Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
19 / 78
06 はじめて経験したこと

10

しおりを挟む
「…私のことですか?」

「そうだ。」

「なんでしょうか?」

「実は……あ…!!」

男性が何かを話そうとされた時、扉が勢い良く開いて男性は前のめりに数段あった階段からころげ落ち、地面にばったりと倒れられました。



「だ…大丈夫ですか!」

「あ…あぁ…」

男性は服だけではなく顔まで泥だらけになられていました。



「お…誰かと思ったら、ファビアンじゃないか!
あんたらしい転び方だな!」

そう言った男とその周りにいた数人の男達が、声をあげて笑い出しました。



「ちょっと、あっちへ行こう…」

言われるままに私はその男性と、町外れの方へ歩いていきました。



「あそこに座ろう!」

男性と私は、木陰に行ってその場に腰を下ろしました。



「い…いってーーーーー!!」

座った途端に、男性がお尻を押さえて立ち上がられました。
見ると、彼のお尻には木の枝のようなものが突き刺さっていました。
男性は顔をしかめながら、枝を引き抜き、何がぶつぶつ言いながら遠くに投げ捨ててらっしゃいました…



「大丈夫ですか?」

「あぁ…こういうことには慣れてるからな。
それで…さっき、酒場であんたの話を聞いたんだが…」

「私の話?」

「あぁ、あんたは運が良いとか言ってたな。
あれは間違いないのか?」

「え…ええ…それは間違いありませんが…」

「なら…俺の仲間になってもらえないだろうか?!」

「え…?!今、なんと?」

「だから、俺の仲間になってほしいんだ。
やっぱりだめか?」

「いえ…そうではないのですが、私は運が良いだけで、力もなければ魔法も使えないのですが、本当に良いのですか?」

「あぁ、運がよけりゃそれで良いんだ。」

「ほ、ほ、本当ですか~!?」



なんということでしょう!
仲間なんてやっぱり無理だとすっかり諦めていたのに…まるで夢のようでした。



「あ、ありがとうございます!
感謝します!
あ、私はディディエ。
本来は…僧侶や白魔導師…の、ようなものです!」

「そうか…俺はファビアン。
魔法剣士だ。」

「魔法剣士?
魔法も出来て、剣の腕もたつということですか?」

「まぁ、そういうことだな。」

「おぉ…私はなんという幸せ者なんでしょう…!
あなたのような方と一緒に旅が出来るだなんて…
しかし、なぜ、あなたのような方がお一人だったのですか?」

「そ…それはだな…」

ファビアンさんは急に口篭もり、下を向いてしまわれました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...