【第1章完】ゲツアサ!~インディーズ戦隊、メジャーへの道~

阿弥陀乃トンマージ

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第1章

第7話(4)巨大ロボ戦

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「きょ、巨大化した⁉」

「そ、そんなんアリかいな⁉」

「ウオオッ!」

「! 皆、避けろ!」

「!」

 巨大化したバッファロー怪人の攻撃により、高台が破壊される。グレーの呼びかけにより、なんとか直撃は免れたが、それでも五人は落下してしまう。

「受け身を取るんだ!」

「受け身でどうにかなる高さではないだろう!」

 グレーの言葉にオレンジが反応する。パープルが声を上げる。

「わたくしにお任せあれ! それっ!」

「うおっ⁉」

 パープルが発生させた五つの玉がそれぞれ五人のクッション代わりとなり、地面への直撃を防いでくれた。ブラウンがほっと胸をなでおろす。

「た、助かった……おおきに、パープル」

「思い付きでやりましたが、上手いこと行きましたなあ~」

「いや、思い付きかい!」

 ブラウンが突っ込みを入れる。

「さて、どうする……?」

 オレンジが巨大バッファロー怪人を見上げる。グレーが両手を広げる。

「さすがにこの大きさは手に余るね……」

「おいおい、自分ら諦めんなや!」

「! その声は彩さん⁉」

「司令官と呼べ、シアン!」

「し、失礼しました! でも、真白博士といい、どこからこの声が……」

 シアンがきょろきょろと周りを見回す。

「ベルト代わりになっとるコントローラーが通信機器になってんねん!」

「え⁉」

「よう見てみい! マイクが付いとるやろ!」

「ほ、本当だ⁉ 穴が開いている! 往年のアレみたい!」

「……マスクの内側に付ければ良かったのでは?」

 オレンジが冷静に呟く。

「その辺は後でおいおい改良していきます~」

 真白が告げる。オレンジが戸惑う。

「おいおいって……」

「まあ、それはええとして……自分ら仮にもヒーローなら簡単に諦めんなや!」

「そうは言いますが司令官、あの大きさは……」

 グレーが後頭部を抑える。

「キャノン砲をもう一発かますか⁉」

「いや、無理だ……」

 ブラウンの提案をオレンジが却下する。

「なんでや⁉」

「一発撃って、砲身が壊れた……」

「ええっ⁉」

「強い出力に耐えられなかったんですね。その辺も要改良です……」

 真白が淡々と呟く。

「これは困りましたな~」

 パープルが頬に手を添え、小首を傾げる。

「だから諦めんなっちゅうねん! 合体攻撃と来たらお次の定番のやつがあるやろ!」

「カ、カツ丼ですか?」

「なんでそうなんねん、シアン!」

「敵に勝つ!という意味で……」

「意外とベタやな! そうちゃうねん! おい、博士!」

「はい! 座標位置を確認! 転送します!」

「‼」

 五人のすぐ側にそれぞれ物体が現れる。

「こ、これは、キックボード⁉」

「せや! シアン専用のマシンや!」

「ああ、ちょうど欲しいなって思っていたんですよ~」

 シアンがキックボードに跨る。

「わたしはスケートボードか……」

 オレンジがスケボーに乗る。

「ふむ、なかなか悪くないね……」

 グレーがスポーツカーを運転する。

「ええ感じどすな~」

 パープルが戦車を前進させる。

「せ、戦車⁉」

 シアンが驚く。パープルが告げる。

「わたくし、大型特殊免許持っておりますので~♪」

「い、いや、問題はそこじゃないだろう……」

「ええ? オレンジはん、他になにか気になることが?」

「随分と個人差があると思ってな……」

「せや! なんでウチがこれやねん!」

 ブラウンが普通の自転車を漕ぐ。

「あ~その辺の説明は博士から……」

 彩が真白を促す。

「えっと……勝手ながら皆さんの預金額を調べさせて頂きまして……」

「ホンマに勝手やな!」

「それを反映したかたちです……」

「要するに……そういうことだね?」

「グレーさんのお察しの通り、個々の経済力です~」

「そ、そんなシビアな!」

「け、結構ええ感じやぞ。茶色のボディもどこか温かみのある感じで……」

「司令官、無理やりフォローせんでください!」

「小回りは利くやろ」

「巨大怪人相手にママチャリでどうしろと⁉」

「その辺は心配するな。博士!」

「はい! ポチッとな!」

 真白が何かを押した音がしたかと思うと、五人が眩い光に包まれる。

「⁉」

「……こ、これは⁉」

 目を開けたシアンは驚く。自分たちが横一線に並んで席に座っていたからである。五人の前にはそれぞれモニター画面があり、コントローラーが繋いである。

「この空間は……コックピットか?」

 左端の席に座るグレーが周りを見回しながら呟く。

「ああ、見てみい!」

 真ん中の席に座るシアンの左隣の席に座るブラウンがそれぞれのモニター画面とは別の大きなモニター画面を指差す。そこには、同じ目線の巨大化怪人がいた。

「これは……そういうことか」

「またもやグレーの察しの通りや! 合体ロボ『エレクトロニックインパクト』や!」

 彩が声を上げる。大型モニターにロボの外観が次々と映し出される。頭部と腹部が水色で、右腕がオレンジ色、左腕が灰色、右脚が紫色、左脚が茶色である。

「合体ロボどすか~確かに定番どすな~」

 シアンの右隣の席に座るパープルが両手をポンと合わせる。

「それぞれのマシンを合わせても、ここまでの大きさにはならないと思うのだが……」

 右端の席に座るオレンジが首を傾げる。

「その辺は技術で補いました!」

 真白が応える。

「さっきの謎の転送装置といい、その技術をもっと平等に使うて欲しかったわ……」

 ブラウンがぼやく。

「ウオオオッ!」

「⁉」

 バッファロー怪人が鉄槌を振りかざす。彩が叫ぶ。

「うだうだ言うてる暇は無いで! 巨大ロボ戦や!」

「結構うだうだ言っていたと思いますが……博士、操作方法は?」

「オレンジさん! 良い質問ですねえ! そこにあるコントローラ―を使って動かしてください! 皆さんゲーマーだから、後は余計な説明は要らないはずです! 以上!」

「ぶ、ぶっつけ本番にも程がある!」

 オレンジが困惑する。

「オレンジ! 今のタイミングで右ストレート!」

「こ、こうか⁉」

 シアンの指示を受け、オレンジが右腕を操作し、強力なパンチを食らわせる。

「ウオオオオッ⁉」

 バッファロー怪人が仰向けに倒れて爆散する。

「やったあ! カウンターが決まった! 『インパクトパンチ』!」

 シアンがガッツポーズを取る。エレクトロニックフォースが合体ロボの初戦を飾る。
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