28 / 78
Angel's Ring
1
しおりを挟む
*
「じゃあ、早速、出発しましょうか!」
「早速って…今から発ったんじゃ、途中は野宿ってことになっちまうぞ。
まずは、あんたが本当に運が良いかどうかの判定も兼ねて、宿を取って来てくれ。」
「や、宿をですか?
で、でも、私…お金が…」
「それなら心配ない。
金なら、ほら、ここにある。」
そう言って、ファビアンさんはお金の入った皮袋を私の前に差し出されました。
「ええっ!私がこれを…」
「あぁ、俺が持ってるとろくなことがないからな。
落としたり擦られたり…そんなことがしょっちゅうなんだ。
だから、これから金はあんたにあずけとくよ。」
「本当ですか!」
私も金のわっかをどこかに置き忘れてしまうほどのうっかり者です。
しかし、これからは気を引き締めていかなくては…!
ファビアンさんがこんな見ず知らずの私のことをここまで信頼して下さってるんですから…
「その代わり、宿には俺と一緒だってこともちゃんと言って、その上で取ってくるんだぞ!」
「わかりました。
では、行って来ます!」
私は、ファビアンさんから預かったお金をしっかりと懐におさめて、宿に向かって行きました。
しかし、宿は一体どこにあるのでしょう?
キョロキョロしながら歩いていると、白髪のご婦人が道端にうずくまっているのが見えました。
「どうかなさったんですか?」
「あ…あぁ…たいしたことはないんです。
今そこで足をひねってしまって…」
「足を…?!それは大変です!
このあたりに治療して下さる所はありませんか?」
「診療所はあるにはあるんですが…ここからは少し遠いので…」
「では、私がお連れしましょう!
さぁ、どうそ!」
「いえ、そんなこと…大丈夫です。
ゆっくり帰りますから…」
そう言って、立ち上がろうとされた瞬間、ご婦人は顔をしかめられました。
その表情から、相当痛いのだということがわかりました。
「ご遠慮は無用です。
さぁ、どうぞ!」
私は、ご婦人の前にしゃがみました。
ご婦人は躊躇っていらっしゃるようですが、やっと私の首に手を回して下さいました。
「診療所はどちらですか?」
「ご親切にどうもありがとうございます。
診療所はこっちです。」
「じゃあ、早速、出発しましょうか!」
「早速って…今から発ったんじゃ、途中は野宿ってことになっちまうぞ。
まずは、あんたが本当に運が良いかどうかの判定も兼ねて、宿を取って来てくれ。」
「や、宿をですか?
で、でも、私…お金が…」
「それなら心配ない。
金なら、ほら、ここにある。」
そう言って、ファビアンさんはお金の入った皮袋を私の前に差し出されました。
「ええっ!私がこれを…」
「あぁ、俺が持ってるとろくなことがないからな。
落としたり擦られたり…そんなことがしょっちゅうなんだ。
だから、これから金はあんたにあずけとくよ。」
「本当ですか!」
私も金のわっかをどこかに置き忘れてしまうほどのうっかり者です。
しかし、これからは気を引き締めていかなくては…!
ファビアンさんがこんな見ず知らずの私のことをここまで信頼して下さってるんですから…
「その代わり、宿には俺と一緒だってこともちゃんと言って、その上で取ってくるんだぞ!」
「わかりました。
では、行って来ます!」
私は、ファビアンさんから預かったお金をしっかりと懐におさめて、宿に向かって行きました。
しかし、宿は一体どこにあるのでしょう?
キョロキョロしながら歩いていると、白髪のご婦人が道端にうずくまっているのが見えました。
「どうかなさったんですか?」
「あ…あぁ…たいしたことはないんです。
今そこで足をひねってしまって…」
「足を…?!それは大変です!
このあたりに治療して下さる所はありませんか?」
「診療所はあるにはあるんですが…ここからは少し遠いので…」
「では、私がお連れしましょう!
さぁ、どうそ!」
「いえ、そんなこと…大丈夫です。
ゆっくり帰りますから…」
そう言って、立ち上がろうとされた瞬間、ご婦人は顔をしかめられました。
その表情から、相当痛いのだということがわかりました。
「ご遠慮は無用です。
さぁ、どうぞ!」
私は、ご婦人の前にしゃがみました。
ご婦人は躊躇っていらっしゃるようですが、やっと私の首に手を回して下さいました。
「診療所はどちらですか?」
「ご親切にどうもありがとうございます。
診療所はこっちです。」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる