Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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Angel's Ring

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「キャリーさん!
今、大きな物音が…あ……」

「驚かせてごめんなさい。
今、ごきぶりがいたもので…ほほほほ…」

「ご、ごきぶりが…?
そうでしたか…
あ、それで、弟さんのことですが…残念ながら、これからどこへ行くとかそういうことは誰も聞いてないようです。」

「そうなんですか。
でも、ここへ来たことがわかっただけでも十分ですわ。
このまま街道沿いに進んでいけば、きっと手掛かりもみつかると思いますし。
そんなことよりお疲れになったでしょう?
さぁ、あなたも昼食を…」

と、言いかけた直後に、キャリーは口をつぐんだ。
テーブルの上の料理は、テーブルが真っ二つになったと同時に床に散乱してしまったことに気が付いたからだ。



「あ、キャリーさん、僕のことならご心配なく…
缶詰でも食べておきますから…
それよりここを片付けなくては…」

ウィンクルはそう言いながら、せっせと片付けを始めた。



(本当に、こんな男が部下にいてくれたら…)

かいがいしく働くウィンクルを見ながら、キャリーは心の中で呟いた。







やがて、夜は更け…
二人は、明日この町を経つことに決まった。



「おい、瑠璃石。
ディディエの行き先…いや、私達はあいつに近付いてるか?
奴とは今どのくらい離れている…?」

『それが……
お昼に受けた電撃のせいでしょうか、そういうことがまるでわからなくなっているのです…』

「何ぃ?!」

『それだけではありません。
天界との伝達もまるで、反応しません…』

「ど、どういうことだ?!」

『つまり、天界との連絡は一切取れなくなったと…そういうことです。』

「な、何ぃ?!
ディディエのこともわからん、天界との連絡もつかんとは…
こ、この役立たずが!!」

『私をこんな役立たずにしたのは、ギャブリエ様、あなたですよ!!』

「それは、おまえがくだらんことを言って、私を怒らせるからだ!」

『私はほんの少し冗談を言っただけです!』

「石ころが冗談など言うからだ!」

『石が冗談を言ってはいけないのですか!』

「当然だ!
そんなこという必要があるか!」

『ギャブリエ様のわからず屋!
そんなだから、天界でもあなたは煙たがられるのです!』

「うるさいっっ!」

キャリーは、瑠璃石を扉に投げつけた。



「おまえなんぞ、どこにでも行ってしまえ!
この役立たずの石ころめが!」

吐き捨てるようにそう言うと、キャリーはくるりと背を向けて眠りに就いた。
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