お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

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番人の館

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***



(ここは一体…)



それは見知らぬ場所だった。
あたりには白い霧がたち込め、ほんの近くしか見えない。
僕にわかっているのは、ここが家の中ではなく外だということだけで、この場所がどこなのかは見当も付かなかった。
そして、なぜ僕がこんな場所に佇んでいるのかも…



僕は、とりあえず足を踏み出した。
どこへ行けば良いのかなんてわからなかったけれど、ここにずっと立ち尽しているのもおかしい。
霧が晴れるまで待つべきかとも思ったが、それを待つのがもどかしかった。



歩いているうちに、どうやらここが森の中であることがわかった。
僕の耳に届くのは穏やかな風の音や木の葉のこすれる音だけ。
これが町の中であるはずはない。
おそらくは郊外の森…
僕の家からだと、車で小一時間程走った所にそういう森があるにはあるが、僕はそこに行く事は滅多にない。
取りたててなにかがあるという森ではないだけに、用がないからだ。
それに、僕はその森に向かった記憶もない。



(……記憶?)



……そうだ……ここへ来る前の記憶が欠落している。
僕はふと頭に手を当てた。
もしかしたら、思い掛けない事故かなにかで頭を打ったかと思ったのだけれど、僕の頭に傷らしいものはどこにもなかった。
狐につままれたような気分で歩くうち、幸いなことに少しずつ霧が薄れ、視界が広がるのを感じた頃、僕は目の先に一軒の屋敷をみつけた。
奇妙なことに、道はその屋敷に向かって伸びている。
つまりその屋敷は行き止まりに建っているということだが、森の中の行き止まりというものにどこか僕は違和感を感じた。
もしかしたら、森と思っていたのはこの屋敷の庭だったのだろうか?
でも、それにしては屋敷がそれほど大きくない。
小さいということではないのだけれど、これが庭だとすればその広さには不釣合いだということだ。

考えはまとまらなかったが、とにかく屋敷に行けばここがどこか聞き出すことが出来る。
家に連絡を取る事も出来る。
そう思い、僕は躊躇うことなく、屋敷の扉を叩いた。 
 
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