お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

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宝石

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頃合を見計らい、ローズはまた歩き始めた。
特にこれといったあてはなく、ただ、天気が良かったからという理由だけで家を出て来たのだが、憧れのマイクとケリーの姿を見てすっかり気落ちしたローズは、家に戻ることにした。



(こんなことなら、部屋の模様替えでもしてれば良かったわ…)

ふとそんなことを考えたローズは、小窓に取りつけるカーテンの生地がほしかったことを思い出す。



(そうだ…カーテンの生地だけ見て帰ろう。
確か、このあたりに手芸屋さんが……どこだったかしら?)

前に一度、このあたりに来たことがあったはずだが、方向感覚のあまり良くないローズにはその場所がはっきりとは思い出せなかった。
ただ、細い路地のような入り組んだ道を通ったことだけしか記憶がなかった。
そんな曖昧な記憶を頼りにしばらく歩いたが、結局、それらしき店はみつからなかった。
仕方なく、諦めて戻ろうとした時、ローズの足はある古びた店の前で停まった。



(素敵なお店だわ…
あのレースはきっとアンティークの高級なものね。)

ローズの視線は、ショウウィンドウの中央に飾られた人形やぬいぐるみよりも、その脇にかけられたカーテンや人形の座る小さな家具に向けられていた。



「よろしければ中へどうぞ。」

軽やかなベルの音と共に、愛想の良い店主らしき男が扉を開けた。
買うつもりはなかったが、声をかけられると素通りするのも気がひけ、ローズは躊躇いがちに店の中に足を踏み入れる。
店内には他の客がいないことで、ローズはなおさら居心地の悪さを感じた。
店に置いてある物はどれもそれなりに可愛らしいものだったが、その価格はどれも意外と高価で、ローズが安易に買えるような額ではなかった。
あれこれと商品を薦める店主に愛想笑いを浮かべながら、ローズは店内をゆっくりと見て回る。



(困ったわ…
ハンカチでも買って帰ろうかしら?
それとも、誰かお客さんが来たらその隙に…あら…?)

その時、ローズの視線がある物の前でぴたりと停まる。 
 
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