Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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Angel's Ring

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「困ったことになったもんだ…」

『そういえば、ディディエ様は、あの通りけっこうな美形でいらっしゃるのに、天界では浮いた話ひとつありませんでしたね。』

「あいつがどのくらいそそっかしい奴かということを、天界の者は皆知っていたからな…
おそらく天界で恋愛をする機会がなかった分、地上に来てその反動が出てしまったのだろうな…
しかし、よりにもよってその相手が疫病神とは…
しかも、そんな奴に金を貢ぐため、悪巧みに加担するとは情けない…」

『天使としてのプライドも忘れるほど、恋にのめりこんでおられるということなのでしょうか…』

「人間の諺にある『恋は盲目』というやつだな…
どうしたものか…」

キャリーは深い溜息を吐いた。



『人間界には、【人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ】という諺もあるようですな。』

「馬鹿者、それは諺ではない。講談の台詞だ。」

『さすがはギャブリエ様…博学でいらっしゃる。』

「つまらんことを言ってないで、対策を考えろ!」

『そう言われましても、まずはディディエ様をみつけなければどうにもならないのではありませんか?』

「それはそうだが……」



ちょうどその時、頼んでいた食事が運ばれて来た。
食事をする間も、キャリーは何度も深い溜息を吐く…



『ギャブリエ様、天使ともあろうお方がそんなに溜息ばかり吐いていてどうするんです。
人間の言い伝えには…』

「わかっておる!
溜息を吐くと幸せが逃げていくというのだろう。
女にされ、地上に送られた私に、今更、幸せがいくつか逃げた所で何が変わるものか。
もしも、ディディエが惚れた男の傍にいたいがために、もう天界には帰らない等と言い出したらどうなるか、おまえにはわかっているのか?!
私までがそのとばっちりを食うのだぞ!」

『そういえば、ギャブリエ様も特に決まった方はいらっしゃいませんでしたよね?
それならいっそ、ギャブリエ様も地上に好きな方をおみつけになるとか…
そうだ、ウィンクルなんていかがです?』

「……い~し~こ~ろ~……」

瑠璃石は、キャリーのこめかみには青い筋が浮かび上がり、両方の拳がわなわなと震えていることに気がついた。



『ハハハハハ…
いやですよ、ギャブリエ様ったら…
じょ、冗談に決まってるじゃないですかぁ…』

「冗談で済むか~~~!!」

キャリーの激しい電撃が、瑠璃石を直撃する…



『ギャアアアアアアアーーーー』



瑠璃石の乗っていたテーブルは真っ二つに割れ、床にも穴が開き、あたりに焦げ臭いにおいが立ち込めた… 

 
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