お礼（無謀）企画

旅の仲間

３

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（外の世界って、本当にそんなに怖い所なのかな？
一度出たら戻って来れないなんて、そんなおかしな話があるか？
それに、人間って、そんなに強いもんなのか？
オレだってエルフの中じゃあけっこう力は強い方だし、それに……そうだ！！）

アストの家を出たアルフは、興奮した面持ちで駆け出した。



＊



「……別に構わないぜ。
俺様は人間なんてちっとも怖くないからな。」

「ほ、本当か！？」

アストが訪ねた先は、マリクの家だった。
マリクは小人の中では力が強く、その上機転が利くため、喧嘩をするとエルフでさえ負けることがしばしばあった。
自分一人では無理だとしても、マリクがいればなんとかなるのではないかとアルフは考えたのだった。



「やった！おまえが来てくれたら、ノエルのことは心配ないな！」

「でも、人間の世界はおっそろしい所だって話だぜ。
シエルの内気野郎なら人間の世界のことに詳しいから、ようく話を聞いてから出発した方が良いんじゃないか？」

「それもそうだな！
おまえは本当に頼りになるよ。
じゃ、早速、シエルの所に行ってみようぜ！」

マリクは意外な程すんなりと、アルフの申し出を受け入れてくれた。
実はマリクもノエルのことを密かに心配しており、それとは別にマリクは外の世界を見てみたいという気持ちも強かったのだ。



＊



「えーーーーーっっ！」

シエルはまんまるな目をして、大きな声を上げた。



「そ、そんな、そんな…人間の世界に行くだなんて…」

「何もおまえに一緒に来てくれなんて言ってないよ。
ただ、人間の世界のことを詳しくだな…」

「どうしよう…人間の世界に行くだなんてそんな危険なこと…
で、でも、実際に行ってみれば、本で読んだことが本当かどうかもわかるし、今までずっと疑問だった事も…」

「お…おい、シエル…
オレの話を聞いてるか？」

アルフは、俯いてブツブツと呟くシエルの前で手を振った。



「ま、確かにいざという時、こいつがいてくれたら助かるっちゃー助かるよな。」

アルフのかけた声にも気付かないで考え事をしているシエルを横目で見ながら、マリクが意味ありげに微笑んだ。



「でも、まさかシエルは…」



「わかりました！」


アルフの声に、一際大きなシエルの声が被さった。



「は？一体、何のことだ？」

「えっと。
実は、自分も以前からもっと外の世界のことを研究したいと考えていたのですよ。
ですから、決心しました！
自分はあなた方と一緒に、外の世界に着いて行きます！」

頬を高潮させ、シエルははっきりとした口調でそう言った。
マリクは薄ら笑いを浮かべ、アルフに向かって親指を突き出した。