Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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 「よくお似合いですよ!ファビアンさん!」

「馬鹿言うな!
こんなの似合ったって仕方ないだろ!」

ファビアンさんが獲得された魔法大会・準優勝の賞品は魔術師セットでした。
真っ黒な裾の長いローブと真っ黒な三角帽子、それに固い木で出来た杖です。
魔力はないらしいですが、武器としては使えそうな感じです。
キャリーさんが手に入れた賞金で、ちょっとばかり豪勢な食事をした私達は、お酒も少し入っていたこともあり、せっかくだから賞品の魔術師セットを着て見せてとファビアンさんをはやしたて、ファビアンさんも酔った勢いで着て見せて下さったのです。
ご本人は謙遜してらっしゃいましたが、これが本当に良くお似合いで、まるで本物の魔術師みたいに見えました。



「ファビアンさん、この際、黒魔術師にでも転職されてはいかがですか?」

「やだね。俺は身体を動かす方が性に合ってるよ。」

「もったいないですねぇ…そんなによくお似合いなのに…」

最近少し様子がおかしいといいますか、お話になられることが少なくなっていたファビアンさんも今日はまた以前と同じように戻られていました。
キャリーさんとも少しお話しになられていたようです。
一緒に旅をする仲間ですから、ぜひとも親しくなっていただきたいものです。

私達が和やかな雰囲気で話していたその時、何か小さな音がしました。



「ん?今、なにか…?」

ファビアンさんも物音に気付かれたようです。
私達が話を止め、耳を澄ませていると、誰かが部屋の扉を叩く音が聞こえました。



「誰だ?」

ファビアンさんのその声に返事はありません。
ファビアンさんは、咄嗟に剣を携え、扉の方に歩いて行かれました。
そして、扉を開けると、あちこちから血を流した人が部屋の中に雪崩れ込んで来たのです。



「ウィンクル!!」

キャリーさんが声を上げられました。
どうやら、キャリーさんのお知りあいのようです。
ウィンクルさんは意識もはっきりしないようで、ぐったりとされています。



「酷いな…一体、どうしたんだ?!
あれ…こいつ…どこかで…」

私は、とにかくなんとかしなくては!と、手拭いを濡らしその人の血を拭ってあげました。



「そうだ…!
確か、街道で、妖精の宝のことを教えてくれた奴じゃないか?!」

そう言われて、私はウィンクルさんの顔を見ましたが、確かに似ている気はするのですが、顔が腫れているためはっきりとはわかりません。
それに、確かあの方はご自分のことをウィンザーと名乗られていたはずです。
その方かどうかは、ご本人に聞くしかありません。
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