう神様」
「えーっと、なんで僕?」
「え?なんで?って。
さぁ??君が良かったから?じゃない」
「?がついてますぅ! でも、何の用があってボクなんかを?」
ほんの少しだけ期待したような声でユナは問いました。
しかし、
「それはわからないよ。彼のすることは大体ろくでもないから」
ナギはきっぱりと答えました。
「え?神様なのに?」
「うん、そう」
「えっと、神様の所への連れてかれるのだから………、僕まさか地獄に導かれるとか???
なんちゃって、はは」
乾いた笑いをユナは浮かべます。
「そう」
「え?」
「そうだよ。地獄なんて生ぬるい。
煉獄へ導きにきたのさ。よくわかったね」
ナギはキラキラと輝きながら僕にそう言ってのけた。
それは、何故だか彼女がとても恐ろしいものにユナは感じました。
「それは僕が、村の人達の言うように、やっぱり神様の忌子だから……?」
…それとも、本当に僕が叔父殺しの犯人だったのだろうか?
「君が忌み子なのは確かだよ。
その髪には、ボクどころか光の神だって本当は近づきたくないくらいのなにかなのは確かだね。
だけど、語弊があるようだけれど、僕が言いたいのは、天に召されてからのことをいってるんじゃあないよ」
「え?ちがうの?」
「違うさ。君。その髪に潜む魔物を追い出したくないかい?」
「そんなこと、できるの?」
「ふふ、だから、光の神は自分の領地まで君を連れて来るようボクに仰せ付けたのさ。
だから、僕はこれから君をこの大樹の上にある神殿に案内する。 」
「え?神様の所に行くんでしょ?どうしてそんな所に行かないといけないの…、?」
「神様の元に行くには手順がいるんだよ。
そしてそれは、死んで地獄にいく よりも生ぬるい」
「…、この大樹の何処かにその神殿があるの?」
「あぁ、勿論あるよ。
君が、本当にニーチェを封じている者か試す試験のようなものさ。
そのために君は大樹の精霊である一角と戦わなければならない。
お母さんのためにも…、ね?」
「戦う?僕が?」
「当然だろう?他に誰がいるのさ?」
「え、?あっうん。
でも、僕にはアンジェのような格闘術はないし、リノのように玉を調合してもパチンコを使うこともできない。
シンのようにボーガンだって使えやしない…、」
「君は武器や戦う技術がないと、戦えないと、本気でそう思ってる?」
「え?うん。」
「ふふ、だけど、君には力があるじゃない」
「………ボクにはなんにもないよ」
「ふふ、わからないかな?なら、僕が教えてあげるよ」
そっと、ナギは、ユナに囁きかけました。
「さて、こんな感じだけど聞き取りにくいところとかはなかったかな?」
頭を勢いよく横に振ります。
「初めて全部聴けました!」
初めての音楽に、ユナは興奮が覚めていないようです。
「ふふ、それなら良かった。
さてと、そろそろボクに慣れてくれたろう?元の姿に戻るね」
そう言ってナギは人の形から元の光の玉に戻り、ユナの周りをくるり回ります。それから、ユナの様子を見て
「あれ?もう驚かないね」
からかうようにユナの周りを回ってみせました。
「…」
ユナは目を見開いて口をはくはくと動かしています。でも、声がでてません。
「あぁ、体力が削れてて叫べないだけみたいだね。
大丈夫?」
ユナは頭を縦にゆっくり動かしました。
まるで、油の挿されていない古いロボットのような動きです。
「……は、はい、もう大丈夫です。
光の玉が人になるなんて夢かと思ってたから」
―――正直、今も怖いんだけど、それは黙っておこう。
そんな考えないようにユナは、頑張って表情を隠そうとしていますが、表情には現れていて、ナギは内心笑いだしそうになっているのを必死で堪えていました。
「へぇ、そうなんだ。
人からこの姿になるのはそんなに驚くんだね。ふふ。
僕も勉強になったよ。」
「よ…、良かったんでしょうか?それ?
あっ、そういえば、えっと、ねぇ、ナギさん」
「ん?ナギでいいよ。なぁに?」
彼女はユナの頭の辺りでくるくる回って遊んでいます。
「あなたは、一体何者なんですか?」
ユナは少し、後退しながらナギに本当に聞いてもいいのか迷っている表情で問いかけます。その言葉に一度ナギは動きを止めると、
「うーん、そうだねぇ。
何て言うのが良いかなぁ?」
光の玉の姿なので、とても分かりにくいですが、ユナにはナギが小首を傾げているように見えました。
あれでもない、これでもないとナギは悩んでいましたが、
「そうだなぁ。うーん。神様の子だと面白くないし実際あんまりいいことないしなぁ、うーん、道先案内人?ってところかな?」
「…え?あ?えぇっと、よく分からないですけど、案内人ですか?」
「いや、多分こっいかな。 光の神のお使いってところ。君、ちっちゃいしお使いならわかるでしょ?」
「お、お使い………ナギは神様から何かたのまれているの?」
「うん、君を神様の所にまで案内するよう言われているんだ」
「え?なんで?僕を?」
「それに関してはボクには決定権はないからなぁ。
言えることは君は光の神様に選ばれたんだよ」
ユナは、よりいっそう首を傾げました。
「え?光の神様って?」
「さっき言ったろう?」
「もしかして、さっきのお伽噺の神様?」
「うん、そう神様」
「えーっと、なんで僕?」
「え?なんで?って。
さぁ??君が良かったから?じゃない」
「?がついてますぅ! でも、何の用があってボクなんかを?」
ほんの少しだけ期待したような声でユナは問いました。
しかし、
「それはわからないよ。彼のすることは大体ろくでもないから」
ナギはきっぱりと答えました。
「え?神様なのに?」
「うん、そう」
「えっと、神様の所への連れてかれるのだから………、僕まさか地獄に導かれるとか???
なんちゃって、はは」
乾いた笑いをユナは浮かべます。
「そう」
「え?」
「そうだよ。地獄なんて生ぬるい。
煉獄へ導きにきたのさ。よくわかったね」
ナギはキラキラと輝きながら僕にそう言ってのけた。
それは、何故だか彼女がとても恐ろしいものにユナは感じました。
「それは僕が、村の人達の言うように、やっぱり神様の忌子だから……?」
…それとも、本当に僕が叔父殺しの犯人だったのだろうか?
「君が忌み子なのは確かだよ。
その髪には、ボクどころか光の神だって本当は近づきたくないくらいのなにかなのは確かだね。
だけど、語弊があるようだけれど、僕が言いたいのは、天に召されてからのことをいってるんじゃあないよ」
「え?ちがうの?」
「違うさ。君。その髪に潜む魔物を追い出したくないかい?」
「そんなこと、できるの?」
「ふふ、だから、光の神は自分の領地まで君を連れて来るようボクに仰せ付けたのさ。
だから、僕はこれから君をこの大樹の上にある神殿に案内する。 」
「え?神様の所に行くんでしょ?どうしてそんな所に行かないといけないの…、?」
「神様の元に行くには手順がいるんだよ。
そしてそれは、死んで地獄にいく よりも生ぬるい」
「…、この大樹の何処かにその神殿があるの?」
「あぁ、勿論あるよ。
君が、本当にニーチェを封じている者か試す試験のようなものさ。
そのために君は大樹の精霊である一角と戦わなければならない。
お母さんのためにも…、ね?」
「戦う?僕が?」
「当然だろう?他に誰がいるのさ?」
「え、?あっうん。
でも、僕にはアンジェのような格闘術はないし、リノのように玉を調合してもパチンコを使うこともできない。
シンのようにボーガンだって使えやしない…、」
「君は武器や戦う技術がないと、戦えないと、本気でそう思ってる?」
「え?うん。」
「ふふ、だけど、君には力があるじゃない」
「………ボクにはなんにもないよ」
「ふふ、わからないかな?なら、僕が教えてあげるよ」
そっと、ナギは、ユナに囁きかけました。
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